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2002年公開の『エピソード2/クローンの攻撃』では、サーガの変節がさらに エスカレートし、ついに原点の構図を180度転換するに至った。 新作から10年後の設定で始まるこの作品は、銀河共和国からの離脱を表明し た、何千もの星系への対応をめぐる物語だ。この離脱の動きは、銀河の平和と 秩序の守護者であるジェダイ騎士団にとって、憂慮すべき問題だった。離脱星 系が増えれば、数に限りのあるジェダイ騎士では、秩序を維持しきれない。 共和国元老院では、ジェダイを補佐するために、強力な軍隊を創設しようと いう提案がなされた。 |
ここで、1977年の『スター・ウォーズ』を思い出してほしい。第1作は、帝 国の圧政に抵抗し、自由を求めて闘う戦士たちの物語として産声を上げた。そ こで描かれたジェダイは、平和と正義のシンボルだった。 ところが今回は、そのジェダイが、分離主義者を監視および牽制しようとし ているのだ。ジェダイとは、実は銀河の平和を守る崇高な正義の騎士団などで はなく、共和国の用心棒的組織、あるいは工作機関のように見受けられる。 これは、旧三部作で繰り返し語られてきた前提を根底から覆す展開である。 そして、今はナブーの女王の位を退いて元老院議員となったパドメ・アミダ ラが、強大な軍隊設立の議案に投票するために、共和国首都コルサントに向か う。しかし、彼女の到着と同時に、何者かがテロ攻撃を仕掛けた。 ジェダイのオビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカーは、元老院 最高議長の依頼で、パドメの警護を務めることになった。 そしてある夜、再びパドメの暗殺未遂事件が起こり、二人のジェダイ騎士は 犯人を追ってバーの中に入る。そこで、オビ=ワンが犯人の腕を切り落とすの だが、その際に、アナキンがまるで刑事のような口調で「ジェダイだ(Jedi business)」と、周囲の一般人に告げる。 一般人がこれで納得するということは、ジェダイがこうした捕り物を日常的 に行っていることを意味する。 ジェダイとは、いったいどういう存在なのだろうか? |
その上、ヨーダの知力は前作にも増して頼りない。ひたすら、こむずかしい 顔をして、未来は予測できぬと繰り返すのみで、これでは何のためにジェダイ 騎士団が大きな顔をしてのさばっているのか、よく理解できない。 もっとも、ヨーダは最後に大活躍するのだが、これについては後述したい。 さらに、カミーノという星を調べにジェダイ・アーカイヴを訪れたオビ=ワ ンが、何の記録も発見できずに困惑し、幼いジェダイの弟子たちを指導中のヨ ーダに、助言を求める。 そこでヨーダが、幼い弟子たちにオビ=ワンの疑問を投げかけると、一人の 幼児が、誰かが記録を抹消したのだ、と正解を述べた。 オビ=ワンの洞察力が、まだ幼いジェダイの弟子たちよりも劣っていること まで暴露され、面目丸潰れである。 とにかくその後の調査の結果、オビ=ワンは、約10年に死んだジェダイ騎士 のサイフォ=ディアスが、カミーノ星人にクローン兵士の製造を注文していた ことを突き止める。これは、ジェダイ評議会の預かり知らぬことだった。オビ =ワンの報告を聞いたヨーダは、フォースにかげりが出たことを元老院に知ら せれば混乱を招くとして、弟子に事実の隠ぺいを指示する。 このように、ジェダイ騎士団は共和国の政治に積極的に関与しており、これ ではまるでCIAだ。 |
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