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英米有力メディアが見た"日本の大手メディアの北朝鮮報道 2

(報告:常岡千恵子)


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『タイム』(米)     2005年4月4日号
     −争いの種 
  日本政府は、北朝鮮から返還された横田めぐみ氏の遺骨にDNA鑑定
を行い、本人のものではない、と発表した。
  国民の怒りは、沸騰した。

  だが、遺骨が本人のものであるかもしれない可能性も出てきた。
  2月に、英誌『ネイチャー』が、鑑定担当者が結果は確定的なもので
はないと認めた、と報じたのだ。

  吉井氏が用いたnested PCR法という技術にも、疑いが生じた。

  米国のDNA専門家のテリー・メルトン氏によれば、汚染のリスクが
高いこの技術は、米国の法医学研究所では用いられていない。

  吉井氏はコメントを拒否し、日本政府も鑑定結果を公開しようとしな
い。
  外務省のスポークスマンは、遺骨は鑑定で使い尽くしたので、再鑑定
はできない、と言う。

  横田氏の父、横田滋氏は、DNA鑑定についてはよくわからないが、「北
朝鮮との交渉で、日本が愚かしく見えて腹立たしい」と語った。

  『ネイチャー』3月17日号は、強い論調で、確定的でない鑑定結果
は日本政府にとって"不愉快"かもしれないが、その科学性を真摯に受
け止めよ、という内容の社説を掲げた。

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  米一流誌『タイム』も、日本政府の不透明性を突いている。

  欧米では、こうした疑惑が生じた場合、疑いが晴れるように、鑑定結
果を公開するなり、それなりの対応をするのが一般的なのに、日本政府
は固く殻を閉ざすだけ。

  そういえば、サマワの自衛隊も、情報公開度が低いと見られてたっけ。
      詳しくは、こちらを参照↓
     大手英米紙のサマワ自衛隊報道 1
     大手英米紙のサマワ自衛隊報道 2
     英語圏大手メディアの自衛隊報道 2

  そして、『タイム』報道の直後、再び『ネイチャー』が追撃した。
  食らいついたら離さない、スッポンのごとくしつこい、見上げた記者
魂!! 

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『ネイチャー』(英)    2005年4月7日号
     −日本の拉致調査を妨害する転職
  一人の遺伝学者が、警視庁で割のいい仕事を得た。
  彼の仕事が、北朝鮮による拉致被害者の運命について、論争を再燃さ
せた数週間後のことである。

  帝京大学から、警視庁科学捜査研究所の法医科長に就任した吉井富夫
氏の転職について、民主党の首藤信彦氏は、3月30日に国会外務委員
会で、日本政府が影響力を行使したのではないかと、ほのめかした。

  吉井氏は、DNA鑑定結果は遺骨の汚染による可能性もある、と『ネ
イチャー』に打ち明けたが、日本政府は件の記事は吉井氏の発言を誤っ
て掲載したものだと反論した。
 以来、オーストラリアのドキュメンタリー映画作家、韓国のテレビ局
をはじめとする記者たちが、吉井氏へのインタビューを試みたが、いず
れも実現していない。

  首藤氏は、吉井氏の国会外務委員会での証言を望んでいるが、今は吉
井氏の勤務先の警視庁の合意がなければ実現できず、転職によって妨害
されている、と語る。

  警察庁科学警察研究所ではDNAが検出されなかったが、政府が吉井
氏による鑑定結果を確定的なものとして受け入れたことについて、首藤
氏は国会で町村外相に、「この大きな研究所より、私立大学の一人の学
者を重んじるのなら、研究所を廃止したほうがいいのではないか」と質
問した。

  町村外相は、首藤氏の疑念を"侮辱"だとし、外務省は調査に真剣に
取り組んでいると述べ、「慎重に言葉を選んでご発言をいただきたい」
と発言した。

  首藤氏は、吉井氏の証人喚問を進め、政府がなぜ吉井氏の結果を重視
するのか、真相をきわめたいと語る。
  彼は、「日本がこんな方向に進めば、科学的名声が傷ついてしまう」
と警告した。

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  まさに、科学に携わる者特有の粘り強さを発揮?!

続く