ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

名阪国道らしいアンバランス2



 名阪国道は、途中駅で乗れないことはないが、高速で通過する大交通量に注意
して出入りしなければならない。また、利用実態に合った案内をしなければなら
ない。そのため、利用者を不安にさせないよう、執拗に終点までの残距離を表示
している。路肩のキロポストでも残距離は確認できる。しかし、出入口の案内も
しなければならない。全区間が出入り制限された自動車専用道路なので、出口の
手前と直前にはインターチェンジ名と地元の地名を表示している。

これがくせ者なのだ。読めないのだ。馴染みのある地名はいくつか含まれている
が、短ピッチなので、どうしてもローカルな地名を使わざるを得ない。東京の場
合、東名高速道路起点は東京という大きな地名を使えたが、中央自動車道は高井
戸、関越自動車道は練馬である。東北自動車道、常磐自動車道にいたっては東京
都ですらない。練馬はまだしも、高井戸は杉並区の一区画にすぎない。

 これを三重県伊賀市や、奈良県天理市で適用されたらきついだろう。しかも、
奈良と伊勢を結ぶ歴史あるルートである。読み方は東京よりも難解だ。名阪国道
は交通量が多く交通渋滞を引き起こす。また、山岳ルートなので冬期はチェーン
規制もある。路側ラジオで交通情報を聞く機会もあるだろう。読み方のわからな
い地名を連呼するラジオは、利用者を不安にさせるかもしれない。

東京から和歌山に向かう長距離利用者が、名阪国道に入ったところで「やまぞえ
ICからいっぽんまつICまでチェーン規制中。はった出口は事故により通行止
めになっています。」と聞かされて、どう対処すればよいのだ。夜間ならば、伊
賀市付近以外は山に挟まれて真っ暗だ。

 名阪国道を安心して通過すべく、インターチェンジ名の読み方を記す。先述の
ように読めることは、書けることや、位置を知っていることよりも「理解」には
重要なのだ。かつては、東名阪自動車道を名古屋方面から走行すると、本線のま
ま名阪国道に進入していた。現在は、亀山からは伊勢自動車道に入ってしまう。
名阪国道には亀山IC出入口を介して接続するかたちになった。このかたちにな
る前から、亀山ICは名阪国道の起点として1番が振られていた。ただし、東名
阪自動車道からは、名古屋ICから昇順にナンバリングされていて、33番にな
る。細かいことを言えば、亀山ICは国道1号との接続インターチェンジであ
る。ここが1番で、東名阪自動車道との接続が33番になる。まあ、名古屋方面
からの下り線は33番で、大阪方面から上り線は1番でよいと思う。


 次の伊勢関ICは34番である。ここは、かつては伊勢自動車道との唯一の接
続箇所で、当時は関JCTと呼ばれていた。東名阪自動車道と伊勢自動車道が直
結する以前から、通しでナンバリングされていたので、関JCTのころから33
番の亀山ICのつぎということで34番だった。現在は、ジャンクションではな
く、伊勢自動車道のインターチェンジのひとつになっている。

◆模式図1
 亀山IC付近模式図。
(2005年3月以前)

◆模式図2
 亀山IC付近模式図。
(2008年3月以降)

◆写真1
 No.33 亀山IC
(名阪国道上り線からは、No.1)
 東名阪自動車道下り線、亀山IC出口(国道1号亀山市街方面連絡)から、大
阪方向をのぞむ。
 正面のオーバークロスは、名阪国道上り線から国道1号亀山バイパス方面への
連絡路。
 将来は、このオーバークロスの下を横切るかたちで国道1号関バイパスのオー
バークロスが設置される。
 なお、右側を並行する高架は、東名阪自動車道と伊勢自動車道の連結区間である。
(2009年5月23日、著者撮影。)
 2番の関ICは、東海道の宿場であり、市街地もある。それに伊勢自動車道か
ら国道1号鈴鹿峠方面には、この出入口を利用しなければならない。亀山IC
は、名阪国道と国道1号鈴鹿峠方面を連絡する亘り線は設置されていないのだ※
1。関ICは絶対に必要なインターチェンジということである。ここまでは、特
に読み方を記さなくても問題なく読めるだろう

 関ICまでは幹線道路との接続のため、まあ納得できる位置に出入口が設置さ
れ、そのネーミングも馴染みやすい。ここから先が名阪国道らしくなってくる。
 
※1 名阪国道と国道1号鈴鹿峠方面は、平面交差を介して連絡することはでき
る。3番の久我(くが)IC、4番の向井(むかい)IC、5番の板屋(いた
や)IC、そして6番の南在家(みなみざいけ)ICまでは、三重県亀山市だ
が、インターチェンジ名は字名である。市街地も見あたらない。久我ICと向井
ICの間は、関トンネルを含む山岳区間で、急カーブ、急勾配の連続する、大型
車にとってはきつい区間である。これらの地名に馴染みのある人は少ないだろ
う。それでもなんとか読める。

 この区間は上り坂での大型車の速度低下に起因して、渋滞が発生する区間であ
る。交通情報でインターチェンジ名を耳にすることもあるだろう。そんなときに
読める地名は安心だ。名阪国道を高速道路に昇格する計画はあるが、その際に
は、この区間はすべて取り替えると考えられる。

 なお、南在家ICは、字名が中在家に設置されている。出口の案内板にも「中
在家」と記している。ただでさえ馴染みのない地名なのに、さらに混乱させる。
しかし、このあたりには他に案内できる地名が存在しないので仕方がない。

続く