ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

観光路線高速道路化の条件03



 さて、横浜南バイパスとして計画、施工が順調に進み始めたころ、東京湾岸を
高速道路で連絡する計画が進行してきた。東京湾環状道路計画である。これまで
に例のない高規格道路である。一般道路4車線(4種1級)、一般道路の自動車
専用の立体交差道路4車線(3種1級)、それに高速道路6車線(2種1級)、
合わせて14車線で、おおむね100メートルの幅員を有する。括弧内の等級は
道路の構造規格であ る。壮大な計画であり、いくつかのステップを経て整備が
進められた。

(1)成田エアポートアクセス 

 成田空港開港に伴い、京葉道路だけでは不足すると考えられ、東関東自動車道
と組 み合わせて羽田空港と成田
空港を連絡するルートに抜擢した。当時は羽田空港の沖合 展開前でビッグバー
ドではなく、現在の首都高速羽田西出入口と接続させたため、湾岸道路区間とし
ては大井埠頭から千葉市美浜区の間の整備を進めた。急を要していたため高速道
路だけを先行した。その後、順次一般道路が整備された。3種1級構造の整備は
見送られてきたが、TDL、幕張メッセによる交通需要増大でようやく一部区
間で当初の計画通りのフル規格が完成している。

江戸川区葛西臨海公園、市川市千鳥 町、千葉市花見川区浜田のあたりでフル規
格を見ることができる。
 東京湾岸道路の開通当初は、東京と千葉を結ぶ道路というイメージだったのだ。

(2)千葉県内房の国道16号バイパス

 大型車混入率の高い国道16号の千葉市と木更津市の区間におけるバイパスと
して 抜擢された。この区間につ
いては、東京湾岸道路が国道16号バイパスを組み込んだ と言った方がよいだ
ろう。道路構造は、成田エアポートアクセス区間とは異なり、一般道路主体のつ
くりになっている。広幅員の中央分離帯を有しているが、平行して内陸部に館山
自動車道が開通しているので、今後分離帯上に高速道路が整備されること は考
えにくい。せいぜい交差点の立体化くらいだろう。

(3)横浜市湾岸埋め立て地の開発道路

 高速道路としては、横浜ベイブリッジを開通させた。首都高速羽田横浜線の生
麦JCTから大黒線を経て、大黒JCTからベイブリッジを渡り横浜都心部の南
側に接続した。北側の金港JCT付近の渋滞を軽減させたが、必然的な目的とし
ては大黒埠頭と本牧埠頭を連絡させたことが大きい。しかし、これだけでは大き
な交通量は期待で きない。
 ほかに、磯子区から金沢区にかけての湾岸埋立地を連絡する道路に抜擢され、
整備可能な区間から順次一般道路を開通させた。不連続であり、開通当初の交通
量は極め て少なかった。

(4)首都高速羽田横浜線のバイパス


 羽田空港沖合展開の完了により大井埠頭と先行開通していた横浜ベイブリッジ
を結 ぶ区間を開通させた。

◆地図2
東京湾岸道路の路線図
赤線が一般道路、緑線が高速道路。実線が2009年5月現在の開通区間であ
る。一般道路の横浜市中区、磯子区には途切れた区間があるが、概要なので表現
しきれなか った。
 (1)から(4)まではおおむね広幅員で、一般道路と高速道路のハイブリッ
ド構造になっている。横浜市金沢区から東京を経て、千葉県富津まで連続してい
る。総延長約140キロのうち77%を占める。残りの23%に横浜横須賀道路
が組み込まれて いるのだ。
 残りは、時計周りで、千葉県富津市と横浜市金沢区を結ぶ区間である。富津岬
から横須賀市馬堀海岸までの海上区間は、東京湾口道路として長大橋が計画され
ている。開通しているアクアラインが批判されている現在、過剰インフラと思わ
れるが、とにかく計画はあるのだ。東京港トンネルや横浜ベイブリッジをハイブ
リッド構造にする のは問題ないが、さすがに東京湾口道路は高速道路のみである。

 さて、夢の東京湾口区間から三浦半島に上陸した東京湾岸道路は、横須賀市馬
堀海 岸から内陸部に進み、三浦
半島の稜線上を北上する。横浜市金沢区で海側に下り、金 沢区並木で東京湾岸
に至る。ここから先はハイブリッド区間である。
 つまり、馬堀海岸ICから釜利谷JCTまでは本線、釜利谷JCTから並木
IC(首都高速湾岸線)までは金沢支線と、今回開通した区間を含む横浜横須賀
道路そのものなのである。そのため高速道路のみの整備になる。金沢区幸浦から
八景島までの一般道路が開通していて、八景島から横須賀市追浜までの計画はあ
る。しかし、この一般道路が東京湾岸道路として機能するか疑問である。横須賀
市の湾岸は米軍施設が占めていて、高規格道路の整備は難しい。山側を貫通する
横浜横須賀道路を東京湾岸道路に組み込んだのは、このあたりの調整が難しいこ
とに起因していると考えている。

続く