靖国神社の遊就館で、大東亜戦争、すなわち太平洋戦争の愛国的な映画
を妻と一緒に見た83歳の元陸軍兵士は、元戦友二人が祭られた靖国神社
をめぐる中国の苦情について、「彼らには関係ないこと。靖国は日本人に
とっての問題だ」と述べた。
遊就館は、歪曲した、被害者意識の高い、自己弁護のバージョンの日本
の近代軍事史を展示する博物館である。
その史観は、現代のウルトラ・ナショナリストたちにインスピレーショ
ンを与えると同時に、60年前の苦難を乗り越えた日本人の慰めとなって
いる。
前出の元陸軍兵士は、広島県呉市からやってきた。彼は、少なくとも5
回、靖国神社を訪れている。
そして、靖国神社崇敬奉賛会会員として年会費3000円や寄付を納め、
世界一取り沙汰されている神社の資金援助をしている。
公式には民間団体である宗教法人の、その他の資金源は不明瞭だ。
本紙が資金集めや予算について質問すると、靖国神社の広報担当者は、
面食らった。
「予算は公にしていないので、絶対資金面については何もお話しできま
せん」。
一方、『読売新聞』によれば、年間の予算は「20億円以上」だそうだ。
靖国神社の広報担当者によれば、毎年500万人の参拝者が訪れるそう
だが、靖国神社の公式ホームページは「800万人もの」としている。
今年、第二次世界大戦終戦60周年を記念んするにあたり、日本を相手
に戦った国は、東京大空襲、沖縄での一般市民殺戮、広島と長崎の核破壊
の記憶をぎごちなくごまかしている。
連合国側で一般に語られる戦争は、倫理的に問題のある事件を軽視して
いるが、遊就館の右に出るものはない。
4月の中国の反日デモに火を付けるのに一役買った、その歴史解説は、
1937年から1945年までの満州占領と日中戦争を粉飾している。
遊就館の歴史認識は、恥知らずにこれを否定する。
以下は、1937年12月に日本兵が南京を包囲した時の説明である。
(注:遊就館は、展示に日本語と英語の説明をつけており、その内容が食
い違っていることがある。本記事の引用は、英語版の翻訳。)
「松井石根大将は、外国人居住区と安全地帯を赤いインクで示した地図を、
部下に配った。松井は部下に、軍規を守り、違反した者は厳罰を処すと語
った」。
「彼は、中国兵にも降伏するよう警告を発したが、唐生智司令官は、これ
を無視した。司令官は、そのかわり、部下に南京の死守を命じたが、その
後、彼らを見捨てた。中国人は多くの犠牲を出して、完敗した。都市の中
では、住民が再び平和な生活を取り戻した」。
松井大将の良心的な兵たちが南京に突入し、安全を確保された外国人た
ちは、後に国際軍事裁判で、虐殺、レイプ、略奪が6週間続いたと語って
いる。
この間、10万人から30万人の、女性や子供を含む中国人が殺された。
東京裁判は、松井大将に絞首刑の判決を下した。
彼は、靖国神社が、「戦争の責任を取って、大東亜戦争終戦後に命を捧
げた」と描写する14人の一人だ。
「また、連合軍の捏造のような裁判によって、過酷かつ不当に戦犯として
審理された、1068人の"昭和殉教者"がいる。これらの殉教者も、靖
国の神である」。
遊就館はまた、外国人に対する多くの侮辱を内包している。
オーストラリア、英国、東南アジアからの訪問者は、泰緬鉄道を厳しい
苦難の末の驚異的な技術の偉業とした展示に対し、陰鬱に不平を漏らして
しまうかもしれない。
それ自体は事実だが、ここで欠落しているのが、戦争捕虜13000人
と、ビルマ、マレー半島、蘭印からの90000人以上の"労務者"が、
残虐行為と病気と過労で死んだということだ。
とくに厄介なのは、アジアの強制労働者の使役を詳細に述べると、19
05年の日露戦争から1945年の日本の軍国主義が、ヨーロッパ帝国主
義からのアジア解放の原動力だった、という遊就館の教訓的なテーマから
逸れてしまうことだ。
このことは、遊就館の展示に表れている。
1757年に英軍が仏軍とインド軍を破ったプラッシーの戦いから、
1854年のペリーの"黒船"再来までの欧米のアジア侵略を示し、展示
の最後には、日本に支配されたアジア11カ国が1945年から1960
年までに独立したことを述べている。
興味深いことに、共産中国に言及しておきながら、朝鮮半島の解放は無
視している。
靖国神社には、明治と昭和、つまりこの神社が哀悼し祝賀する時代の帝
国へのノスタルジアが浸透している。
今年、とくに中国が懸念している14人のA級戦犯を分祀して、政治的
なトゲを抜こうとする提案がなされた。
故東條大将の孫、東條由布子氏は、先週、分祀に反対し、なぜ20年前
に彼女の叔父が同様の陳情書に署名しなかったかを述べた。
彼女はテレビ番組で、「日本は侵略戦争をしていません、中国だけが今
そう言っているのです」と述べた。
。。。。。。。。。。。。。
かなり遊就館がショックだったらしく、詳細な分析を行っている。
こんなに日本軍アレルギーがあるのに、オーストラリアのハワード首相
は、かなり無理してサマワ派兵を決断してくれたのである。
なのにトホホ……
詳しくはこちらを参照↓
英語圏大手メディアの自衛隊報道 1
英語圏大手メディアの自衛隊報道 2
英語圏大手メディアの自衛隊報道 3
英語圏大手メディアの自衛隊報道 4
さて、この記事がオーストラリアで出た翌日、再び英国の高級紙が、靖
国問題を取り上げた。
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