2006年正月、東長崎機関からお年玉が届いた。ラッキー!
これは、北の国の人から2005年12月末に東長崎機関へ贈られたプレゼント
でした。
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ウルトラマン生誕40周年を記念した、カレンダーである。
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ところが、箱をひっくり返して驚いた。
ウルトラマンといえば円谷プロなのに、東映のロゴが入ってる!!
円谷プロの人に聞いてみたら、ここ何年も、ウルトラマンのカレンダー
作りは東映に下請けに出してるそうです。
私としたことが、東映と円谷プロが提携してカネ儲けする時代になった
のに、気づいてなかったんですねー。
軍隊ものが人気の昨今は、それだけ空想ヒーローものが廃れてる、って
こともあるんじゃないかと、ちょっと気落ちしてしまう。
ウルトラマンは、みずみずしい感性を持った若者たちが円谷英二の下に
結集し、SFの要素をふんだんに取り込んで創造した、モダンで革新的な
巨大ヒーローだった。
その作品群には、単なる"お子様番組"というジャンルとしては片付け
られないほどの理想と哲学が刻み込まれ、ときには"正義"や"侵略"と
いうものについての多面性を、子どもたちに突きつけた。
『ウルトラマン』の深遠なトラウマ↓
・『ウルトラマン』現想夢譚・バージョン2002<1>
・『ウルトラマン』現想夢譚・バージョン2002<2>
・『ウルトラマン』現想夢譚・バージョン2002<3>
・『ウルトラマン』現想夢譚・バージョン2002<4>
・『ウルトラマン』現想夢譚・バージョン2002<5>
そして、東映といえば、仮面ライダー。
仮面ライダーは、ウルトラマンとは対照的に、ヤクザものや月光仮面の
血筋を引く、ナニワ節の土着的な作品群だ。
主人公の正義を疑うことなく邁進し、熱血・悲哀などの情緒が前面に出
されるが、作品世界は"ご近所の侵略"的でスケールが小さいし、深い思
索にいざなわれることもない。
土着系の東映と、円谷プロが提携してるって、ちょっとショック〜。
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箱の中には、おしゃれな黒い缶。
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40周年を迎えるウルトラマンに、栄えあれ!
50周年で最期を迎えた平和の守護神・ゴジラ亡き後、いまやウルトラ
マンが最後の平和の牙城である。
そのウルトラマンにしても、2004年の映画『ULTRAMAN』は、
完全な自衛隊宣伝映画と成り果て、不安がないわけでもない。
ゴジラの最期とウルトラマンの堕落については、こちらを参照↓
・ゴジラと自衛隊・50年目の決別1
・ゴジラと自衛隊・50年目の決別2
・ゴジラと自衛隊・50年目の決別3
ウルトラマンの哲学は、その誕生にも見い出せる。
地球に逃亡した凶悪な宇宙怪獣ベムラーの追跡中に、科学特捜隊のハヤ
タ隊員が乗ったジェットビートルと衝突し、彼を死なせてしまったウルト
ラマンは、自らの過ちを侘び、ハヤタに自分の命を与えることにする。
すなわち、ウルトラマンは、そもそも地球とは縁もゆかりもない宇宙人
なのに、自分のせいで命を失った異星人に対してその責任を取り、命の代
償を行うことによって誕生したのである。
ウルトラマンのまばゆいカッコよさは、新進気鋭の彫刻家(私的なこと
で恐縮ですが、筆者の大学の大先輩!)による、アルカイック・スマイル
をたたえた崇高なデザインだけでなく、潔く自らの過ちを認め、真摯に被
害者に向きあうその姿勢にある。
また、怪獣製作を手がけたのは、平和を望んでやまない、日本美術界の
異端児であった。
2002年に開催された、ウルトラマンの怪獣製作者の個展↓
・反戦画家・高山良策展 1
・反戦画家・高山良策展 2
B29を連想させるシルバーを基調としたボディーを持ち、人類を危機
から救うウルトラマンは、戦後日本人にとっての米国を象徴しているとい
う説もあるが、これも一理あると思う。
そして、先述したように、ときには怪獣の立場からストーリーが展開す
る作品群は、"自己と他者"を意識させる深い内容を含んでいた。
戦後日本の前半期は、現在の視野狭窄な小泉首相とは正反対の、寛容な
精神を理想としたからこそ、成功を収めたのではないだろうか。
もっとも、世界中を引っ掻き回した挙句に負けたんだから、それぐらい
の謙虚さがあってしかるべきであった。
あの頃のオリンピック中継は、今の"ニッポン!"一辺倒の放送とは違
って、外国人選手の活躍にも惜しみない拍手を送っていて、ずっとインタ
ーナショナルだったよねー。
一方、悪の組織に改造されて誕生した仮面ライダーは、ヒーロー自身の
悲哀、つまり被害者意識がのぞくことはあっても、悪の組織は絶対悪であ
り、ヒーローの正義が揺らぐことはない。
このへんの内向きかげんも、仮面ライダーのスケールの小ささにつなが
っているような気がする。
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日々"恩賜のカレンダー"を眺め、ウルトラの哲学に則った1年にしたい。
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