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「福岡北九州高速道路10年史」2

北九州高速道路

「福岡北九州高速道路10年史」福岡北九州高速道路10年史編集委員会 福岡北九州高速道路公社

 つぎに、北九州高速道路は、公社立ち上げ当時は、北九州市を縦貫する自動車専用道路の北九州道路(および北九州直方道路)と都心、および洞海湾岸を連絡する区間で計画された。ほかに当時は未開通だった九州自動車道の小倉東ICと八幡東区八幡を結ぶ区間が計画され、この路線を1号とした。全路線の線形が数学記号のパイ(円周率)に似ていると言われていたが、当方は「瓦」にしか見えなかった。

 最初の開通は、1980年10月20日、北九州道路の紫川ICとの直結を含む篠崎北出入口と湾岸の日明出入口までの1号、3号、2号にわたる区間である。開通日は、福岡高速の初開通日と同日である。複数の路線をつなぐかたちで、複雑な構造のジャンクション2箇所を含む高価な建設費を要したが、短距離だったせいか交通量は極めて少なかった。その後、1号区間を延伸し、国道10号大分方面への連絡機能を果たすようになった。それでもわずか14キロの高速道路の交通量はそれほど増えない。

 ところが、その後、北九州高速にとっては、画期的な事象が生じた。

 1991年3月31日、当時の日本道路公団管轄の北九州道路と北九州直方道路が、福岡北九州高速道路公社に譲渡されたのだ。九州自動車道の開通に伴う、並行する有料道路の開放である。門司区の春日出入口から八幡西区の八幡ICまでの32.8キロは、北九州高速4号に組み込まれた。重交通を担っていた有料道路組み込みの影響は多岐に及んだ。


◆地図3
福岡北九州高速道路公社立ち上げ時の北九州高速道路の計画路線図。
当時、北九州市を掠める都市間高速道路の役割の担っていた北九州道路と都心、
および港湾を結ぶ区間から着工し、1980年10月20日に公社初開通区間
として、篠崎北Rと日明Rの間3.8キロが開通した。路線としては、高速1号、
3号、2号にまたがるかたちになる。

  北九州高速は、ほかの都市高速と同様、通行料金は均一である。北九州道路、北九州直方道路は距離により料金が加算する運用だったので、長い区間を利用すれば割安になった。また、高速4号区間から既存の北九州高速区間を連続利用すれば、これまで2回支払っていた料金が1回になり、4号端部から都心まで利用すればおおむね半額以下である。既存区間の交通量も増え、4号と1号の接点である紫川JCTでは渋滞が発生するようになり、その対策も施された。紫川JCT内の織り込み区間を解消するための立体交差の追加である。高価なインフラを持て余していた北九州高速にとって、譲渡は有効なイベントである。

 影響は、既存区間の運用だけでなく、計画区間にも及んだ。1号延伸区間の下到津出入口と八幡の間が、4号と並行するため不要になったのだ。3枝直結の3号との愛宕JCTは有効に利用される機会を逸してしまった。

 なお、1号の計画見直しと4号の追加により、全体の線形はX字に見えるようになった。これは、当方も納得できる。

 その後、1号の当初計画の終点である八幡に接続する別ルートとして、5号が計画された。4号の大谷ICから分岐して北上する。2001年7月2日に枝光出入口までの2.4キロが開通した。4号大谷ICの改造(既存トンネルの拡幅や、複雑な構造の大谷出入口の設置を含む)、国道3号黒崎バイパスとの3枝直結を見越したダブルデッキの本線は、ずいぶん豪華なインフラである。枝光出入口脇のスペースワールドの凋落、2号若戸接続の未定と、明るい話題は少ない。国道3号黒崎バイパスはなんとか接続できそうだが、ここから有料の高速5号に乗り入れる交通が期待できない。枝光出入口までは1キロ程度で、距離が短すぎて有料では利用されないだろう。大谷ICを経て4号への交通はある程度期待できるが、現在大谷ICを利用している交通がバイパス経由になるだけかもしれない。

 福岡高速の説明で、高速ネットワーク構成にリダンダンシーが有効である旨を記した。北九州高速5号が開通すれば、4号と都心を結ぶルートは2つになり、この論理に合致して、北九州高速のネットワーク構成はより強固になる。ただし、既存ルートでも十分余裕があるのに、複数ルートは過剰インフラ整備になる。


◆写真7
北九州高速1号下到津R
国道3号への直結前の写真。出入口に挟まれた中央部分が、建設当時は八幡方面への延伸できるようになっていた。
(1993年5月16日、著者撮影。)

◆地図4
北九州高速道路の2008年11月時点の路線図。
(赤は開通区間、青は工事区間である。)
残区間の高速5号枝光Rと若戸(戸畑)の間の工事は進んでいない。
この区間の開通で、計画区間はすべて開通することになるが、
開通時期は未定である。

続く