さて、横浜南バイパスとして計画、施工が順調に進み始めたころ、東京湾岸を
高速道路で連絡する計画が進行してきた。東京湾環状道路計画である。これまで
に例のない高規格道路である。一般道路4車線(4種1級)、一般道路の自動車
専用の立体交差道路4車線(3種1級)、それに高速道路6車線(2種1級)、
合わせて14車線で、おおむね100メートルの幅員を有する。括弧内の等級は
道路の構造規格であ る。壮大な計画であり、いくつかのステップを経て整備が
進められた。
(1)成田エアポートアクセス
成田空港開港に伴い、京葉道路だけでは不足すると考えられ、東関東自動車道
と組 み合わせて羽田空港と成田
空港を連絡するルートに抜擢した。当時は羽田空港の沖合 展開前でビッグバー
ドではなく、現在の首都高速羽田西出入口と接続させたため、湾岸道路区間とし
ては大井埠頭から千葉市美浜区の間の整備を進めた。急を要していたため高速道
路だけを先行した。その後、順次一般道路が整備された。3種1級構造の整備は
見送られてきたが、TDL、幕張メッセによる交通需要増大でようやく一部区
間で当初の計画通りのフル規格が完成している。
江戸川区葛西臨海公園、市川市千鳥 町、千葉市花見川区浜田のあたりでフル規
格を見ることができる。
東京湾岸道路の開通当初は、東京と千葉を結ぶ道路というイメージだったのだ。
(2)千葉県内房の国道16号バイパス
大型車混入率の高い国道16号の千葉市と木更津市の区間におけるバイパスと
して 抜擢された。この区間につ
いては、東京湾岸道路が国道16号バイパスを組み込んだ と言った方がよいだ
ろう。道路構造は、成田エアポートアクセス区間とは異なり、一般道路主体のつ
くりになっている。広幅員の中央分離帯を有しているが、平行して内陸部に館山
自動車道が開通しているので、今後分離帯上に高速道路が整備されること は考
えにくい。せいぜい交差点の立体化くらいだろう。
(3)横浜市湾岸埋め立て地の開発道路
高速道路としては、横浜ベイブリッジを開通させた。首都高速羽田横浜線の生
麦JCTから大黒線を経て、大黒JCTからベイブリッジを渡り横浜都心部の南
側に接続した。北側の金港JCT付近の渋滞を軽減させたが、必然的な目的とし
ては大黒埠頭と本牧埠頭を連絡させたことが大きい。しかし、これだけでは大き
な交通量は期待で きない。
ほかに、磯子区から金沢区にかけての湾岸埋立地を連絡する道路に抜擢され、
整備可能な区間から順次一般道路を開通させた。不連続であり、開通当初の交通
量は極め て少なかった。
(4)首都高速羽田横浜線のバイパス
羽田空港沖合展開の完了により大井埠頭と先行開通していた横浜ベイブリッジ
を結 ぶ区間を開通させた。 |