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英語圏大手メディアの自衛隊報道 6

(報告:常岡千恵子)


 お次は、グアムでの共同訓練の模様を伝えた記事の要旨をご紹介する。

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『パシフィック・デイリー・ニューズ』(米) 2005年7月15日付
     −日米ジェット機が、コープノースに参加



 もし1941年に逆戻りしていたら、昨日のアンダーセン空軍基地で のシナリオは、爆撃やジェット戦闘機の空中戦になっていただろう。  第二次世界大戦中、恐怖のシンボルとなった燃えるように赤い日の丸 に飾られた、日本のジェット戦闘機とレーダー早期警戒機が、唸りをた てて進む米軍のジェット機に向かって接近飛行した。  そして、ブリーフィング・ルームでは、日本の自衛隊のパイロットと 米空軍パイロットが並び、訓練飛行後のブリーリングを行った。  38歳の自衛隊パイロットのアンドウ・チュウジ2等空佐は、「日本 とアメリカは、戦いました」と述べた。 5歳の娘の父である彼は、基地滑走路にある彼のF4の傍らで、「戦 後は協力する必要があります」と語った。  かつての敵同士が、グアム上空とその150マイル先の範囲で、年1 度の訓練を行っている。  月曜日に開始された"コープノース"は、2週間の軍事演習だ。  この共同演習の米空軍側の作戦指揮官のジェフ・ドイル少佐によれば、 この共同演習には、両国の即応レベルと、"インターオペラビリティ" を向上させる意味がある。  この共同訓練は、日米の外交官が北朝鮮という共通の課題に取り組ん でいる時期に、グアム上空で行われている。  AP通信は、日韓米のネゴシエーターたちが昨日ソウルに集まり、今 月の6者協議の調整を行ったと報じている。  共同演習の日米の指揮官は、今年のノースコープと北朝鮮非核化の動 きには、何も関係がない、と語った。  この訓練には、ある面において、日本の防衛演習も含まれている。  ドイル少佐は、「お互いに学びあえればいい」と語った。  東京の日本テレビの取材チームが、ドイル少佐に、北朝鮮が戦争を始 めたら自衛隊はどのような役割を担うのかと尋ねたが、少佐は彼のレベ ルでは答えられない、と答えた。  この訓練には、自衛隊240人、米空軍300人が参加している。  ノースコープは、1978年から開始され、以後毎年行われているが、 今年は日本にとって、今までよりはるかに大きな意味を持っている。  この訓練で自衛隊を率いるウエダ・トモユキ1等空佐は、今年は、自 衛隊が戦後初めて、訓練目的のためとはいえ、地上目標に実弾爆撃した、 と語った。  ウエダ1佐によれば、これまで、日本の実弾爆撃訓練は、日本のスペ ースが不足しているため、海面の目標に対して行われてきた。  第二次世界大戦に負けた後、日本はその軍事力を自衛のためにのみ行 使できる。  F4の500ポンド爆弾の発射スイッチを押せることになったアン ドウ2佐は、笑顔を浮かべて「すばらしいです」と言った。 。。。。。。。。。。。。。  海外で羽を伸ばし、ゴキゲンな自衛官の笑顔が伝わってくるような内 容。  よく日本人の団体は、海外で羽を伸ばしすぎちゃう傾向にあるけど、 大はしゃぎは禁物だ。  海外では日本の大手メディアの目も届きにくくなるが、そこで兵器を 携行・運用する日本人が調子に乗ってトンチンカンなことをやると、大 顰蹙を買ってしまう。  この記事にも、そして前出のAP電にもあるように、外国人は"日の 丸"のついた装備を見ると、"あの戦争"を連想してしまうのである。  自衛隊の諸君、海外においては自ら外交官と任じ、よくよく言動に留 意されたし!! それにしても、6者協議再開に向けて調整が行われている最中に、戦 後日本初の空対地実弾爆撃訓練を行っていたとは!!  これって、やっぱり、日米で北朝鮮を刺激しているんじゃないかなぁ。  しかも米軍はグアムの軍備を増強中であり、中国も注目している。 2004年11月に日本の領海侵犯を行った中国の原子力潜水艦は、 グアムを一周していたとの報道もあり、自衛隊は微妙な時期に微妙な場 所で、戦後初の空対地実弾爆撃訓練を行っていたことになる。

続く