ヒマヒマなんとなく感想文|

「逃亡者の掟」国際指名手配第1号

(加藤健二郎 2012.2)


逃亡者の掟―国際指名手配第一号犯の4600日/人見 安雄(文藝春秋)

 逃亡者が身につけてゆく能力やノウハウは、究極の人間力に近づいていること が多いので、生き残り術大好きカトケンには勉強になることがいっぱい。

 そんな中でも、この本の逃亡者(日本人)は、身分を隠して逃亡し続けながら も、外国での高い社会的地位を築き上げてしまい、人生サクセスストーリーに達 してしまう。

 身分を偽り正体を隠し、常に逮捕されることへの警戒と偽装をしながらの人生 なのに、堂々と能天気に生きれる一般人よりも、有名人として成功できてしま う。こういうものを読むと「圧倒的な能力差」を感じざるおえない。逃亡者とい う非常に不利な社会的地位、もともとの人脈も金脈もない異国。それでも、圧倒 的な能力を持つ人は、ここまで登り詰められる。一方、合法的に生きる権利と環 境を持つ自分は、まあ、こんなもんでしかない。

 そして、この逃亡犯が魅力的なのは、国際的に女にモテること。恋愛を武器に して身を守り通したこと。恋愛という観点というか、この逃亡犯に恋愛した女側 の立場ということだが、こんなワールドワイドなラブロマンスを成し遂げる恋愛 劇ってどう?


続く