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さて、それでは、引き続き、米国&海外メディアが米国務長官にどう 斬り込んだか、ハイライトをお楽しみいただきたい。 。。。。。。。。。。。。。。。 ボルトン米国務長官と米国&海外メディアの懇談 −2005年2月10日、米国大使館にて Q: 日本がもっと軍事国家になる理念に戻ろう。米国からすると、日 本がグローバルな軍事国家であることは…… A: "普通の国"だ、彼らは"普通の国"という表現を使っている。 Q: 自らを防衛するという意味で、ですね。米国からすると、太平洋 における安全保障上の課題で、もし日本が軍事力を増強したとすると、 日本にどのような協力を期待するか? A: これは、他の民主主義国家の国内の政治的議論の大半がそうであ ると思うが、われわれが、あれこれ形づくろうとすべきものではない。 日本の思考の発展の問題だ。 そして、日本がわれわれとミサイル防衛の分野で協議かつ協力するこ とに強い興味を抱いてきたのか、申し分のない明確な実例を挙げること ができる。 テポドンが日本上空を飛び越えて太平洋に着弾したということだ。 これは日本の観点からすれば、仮定の話ではない。 もちろん、われわれは独自のミサイル防衛能力を開発するにあたり、 われわれと協力する用意のある国を探しているし、日本は確実に、この ような協力の最前線にあり続けてきた。 というわけで、これは日本の思考の発展の問題だと思うし、われわれ には確かにその便宜を図る用意があるが、われわれが、ああしろとか、 こうしろとか、圧力をかけるべき類のものではない。 日本における国内の政治的議論の自然な流れがあると思うし、これは 日本にとっての問題で、われわれが懸念することではない。 これは、彼らが進む用意ができた時に、われわれも彼らと一緒に働く 用意がある、というものだ。 Q: 米国は日本の立場を形成しようとしているのではないというが、 両国間には日米安全保障条約があり、もし潜在的な紛争の種があるとし たら、米国も巻き込まれる恐れがある。日本がこの領有権争いをどれぐ らいアグレッシブに進めるべきか、米国の基本的な立場は? A: 日本は、すべての領有権争いを外交的手段で解決したいと表明し たと思うし、われわれは確実にこれに同意する。米国の立場が、必ずし もその解決を助けることにはならないと思う。 つまり、これは日本が相手国ひとつひとつと解決することだと思うし、 また、日本は、もちろん領有権争いの相手国のひとつひとつと、解決を 試みている。 そして、この種の争いは、常に感情的な問題がつきものなので、われ われが間に入っても、おそらくそれほど生産的な進展はないと思うが、 われわれはこの問題について、日本と緊密に連絡を取り合ってきた。 将来的にも、そうだと確信している。 Q: 日米安保条約は、米国が尖閣諸島を守ることを義務づけているか? A: その質問は、日米安保条約が実際に何をカバーしているかを議論 する上で、この条約が歴史的に、特殊な書き方で書かれ、多くの仮定的 な議論を回避するような書き方で書かれているが、コミットメントの強 さはとても現実的だと考えるし、日本もそれを理解していると思う。 Q: 尖閣諸島は、日本の領土か? A: まあ、繰り返すが、条約は条約であり、われわれはその条約を支 持しているのであって、その範囲を超えない。 。。。。。。。。。。。。。。。 読んでのとおり、米国&海外メディアは、日中米関係について、米国 が日本を動かしているという見地から、米国務次官を執拗につついたこ とがわかる。 米政府は、2004年12月の自衛隊サマワ派遣延長決定の際も、日 本政府に対し、大胆な延長工作を仕掛けた。 −詳しくは、http://www.higashi-nagasaki.com/g_a/G53-102_5.html さらに、米国務次官は米国&海外メディアに対し、日本が調子に乗り すぎて、日米安保条約以上のことをやらかしても、米国は助けてくれな いことも、明らかにした。 『産経新聞』さん、おわかりかな? また、米国務長官は、日本の尖閣諸島の領有権について明言を避け、 日米安保条約が曖昧なシロモノであることもほのめかしてしまった。 実際、日米安保条約は、えらく具体性に欠ける文書だ。最も具体性を 感じさせる部分は、最後に登場する、安倍晋三氏の祖父の名前だったり して。 (詳しくは、http://usfj.mil/の表紙の左側の"Reference Documents"と いうメニューをクリックし、新しい画面上に縦に4つ並んでいる青い正 方形の一番上をクリック) 一方、日本のメディアの関心は、主として北朝鮮問題と核拡散問題、 さらに米政府内の人事問題に集中し、日中米関連の質問といえば、"米 国は日本と同じレベルで中国を脅威と懸念しているのか"とか、"EU の対中武器禁輸撤廃の動きについて米国が協議することを提案したが、 日本政府の反応は?"などと、至ってノンキ。 どうも、日中米関係の本質を見抜いているようには見受けられないの だが。 ま、人事に固執するのは、日本の国内政治を取材しすぎたせい? 日本のメディアが、米政府高官に遠慮して難しい質問を避けたのか、 それとも「灯台下暗し」で、本当に日中米の関係の全体像を客観的に捉え られないのかは、定かではない。 前者も充分情けない話だが、もし後者が正解だとすれば、今後、国際 社会に進出する日本にとって、由々しき事態である! 日本の大手メディアは、日本が絡む国際ニュースとなると、どうも近 視眼的な視野狭窄に陥る傾向にある。 これは、"ニッポン、頑張れ!"と、短絡的な愛国心に駆られてしま う浅薄な記者が多いからなのだろうか? 記者にとっての愛国心とは、自国政府のご機嫌を取って国民を誘導す ることではなく、冷徹に現実を見据えることではないのか。 とにかく、米国大使館のホームページをちょっと読んだだけで、素人 でもヒントがたくさん見つかるのだ。 お偉方とのハイソなお付き合いに浮かれる日本の大手メディアの記 者たちの目は、曇ってしまうのだろうか? いずれにせよ、情報戦とは、かくも厳しく、したたかで非情なものな のである。 米政府にとって、今の日本の大手メディアは、赤子の手をひねるより 御しやすい存在であることは、間違いないだろう。 さて、次期駐日米国大使は、わずか数年でオーストラリアを一気に右 傾化させた豪腕、シーファー氏だ。 どうぞお手柔らかに、と祈らずにはいられない。 |
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