新富町出口を含む築地川掘り割り区間を便宜上「築地川ルート」と記す。築地
川ルートは明石町で、まっすぐ佃大橋方向と直角に南の築地方向に曲がる分岐
(入船分岐)に至る。ここまでは蓋がなくオープンだが、ここから先はいずれの
方向も蓋がかけられている。佃大橋方向は掘り割り空間が見えているが、上は佃
大橋、下は地下鉄有楽町線と構造物に挟まれて身動きがとれない。ここは、築地
方向に曲がるしかな い。
築地方向も掘り割り空間が見えている。築地本願寺脇を抜けて、門跡橋で晴海
通りに到達する。さらに、晴海通りをくぐり、水神社まで掘り割りは続く。つま
り、新富町分岐から築地6まで連続する路盤は完成している。入船分岐で見えて
いるように築地ルートは、2車線のトンネルが2本の構造である。一方通行の高
速本線としてはそのうち1本を使用することになるだろう。築地6で晴海通りの
南側を並行する川跡と直交する。この川跡を東に進めば、約300メートルで隅
田川右岸である。
10号晴海線の東雲方向への本線は、環状線から新富町分岐を使用して、さら
に築地川ルートの掘り割りトンネルを使えば、すでに築地6丁目に到達している。 |
◆写真12
築地川ルート入船分岐
新富町出口の先、築地川掘り割りは、入船町で、佃方向と築地方向に分岐す
る。佃方向(写真左側)にはきつく蓋がかけられたコンクリート構造になってい
る。舟運時代は、明石町地内で隅田川に達していたが、現在は使用していない。
地下空間がどこまで続いているのか不明だが、この空間を上は佃大橋高架橋、下
は地下鉄有楽町線と、大規模構造物に挟まれているので再利用は難しい。築地方
向(写真右側)は、鉄 格子で蓋がしてあり、掘り割り空間が連続していること
は明確である。
この空間は、 建築資材や重機の保管場所として利用されている。首都高速
10号晴海線は、佃方向ではなく築地方向に、既存の掘り割り空間を利用して進
むと考えるのが自然である。入船分岐ではほぼ直角のきついカーブになるが広い
掘り割り区間をフルに使用すれば、なんとか安全は確できると思う。ところで、
築地川ルートの晴海線は東雲方向の一方通行で、入船分岐のあたりでは2車線で
の供用と考えられる。写真で見てわかるようにここから築地までの掘り割りトン
ネルは2車線が2本準備されている。
左側 1本で十分である。新富町分岐線を無理に合流させずに、2本のまま築
地まで連続させれば2本とも使用することができるが、はたしてどのようになる
のだろうか。また、左側の佃方向のトンネルもなんとか利用したい。左側に分岐
してトンネルに誘い、ここにパーキングエリアを作るというのもおもしろい。本
線への再合流も容易である。掘り割りトンネルの左側はパーキングエリアの合流
車線専用にして、右側を本線にすれば安全で、かつ、既存インフラの有効活用に
もつながる。いずれにしても、晴海線延伸そのものが構想段階では、どんな妙案
も絵に描いた餅にすぎない。
(2003年9月13日、著者撮影。) |
築地川ルート上
中央区築地6、築地本願寺脇の築地川ルート上は、駐車場(築地川パーキン
グ)として活用している。入船分岐から築地6までの区間は蓋かけ公園になって
いたが、沿道に駐車需要のあるここから、晴海通りをくぐった築地市場脇の築地
5地内までは駐車場が続く。ということは、掘り割りは入船分岐から築地までの
約1キロの区間はトンネルになっているということである。沿道には高層建築が
林立している。その中で、未使用の掘り割りトンネルを守り続けているのだ。是
非活用してもらいたい。
(2003年9月13日、著者撮影。) |
◆写真14
采女橋
中央区築地4、首都高速(C1)環状線外回り車線から汐留方向、采女橋アン
ダークロス部をのぞむ。采女橋を、橋脚を必要としないスレンダーな桁橋に架け
替えれば、環状線中央部に地下からせり上がるかたちの内回り合流線を追加し
て、晴海線都 心延伸線の環状線内回りへの接続ができそうである。
(2008年12月23日、著者撮影。) |
◆写真15
采女橋アンダークロス部から首都高速(C1)環状線外回り汐留方向をのぞ
む。左側側壁が隅田川から晴海通りに沿う掘り割り跡である。ここに晴海線都心
延伸線の環状線外回りへの合流線を追加することができるかもしれない。左側の
側壁上は、銀座入口(No.16)である。このままでは、晴海線合流区間の延
長が短いので、銀座入口合流部を汐留トンネル手前まで伸ばす必要がある。この
とき、銀座入口ランプを下部に空間が確保できる側壁側だけで梁を支えるかたち
(逆L字構造)にすれば、沿道に新たな道路用地を確保しなくてもよい。ちなみ
に沿道は国立がんセンター、海上 保安庁の施設である。
(2008年12月23日、著者撮影。) |
◆写真16
銀座入口(No.16)
首都高速(C1)環状線外回り銀座入口から采女橋アンダークロス部をのぞ
む。幅員のせまい1車線になるが、本線中央にそびえ立つ采女橋の橋脚を取り除
けば、内回り本線(写真左側)に晴海線合流ランプが追加できることがわかる。
また、外回り本線(写真右側)の采女橋たもとには合流箇所に適した空間がある
ことがわかる。
(1984年2月29日、著者撮影。) |