ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

豊洲・1004−(02)



 晴海線は、豊洲出入口からさらに都心寄りに延伸する。豊洲出入口は、放射
34−1号と補助315号との晴海大橋南詰交差点の南側に接続している。補助
315号(豊洲・有明連絡道路)上には高架構造でゆりかもめが併走すが、延伸区
間はさらにその上をオーバークロスして、晴海大橋を渡り、晴海大橋北詰で放射
34−1号に接続する。この先は、放射34号との晴海3丁目交差点である。わ
ずか1.2キロの延伸で、2012年度開通予定で施工中である。ちなみに施工
命令では2013年3月3 1日までに工事完了としているので、2013年春
の開通と考えられる。

 ところで、首都高速には短い区間で同一方向の出入口が連続する箇所がないこ
とはない。汐留方向の都心環状線の銀座出入口と京橋出入口は800メートルし
か離れていない。しかし、銀座出入口が接続する東銀座と、京橋出入口が接続す
る八丁堀では、 ずいぶんイメージが異なる。いずれかの出入口だけでは不便だ
ろう。

 晴海線延伸区間は、晴海大橋を含む放射34−1号上に設置される。放射34
−1号は湾岸再開発で新設された道路で、広い幅員の高規格道路である。晴海大
橋南詰交差点の信号停車を1回パスするだけのために約100億円を投じて延伸
する必要がある のだろうか。

 実は、この延伸にはいろいろな思惑があると考えている。新たに設置される出
入口は「晴海仮出入口」と仮称されている。仮称ではあるが、名称に「仮」が含
まれている。開通後にどのような名称に確定するかわからないが、本来は、都心
から豊洲方向への出入口として計画されている箇所を、湾岸から晴海方向への出
入口として活用す るのは間違いない。

 横浜市中区の首都高速湾岸線の三渓園出入口は、1999年7月15日、湾岸
線東京方向との接続出入口として開設された。このとき、湾岸線はここまでしか
開通していなかった。三渓園(仮)出入口と呼ばれていたが、東京方向から走行
してきた場合は終点なので、特に出入口名を意識せずに利用されていた。その
後、2001年10月22日、湾岸線が杉田出入口まで延伸され、既に杉田出入
口から横浜横須賀道路金沢支線までは1999年7月15日に開通してので、湾
岸線は全通した。このとき、三渓園(仮)出入口は、湾岸線金沢方向との接続出
入口に逆転させて「仮」の文字が解消した。三渓園出入口は、計画当初から横浜
市中区本牧と金沢方向を連絡する目的 だったのだ。

 晴海(仮)出入口も三渓園出入口と同じような運用である。大きな違いは、
「仮」の期間である。三渓園出入口は1999年7月に三渓園出入口を含む本牧
出入口から横浜横須賀道路までの全区間を一気に開通させる予定だった。磯子区
での工事進捗の遅れにより、三渓園出入口と杉田出入口までの区間を同時開通さ
せる目処が立た
なく なった。かといって、目処が立つまで全区間の開通を遅れさせるのは社会
インフラと して得策ではない。遅れ区間以外を暫定開通させることにした。

 杉田出入口は金沢方 向との接続なので、そのまま使用できるが、三渓園出入
口も金沢方向との接続なので、使えない。しかし、1つ手前の東京方向との接続
出入口である本牧ふ頭出入口までは遠い。だいたい、当時の湾岸線端部が本牧ふ
頭出入口なので、延伸の意味がない。そこで、逆方向だが出入口を設置する予定
のある三渓園出入口のスペースを利用したのだ。暫定期間は、2年3ヶ月だっ
た。さて、晴海(仮)出入口の暫定期間はどのくらいなのだろうか。延伸工事に
着手していないだけでなく、計画そのものも明確になっていない。

◆地図2
 首都高速(B)湾岸線、三渓園(仮)出入口設置時の路線図。

◆地図3
 首都高速(B)湾岸線全通時の出入口配置図。
当初計画はともかく、晴海線は豊洲出入口まで開通した。そして、晴海(仮)出
入口までの延伸が確定している。これが現在における晴海線の全貌である。全通
後は、豊洲出入口は湾岸線と豊洲ふ頭を連絡する役割を担い、晴海(仮)出入口
が晴海ふ頭を経て、晴海通り都心方向を連絡する。豊洲ふ頭には築地市場の移転
計画がある。

ま た、2016年の東京オリンピックメイン会場予定地は晴海ふ頭を予定して
いる。オリンピックを逃したとしても晴海通りには大きな交通需要がある。いず
れの出入口も 投資に見合った有効な利用が見込めるだろう。

 さて、今回開通した区間は、何かと話題になる東京湾岸の出来事なので、多く
のメディアが取り上げている。たいていは道路そのものではなく、沿線のおしゃ
れスポットの紹介だろう。もし、道路にこだわれば、このレポートも少しは参考
になるかもしれないが、ここまでは首都高速のWEBサイト方が詳しく記されて
いる。それでも、敢えて当該区間を対象にチョイスした。次項に、その理由がわ
かる一文を記す。

続く