活動ゴジラ・怪獣関連特撮ファン・常岡千恵子の怪獣史観+α

特撮ファン・常岡千恵子の怪獣史観

『ウルトラマン』・現想夢譚バージョン2002<3>



 ビンラディンを追って、アフガンの山岳を探索した米特殊部隊員
の胸には、何が去来しただろう? ヒョロ長く迫力のないジャミラ
は、心なしかビンラディンのようでもある。最前線で戦った彼らは、
決してメディアで報じられることのないものを目にしたり、経験し
たに違いない。しかし、任務は絶対である。彼らも、イデのように
揺らぐことがあっただろうか? それとも、あくまでも冷静に任務
を遂行したのだろうか?
 夜が明け、再び姿を現したジャミラが、火を吐きながら山村を襲
う。たまりかねたイデは、「ジャミラ、てめえ、人間らしい心はも
うなくなっちまったのかよう!」と絶叫する。その瞬間、ジャミラ
の目は燃え上がる民家に釘付けになった。そう、ジャミラは人間な
のだ。人間だからこそ、復讐に燃えるのだ。
 国際平和会議場に歩を進めたジャミラは、会場前に並ぶ万国旗を
なぎ倒した。と、そこへ、戦闘機のようにジェット音を響かせなが
ら飛来したウルトラマンが、ジャミラに体当たり!皮肉なことに、
水のない環境に適応したジャミラは、水に弱かった。ウルトラマン
は、ジャミラめがけて、手から水を発射する。激流を浴びて、のた
うち回るジャミラ。泥水にまみれ、断末魔の声を上げながら、万国
旗を次々とぬかるみにたたきつける。が、ついに力尽き、精一杯伸
ばした手が小刻みに震えて、ガクリと大地に沈んだ。彼が最期の力
を振り絞ってつかもうとしたもの……それは、辛うじて汚泥の洗礼
を免れた、星条旗であった!

続く