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時代考証を意識して作られた映画は、やはり一般常識人視点で見るよりも、 こだわりのマニア視線がおもしろい。 私は、とてもとても「マニア」を名乗れるレベルにはないのですが、 スコットランド軍の連隊はロイヤル・スコッツ・フュージリアーズとのこと。 ロイヤル・スコッツ・フュージリアーズは低地出身の連隊。 バグパイプを演奏したのは、特に4人で合奏したときのは、俳優さんではなく本 物のバグパイパーだろうという意見が強い。 別のマニア氏は、運ばれてゆく戦死者の履いていた靴の底が、第一次大戦当時に は開発されていないはずの靴底だったとのこと。ドイツ軍の塹壕にあった機関銃 は、ベルギー製の機関銃を改造していたようだが、水冷式に見せてあったところ は時代考証の努が認められる。 しばしの休戦時間が終わって、両軍が戦う塹壕に戻るときに演奏した「蛍の光」 は、日本流では「さよなら」ソングか「帰れ帰れ追い出し」ソングだが、スコッ トランドでは「また会いましょう」ソングなのだ。どれとして捉えてもストーリ ヘ的にはいけちゃうとこがいいね。 日本では、バグパイプにうんちくを言える人が少ないから、この映画をバグパイ プ視線から観る傾向は薄い。しかし、ドイツ側の歌手はクチパクがバレバレの演 技でも許されてるのに、バグパイプ兵のほうは本物ってことから、欧州人が、い かにバグパイプに関しては本物志向であるかが伺える。 ドイツ軍のほうで、10万本のクリスマスツリーを最前線へ運ぶなんて、大砲運 ぶよりも大変だという台詞があったが、補給という観点からみれば、それは一瞬 でうなずける。というわけで、クリスマスツリーを輸送する大変さを描いて欲し かったなあ。真剣勝負であるはずの戦争の真っ只中で、クリスマスツリーの輸送 に苦労するシーンってのも、なかなか良いと思うのだが。 で、最前線で平和を楽しんだ罰として他の戦線へ送られるわけだが、、ドイツ兵 たちは東プロイセン・ロシア戦線行き。「ロシア戦線」というと懲罰的イメージ が強いが、第一次大戦では、ロシア戦線でドイツ軍は圧倒的勝利を収めるのだ。 ドイツ軍圧勝で終わった東プロイセンで行われたタンネンベルグ包囲殲滅戦は、 沼などの地の利を味方につけ、少数部隊で大部隊を分断、包囲し殲滅したとのこ とで、その後の世界の陸軍の教科書に載るほどの戦いである。 ロシア戦線っていうと、バグパイプ吹いて遊べる雰囲気はなさそうだが、イスラ ム世界に比べれば、ウォッカ飲んで踊ってり喧嘩したりして盛り上ってる可能性 はあるから、まあ、いいっか。って、なにがいいんだ? ロシアは第一次大戦やりながら革命もやってソ連になっちゃって、大国っていう のは、なんとまあ、ゆとりのあることで。最前線でのバグパイプもゆとりだけ ど、桁違いにスケールのでかいゆとりだね。 |
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