インフラ海外拠点東ヨーロッパ

40分遅れの完全敗北

セルビア新聞社の仕事
(撮影/文、ベオグラード在住HOS吉田)


ベオグラード郊外でバスとトラックが衝突、バスの前部が
酷く破損していた。原因はトラックが後進する際、運転手が後方を
良く確認しておらず、後進した時に偶然通勤バスが通りかかり衝突
したもの。バスの乗客3人が重軽傷を負った。撮影は2005年8月30日
バスの前部。激しい衝突だったことが分かる。
現場に到着したときは、未だ衝突して止まった状態だった。
この破損では、ボディーは丸ごと交換するしかないだろう。

この事故が発生した時、新聞社の記者クラブでは事故発生の急報
の無線を素早く傍受したのだが、記者連中は行くか、行かないか?
で、迷っていた。何故なら、事故現場は新聞社の在る中心街からだいぶ
はなれていて、車で飛ばしても30分近くかかる場所だった。
それより負傷者が出ているので、中心街に在る救急センターに行ったほうが良い
のではないか?と、考えていた。

 しかし、救急センターに行っても中には入れさせてくれない事は過去の
経験で分かっていたので、とりあえず事故現場に行こうと言う事になった。しかし、
僕ら取材チームが出発したのは、事故発生から40分も経っていた。悪い予感が
していた。「何処かの新聞社はもう既に到着していて、血まみれの負傷者を撮っ
ているにちがいない」と、僕は予感してた。

 そして現場に到着した時にその悪い予感は的中した。負傷者は既に救急セン
ターに搬送されていて、先に到着した別の新聞社は、血まみれの女性を撮影して
引き上げた後だったと、現場に居た野次馬から聞いた。その新聞社は当然なが
ら、次の日、紙面一面に堂々と血まみれの女性の写真を掲載した。僕らのチーム
は完全に敗北し、デスクの部長から大目玉を食らう羽目になった。

続く