ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

東名高速の堂々たる欠番「No.2」−5




◆写真7
世田谷区大蔵5
大六天橋から東名高速道路上り線、世田谷JCTアプローチランプ合流部をのぞむ。
上り本線左側(写真右)の用地に外環道への合流ランプが設置される。下り線の
分岐ランプ予定地と同様に、現在は管理用通路として流用している。
(2009年10月24日、著者撮影。)

◆写真8
世田谷区大蔵4
グランド橋から東名高速道路川崎方向をのぞむ。
正面の大六天橋アンダークロス部の手前から世田谷JCTの分岐合流が始まる。
(2009年10月24日、著者撮影。)

◆写真9
世田谷区砧公園
公園橋から東名高速道路東京IC、首都高速方向をのぞむ。
世田谷JCTが設置されると、東京ICとアプローチ端部は、わずか1キロしか
離れていない。本線の拡幅が強いられるかもしれない。この区間は、側方余地の
ない掘り割りと、住宅地が近接する高架橋(仙川オーバークロス部)で構成され
ているので、拡幅は容易ではない。上り線は、東京IC出口と首都高速直通で織
り込みが生じるため、立体化を含めた複雑な制御が必要になると考えられる。
(2009年10月24日、著者撮影。)

◆写真10
世田谷区砧公園
環八東名入口交差点から東名高速道路東京IC入口をのぞむ。
些末なことではあるが、外環道開通時には東京ICから世田谷JCTまでの区間
は無料になる。
(2009年10月24日、著者撮影。)
 社会資本の整備順位は需要が見込まれる箇所から先行しなければならない。困
難な案件があったとしてもそれを乗り越えていくべきである。決して整備しやす
い箇所から先行してはならないと思う。2004年12月12日に伊勢湾岸自動
車道の豊田JCTと四日市JCTの間がつながった。東名高速道路と東名阪自動
車道が直結されたのだ。伊勢湾岸自動車道は、元々、新東名高速道路と新名神高
速道路をつなぐ路線であり、将来は東海道幹線になる路線である。しかし、この
ときは東名高速道路と三重県を結ぶ役割を果たすだけで、交通量は伸び悩んだ。

 その後、2008年2月23日に新名神高速道路の亀山JCTと草津田上IC
の間が開通すると、東海道幹線としての役割を果たすようになってきた。交通量
は急増し、新名神高速道路の未開通区間を補間する東名阪自動車道の四日市
JCTと亀山JCTの間は悲鳴を上げるようになってきた。渋滞が多発するよう
になり、接続する名阪国道、伊勢自動車道にも渋滞は延びている。また、東名高
速道路の音羽蒲郡ICから豊田JCTの間もきつくなってきた。4車線の道路で
1日10万台をさばくことになったのだ。

 この区間の交通容量は1日48000台なので、渋滞に関しては一触即発と言
える。2012年に新東名高速道路が三ヶ日JCTにつながれば、渋滞は三ヶ日
JCTから豊田JCTまでの区間に広がるだろう。愛知県内だけの短区間での利
用は敬遠したい。しかし、2012年までに併走する高規格道路である名豊道路
(国道23号)が全通する見込みはない。愛知県東部の道路交通は悲惨なことに
なるかもしれない。

 新名神高速道路の大阪側は、草津JCT以西の名神高速道路が京滋バイパスと
のダブルルートや、その先の拡幅を終えていて、なんとか受け入れられるように
なっていた。さらに2010年には京滋バイパスの久御山JCTから第二京阪
ルートで大阪に直結する。準備万端である。

 ところが、名古屋側は準備不足である。伊勢湾岸自動車道の四日市JCTとの
直結は早くても2018年度まで待たなければならない。新東名高速道路につい
ては、御殿場JCT側は既設の拡幅済の東名高速道路でなんとか受け入れられそ
うだが、三ヶ日JCT以西は準備不足である。伊勢湾岸自動車道の豊田JCTと
の直結は早くても2014年度まで待たなければならない。スムースな流れを維
持するためには、新東名高速道路は、静岡区間よりも愛知区間を先行させるべき
だったと思う。

 東京については、整備順位はそれほど間違ってはいないとは思うが、外環(世
田谷JCTと大泉JCTの間)は、中央環状品川線よりは先行させるべきだった
かもしれない。本当は新東名高速道路の静岡ルートの費用を愛知区間と外環に分
配した方がよかったのかもしれない。もしかしたら、先述の名古屋圏における東
名阪自動車道の着手が遅れた原因と似ているのだろうか。外環ルートは需要があ
るので、いつでも建設できると。

 道路先進国である欧米では、この40年の道路整備の進行は極めて遅い。これ
は政治経済に起因するのではなく、それまでにすでに整備済で運用期間に入って
いるせいである。日本は30年ほど遅れているので、そろそろ運用期間に入って
もよいのだが、都市部、特に東京の道路整備は欧米の諸都市に比べて整備が脆弱
である。高度成長期までは東京への投資が進んでいたが、投資途上のまま、その
後は、なぜか地方の道路整備に主眼が置かれるようになってしまった。このまま
運用期間に入ると東京の道路問題はいつまでたっても解決しないだろう。全国一
律に道路整備を止めるのではなく、きちんと現状分析をした数値を見て判断して
ほしいものだ。

 今後も機会を見つけて世田谷JCT散歩を続けるつもりである。ここに東名高
速からの分岐する高架橋ができるはずだ。ここに外環のトンネルの入口ができる
はずだ。これまでは楽しい予想だったが、今後はむなしい空想になるのかもしれ
ない。

 国鉄末期に、建設を進めてきたが中止された路盤が全国あちこちに見られるよ
うになった。これは未成線と呼ばれている。道路に転用しようにも鉄道の路盤の
幅はハンパで2車線は確保できない。かといって1車線では供用できない。せい
ぜいサイクリングコースにしかならない。利用見込みがないので未成線になって
しまったのであり、そんなところを自転車で走る人はいない。むなしい転用であ
る。道路についても用地は確保したが、結局、道路として運用しなければ未成線
のようなものである。意味のないものにこそ風情があるのかもしれないが、少な
くとも当方にはそれを楽しむ趣味はない。


(2009年11月3日、脱稿。)

続く