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小泉ニッポン!"東アジア一人ぼっち"劇場 18

(報告:常岡千恵子)


  次は、日本の一部の大手メディアも伝えた、米紙の社説の要約をご紹介
する。

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『ボストン・グローブ』(米)                   2006年2月8日付
          −日本の歴史の教訓
 
	  
 

  日本の右翼政治家たちが、アジアの近隣諸国に不愉快な思いをさせると
いう危険な習慣を身に付けている。

 これらの国々は、日本の帝国主義の下でひどく苦しみ、日本の指導者
たちが帝国主義の日本に征服された人々に与えた恩恵を絶賛するのを耳に
するたびに、当然、怒る。

 新しい日本のナショナリストは、日本の帝国主義の過去の情け深さの神
話を、軍国主義の精神の復活の意図をもって、広めている。

 タカ派の麻生外相は、週末、愚かにも、台湾の先進的な教育のレベルは、
1895年から1945年の日本の支配のおかげだと宣言し、挑発な性格
を顕わにしてみせた。

 麻生氏のような右翼は、自らの政治的野望を進めるために、この種の非
外交的な行為に耽る。

 小泉氏が、自分の靖国神社参拝に外国人が騒ぐ理由はないとうそぶいて
いるように、麻生氏は、台湾の人々は半世紀間、より優れた日本人に支配
されて幸運だったとほのめかしても、日本の近隣諸国は気にしない、と考
えているようだ。

 中国と日本の間に、敵対意識が復活する必然性は何もない。
 だが、アジア中の安定に危険をさらすような展開を回避するためには、
日本の右翼はその好戦的なやり方を変え、中国の共産党指導者たちは、日
本の挑発をとらえて、自国民のナショナリズムの情熱を掻き立てることを
控えなければならないだろう。

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 お次は、タイ紙に掲載された、フリー・ジャーナリストによる、我らが
麻生大臣についての論評の要約をお楽しみいただきたい。

 記事中指摘された2006年1月20日の麻生大臣の国会での演説↓
日本語版http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/18/easo_0120.html
英語版 http://www.mofa.go.jp/announce/fm/aso/speech0601.html

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『バンコク・ポスト』(タイ)        2006年2月11日付
     −コメント/ 日本;華々しい無神経の達人
       日本の外相の無作法で、残業が続く東京の新聞の論説委員
                        フィリップ・J・カニンガム筆
		  


 どこの国にも、その国全体を不当に愚かに見せる政治家がいるようであ
る。
 時として、それは大統領や首相だ。

 日本の場合、ほぼ独力で日本を実際よりも傲慢で、無情で、無神経に見
せた、新しい外相がそれに当てはまる。
 この、反外交的な、政治家兼煽動家は何者なのか?

 それは、小泉首相の後継者候補の一人、麻生外相である。
 華々しい無神経の達人である麻生氏は、失礼で挑発的、そして不正確で
ただの笑止千万な発言によって、中国、韓国、台湾、シンガポールのカウ
ンターパートから、苦情が殺到している。
 米国のユダヤ防衛同盟からさえ、苦情を受け取った。

  彼に批判的な多くの人々が間違っている可能性はあるか?
  彼は、ただ、ひょうきん者になろうとしただけなのか?

  もしそうだとしても、不安定な東アジアでナショナリズムの炎を煽るこ
とは、ジョークなどではすまされない。
 そして、勤勉で、正直で、思いやりのある日本国民は、世界に対しても
っとまともな顔を持つに値する。

 たとえば、金持ちのユダヤ人に対する麻生氏の古典的な放言を考えあわ
せると、先月、彼がいうところの"(イスラエルの)シャロン首相の葬式"
に備えて会談をキャンセルしたのは、先の放言を不器用に補おうとしたの
かもしれない。

 国内では、麻生氏は、部落民を侮辱し、日本国は一民族というデマを繰
り返すことを好んでいる。

 2006年1月20日、日本の新外相が国会で外交演説を行った。
この、滑稽なはき違いの達人が発した、より慎重に言葉を選んだ演説で
あった。

 麻生氏は、言葉について自らの見解を披露した。
 これには、ノーム・チョムスキーも、シラケるだろう。

「外交における言葉の重みについて触れさせていただきます。(中略)
我が国には、伝えるべき信条がありますが、それは言葉となって初めて信
条とみなされるものです」。

 ワォ! では、最近数週間に麻生氏が発した、頭痛のするような名言の
いくつかについて、考えてみよう。

「英霊は、天皇陛下のために万歳と言ったのであり、首相万歳と言った人
はゼロだ。天皇陛下が(靖国神社を)参拝なさるのが一番だ」。

 いや、それは一番ではなく、とんでもなく程遠い。
 日本は、靖国神社と賢く距離を置き、公立学校での国旗掲揚と国歌斉唱
の義務づけを主張する、親天皇派と伝えられる右翼との親交を拒む、アキ
ヒトのような人物が天皇で、本当に幸いだといえるかもしれない。

 彼の父で、その名の下にアジア大陸で悲劇的な侵略戦争が行われた天皇
ヒロヒトでさえ、1978年10月にA級戦犯が合祀されて以降、靖国神
社参拝を控えた。

「たばこを吸うなと言うと、吸いたくなるのと同じだ」。

 これが、麻生氏の靖国問題に対する見解なのだ。
 非合理的にみえる靖国神社公式参拝を説明するのに、喫煙のメタファー
を使ったのは、煙に巻くことであり、意識せぬ啓示のようでもある。

 まず第一に、政治家が批判をかわすために、わざと悪行を繰り返すとき
は、決定的に幼稚な力学が働いているということを浮き彫りにしている。

 10年前はタカ派と目されたが、今は麻生氏のような類の人物と比較す
るとハト派に見える、橋本竜太郎元首相は、飛行機内のような禁煙の場で
喫煙を繰り返し、他人の権利の軽視と、権力を振り回したい気持ちを露わ
にしたものだ。

 政治エリートの家庭に生まれた麻生氏は、自民党の男性ボスの"世界は
オレの灰皿"的な態度をにじませている。

 そして、修正主義のイデオロギーが国内政治にガンのように広がる危険
性が最も高いのは、中国や韓国ではなく、日本である。

「台湾は(植民地時代に)教育水準が上がり、今もきわめて教育水準が高
い国であるがゆえに、今の時代に追いつけている」。

 帝国主義の日本は、労働の搾取と植民地の富の奪略をしていない時には、
いくらかの貴重なインフラをそのまま残したという主張には、多少の理は
ある。

 最悪の戦争でさえ、いくばくかのポジティブなスピンオフがある可能性
が高い。
 たとえば、ナチスはアウトバーンを建設し、フォルクスワーゲンを作っ
たが、これは(ドイツの)外相が自慢するべきことなのか?

 中国の、日本に支配されなかった地域でも識字率が高かったし、日本は
その筆記法と、その高度な文化の多くを、中国に負っていることも、加え
てもいいだろう。

 小泉氏のライバルであり、後継者候補でもある麻生氏は、彼を外相に任
命した小泉氏をも熟達した外交官に見せるほど、ハードコアなときがある。

 彼が外相に任命された理由は、そこにあるのかもしれない。

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  次は、2005年秋までは、小泉改革を絶賛していた英一流経済誌によ
る、小泉ニッポンの歴史認識報道の要旨をお伝えする。

    この英誌の転向を示唆する2005年11月の同誌の記事↓
   >>小泉ニッポン!"東アジア一人ぼっち"劇場 17

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『エコノミスト』(英)                         2006年2月18日号
          −過去の長い影
    日本は、1930年代と1940年代の残虐行為を、近隣諸国が納得
       するようなかたちで認めることができるのか? 



  2001年に小泉氏が首相に就任してから行った5回の靖国神社参拝
が、日本とその二大近隣国である中国と韓国の関係を政治的に冷え込ませ
た。

  靖国神社には、開国以来の帝国主義戦争で亡くなった240万人の戦没
者たちが祀られている。

  だが、東條英機を含む14人の戦犯も合祀されており、靖国神社は、日
本の軍国主義が行った残虐行為を控えめに認識し、あるいは否定さえし、
日本が加害者でなく被害者であることを強調する、弁解的な第二次世界大
戦観の基地となった。

  しかし、1930年代と1940年代には、日本人のせいで約2000
万人のアジアの人々が死んでおり、その多くが奴隷にされたり、拷問され
たり、レイプされたり、あるいは生体解剖を含む医学実験の被験者にされ
たりした。

  小泉氏は、この弁解的歴史観を持っていないことを、幾度も示唆してき
た。
  だが、彼の靖国神社参拝は、日本の支配下での残虐行為に最も苦しんだ
国々から、いまだに懐疑の目で見られており、小泉氏は、彼らの苛立ちに
無頓着のようだ。

  中国と韓国のうれしいことには、小泉氏は9月に退陣する。
  だが、靖国問題は、彼の退陣とともに消え去るわけではない。

  まず第一に、"日本は犠牲者"派は、日本政界の異端的右派ではない。
  数は少なくとも、彼らは自民党の中核を形成している。
  というわけで、日本の指導者が戦時の過ちについて謝罪するたびに、与
党の誰かが、すぐにこれを台無しにする。

  さらに、小泉氏の有力後継者候補2人、安倍氏と麻生氏が、両方とも靖
国神社参拝者なのである。

  安倍氏の公的発言は、昨秋の官房長官就任以来、慎重なものになった。
  しかし、彼はこれまで、日本の降伏記念日である8月15日の靖国神社
参拝の常連だった。

  よりあけすけな新外相の麻生氏は、ときおり、過去の日本の帝国主義の
主観的な貢献を絶賛する。
  そして、先月末、彼は、第二次世界大戦中の日本の兵士は天皇のために
死んだのだから、天皇も靖国神社を参拝するべきだ、と発言した。

  1978年の戦犯の合祀以後、天皇ヒロヒトは靖国神社参拝を取りやめ
た。

  東京のテンプル大学のジェフ・キングストン教授によれば、彼の息子の
アキヒトは、日本のアイデンティティを天皇中心に戻したいナショナリス
トから、天皇制を引き離すためために、別の行動を取っている。

  たとえば、昨年のサイパン慰霊では、日本の戦没者だけでなく、米国人
や島民や韓国人の戦没者に対しても、慰霊を行った。

  憲法上政治から切り離された皇室は、この議論に対して間接的にしか影
響力を及ぼせない。

  他方、ナショナリズムの高揚に、意外なことに、保守陣営の中から反対
の声が上がってきた。
  世界最多発行部数を誇る『読売新聞』である。

  同紙は、グループ会長かつ政界の黒幕である渡辺恒雄氏の下に、平和憲
法の改正を主張し、海外からのいかなる靖国神社批判にも反発し、より強
気の日本を推進してきた。

  だが、最近、渡辺氏は『読売新聞』にトーンの変更を命じた。

   現在、『読売新聞』は、日本の戦時の行動を検証するシリーズを連載中
で、8月までに"判決"を下すことにしている。
  しかしながら、過去は鎮まりそうにない。

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  今度は、米国の高名な日本政治学者による、世界的に発行されている英
経済紙への寄稿の要約をご紹介したい。
  去年、小泉首相も寄稿した、お馴染みの英紙である。

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『フィナンシャル・タイムズ』(英)           2006年2月21日付
         −日中の争いに終止符を打てる取り引き;
                                             ジェラルド・カーティス筆
		  


  日本の対中関係は、1972年に国交を回復して以来、最悪の状態にあ
り、さらに悪化し続けている。
  そうでないと主張する日本の指導者たちは、国民を欺こうとしているか、
もしくは自分自身を欺いているのだ。

  両国の政治的関係の急降下は、経済的関係が前代未聞の成長を見せてい
る最中に、出現した。
  だが、経済的利益が、政治的関係の悪化を止めるとは限らない。
  遅かれ早かれ、政治的緊張が、有害な経済的結果をもたらすだろう。

  問題は、両国がお互いの力を調停する関係を築くことができるか、それ
とも、ますます緊張を募らせるのか、だ。
  最も重要なのは、両国の指導者たちには、国内の支持を取り付けるため
に対立を利用するという誘惑に抵抗する勇気が必要だということだ。

  対立を回避するには、中国と日本が大いなる取り引きをする必要がある。
  日本は、首相の靖国神社参拝を控える決意から始めなければならない。
  靖国問題という信管を外しても、必ずしも対中関係が改善するとはかぎ
らないが、これはその前提条件である。

  小泉首相は、徴兵され、国のために最善を尽くして亡くなった若者たち
を、ただ慰霊するために靖国神社を参拝しているのだ、と言い張るかもし
れない。

  だが、靖国神社は、戦没者を祀る以上のものだ。
  これらの若者を戦場に送った昔の日本を絶賛している。

  小泉氏が靖国神社を参拝すれば、彼自身は明確にそうではなくても、こ
の歪んだ歴史観を維持したい少数の右翼ナショナリストを鼓舞すること
になる。

  だが、中国も彼に参拝を中止してほしいなら、その中止に対して肯定的
な反応を示す準備をしなければならない。
  中国が歴史問題に言及し続けても、日本のナショナリズムの炎をかきた
てるだけである。

  問題は、日本が誤った争点を選んで、断固とした態度を取っていること
にある。

  軍国主義の過去を絶賛する神社を執拗に参拝し続ける日本の指導者を、
いったいどこの国が弁護してくれるだろうか?
  これは、日本にとって、対中韓関係以上の問題になっている。
  まさに、広報の地球規模的大失敗に陥ろうとしているのだ。

  もし日本が頑として譲らなければ、大きな過ちを冒すことになる。
  それで、戦争が起こるようなことにはならないだろう。
  だが、日本と中国がこのまま対立を続ければ、両国のナショナリズム的
傾向が悪化し、若い世代が過去を鎮めるという希望が失われてしまう。

  中国も、緊張緩和のために日本はただ要求に従えと主張することは、大
きなリスクを伴う。
  中国が"平和的台頭"に取り組んでいると世界に確信させることは、中
国自身の利益になる。

  東アジアは、中国、日本、インドが経済的・政治的影響力を競い合い、
米国がバランサーとなる地域秩序を必要としている。
  中国と日本が激しく争い、ほかの国々がどちらかの側につかなければな
らない状況は、避けるように努めなければならない。

  米国とその他の国々は、中国と日本の指導者たちに、和解を求めること
の重要さを伝えなければならない。

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 日本の広報の地球規模的大失敗!!
 以下、ご紹介する小泉ニッポン報道の要旨をご覧になって、ご判断いた
だきたい。

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『ジ・エイジ』(オーストラリア)         2006年2月22日付
          −小泉時代の衰えとともに、憎まれ神社が後光を失う



  潮目が変わり、軍国主義の誇りとは逆向きに

  火を吐けなくなった竜のように、日本の小泉首相は、政敵たちが彼の
地位を狙って策動しながら、火を吐く姿を見せつけられている。

  だが、近づく小泉時代の終焉は、論争の的の戦争記念施設の靖国神社
が彼とともに消えていきそうでもあり、重要な回路遮断機なのかもしれ
ない。

  この神社は、日本による残虐な植民地支配のせいで、隣国の中国と韓
国にとっては、とくに恥知らずなシンボルである。

  (日本でも)反対の声が集結し、神社が国家的争点になってきた。
  重要なことに、世界最多部数を誇り、保守的な中流層のバイブルであ
る『読売新聞』が、突然スタンスを転換し、この神社を批判するように
なった。

  神社に異議を唱え、中国との貿易に頼る経済界のリーダーたちは、政
治的なコンセンサスを求めているが、次期首相候補の65歳の麻生外相
は、けんか腰だ。

  『ニューヨーク・タイムズ』が「日本の不快な外相」という社説を掲げ
た日、BBC(英国放送協会)で、麻生氏が「彼ら(中国と韓国)が靖国
神社についていえばいうほど、われわれは参拝する」と発言したインタ
ビューが放映された。

  もう一人の首相候補、52歳の安倍氏は、人気の高いナショナリスト
で、靖国神社参拝者だが、官房長官就任以来、慎重になった。

  3人目の候補の福田氏は、無宗教の追悼施設の建設を望んでいる。

  小泉氏が、予定された9月の退陣までに、その伝説的な政治的才能を
回復する可能性もあるが、最近、一連のつまづきに見舞われた。

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 上の記事は、同日、オーストラリア紙の『シドニー・モーニング・ヘ
ラルド』にも掲載された。

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『ザ・ビジネス・タイムズ』(シンガポール)
                                         2006年2月23日付
          −日本の改革と"さらば古きものよ"
		  


 小泉退陣−そして彼の後継者は、反動主義者のためにその椅子を温める、
つなぎの首相なのかもしれない

  昨年9月の選挙で圧勝した政治的プロボクサー、日本の小泉首相は、
今、彼自身がロープにもたれている。
  6ヵ月前には考えられない展望だったが、政治の世界では1週間は長
いとすれば、半年は一時代である。

  自民党の守旧派にカミカゼのような攻撃を加えた小泉氏は、無敵に見
えた。

  小泉氏は、すべてを完璧にコントロールしているように見えた。
  彼は自由気ままに、靖国神社騒動で中国と韓国を馬鹿にし、好きなだ
け米国に接近した。
  彼は、とどまるところを知らないようだった。

  だが、それもほつれ始めた。
  本日、彼の支持率が急落した。
  彼は、政界スキャンダルで、国会で攻撃を受け、政策でもつまづき、
日本の新聞の社説は彼の凋落を説いている。

  もしこの事態に世界中が沸き立っているのではないとしても、少なく
とも中国や韓国、その他のアジア諸国の政府は、高い関心をもって注視
しているにちがいない。

  小泉氏への攻撃よりも重要なのは、彼が在任中の5年間に掲げた改革
を、弱める動きがあるらしいことだ。
  リスクが報われる、より市場志向の経済や、起業などの概念が、多く
の日本人にとって、突然、不快なものになった。

  ライブドアや耐震偽装など、数多くのスキャンダルが、彼の責任にさ
れている。

  米国産牛肉輸入でさえも、小泉氏の米国との恋愛のせいだとされてい
る。

  一方、政策における小泉氏の主導権は、崩れている。
  女帝を認める皇室典範改正法案は、提出を見送られた。
  もはや、防衛庁の省への格上げも、ごり押ししていない。
  教育改革も手を緩め、憲法改正の法的手続きの確立に対しても、気乗
りしないようだ。

  つまり、小泉氏は退却し、彼の後継者は、反動主義者のためにその椅
子を温める、つなぎの首相になるかもしれないのである。

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『フィナンシャル・タイムズ』(英)         2006年2月23日付
          −神社参拝が、中日会談に影を落とす
		  


  中国の温家宝首相は、昨夜、日本の経産相との会談で、日本の指導者
による東京の戦争神社参拝を批判した。
  この会談は、アジアの二大経済大国間の、最高レベルの接触であった。

  この会談は、過去十年の間で最低に落ち込んだ、両国の関係を改善す
るために行われた。
  だが、中国において対日関係改善の大きな障害である、日本の指導者
たちの靖国神社参拝が、これに影を落とした。

  小泉内閣で最も親中派とされる二階氏は、日本がまだ対話に関心を抱
いていることを伝えるために、10月に経産相に指名されたのだと見る
人々もいる。

  前経産相の中川氏は、ガス田をめぐる争いで、二階氏より、かなり強
硬な姿勢を取っていた。

  日本国際研究所の海外フェローのロバート・デュジャーリック氏は、
傷ついた関係修復の誘因は双方ともにある、と語った。

  彼によれば、日本は最近、靖国問題で、密かに米国から圧力をかけら
れ、日本の小泉首相が幾度も口にしている、参拝に反対するのは中国と
韓国だけだという姿勢を修正するよう、迫られている。

  二階氏がハイレベルの歓迎を受けたことは、関係の部分的雪解けを示
していると伝えられているが、昨夜、中国人アナリストは、この訪中を
深読みしすぎるなと警告した。

  上海のフダン大学の国際関係論のシェンティンリ教授は、「私の見解
では、これは、中国が日本との健全な経済関係を維持することに関心が
あることを示している」と述べ、「日本に対しての政治的譲歩ではない」
と語った。

  アナリストたちは、小泉氏は靖国で引かないだろうが、9月の退陣後
に、この問題を緩和する方法を探る試みがあるかもしれない、と述べた。

  日本政府関係者は、中国政府は、大物政治家との会談を受け入れやす
くなっているようだ、と語った。
  政治アナリストたちは、おそらく中国政府は、小泉氏の後継者を選出
する9月の自民党総裁選に、影響を及ぼそうとしているのだ、と述べた。

続く