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◆表1 伊万里港臨港道路の整備概要 |
◆表1の設計荷重のB活荷重は、かつては別の規格だった。高速道路黎明期は 「T Lー20」という規格で、総重量20トン車を考慮したものだった。これ では重交通 に耐えられないと判断して、1973年4月以降は「TTー43」 通称トレーラー規 格というトレーラー荷重を考慮したものに変わった。つま り、この時期以前に施工さ れた区間はTLー20で、以降はTTー43という ことである。もちろん、黎明期に 開通した区間において圧倒的に交通量が多い ので、集中工事などの大規模な補修機会 に順次強化しているが、本質的な改造 は難しい。そして、1993年11月にさらに 構造令が変更になったのである。 ところで、B活荷重を含めてこれらは高速道路に適用される国内最強規格であ る。 伊万里湾大橋は一般道路なのA活荷重にすべきだが、大型車混入率が高い と予測した 道路にはB活荷重が適用される。交通量の多い幹線国道だけでな く、交通量は少なく ても「率」が高い港湾部にも適用される。 |
◆地図1 伊万里港臨港道路位置図、および写真撮影位置図 |
◆写真1 伊万里市山代町楠久 国道204号山代町楠久交差点北側から伊万里湾大橋をのぞむ。 伊万里港側から伊万里湾大橋を通して外海の伊万里湾をのぞむ。 (2003年11月22日、著者撮影。◆写真1から6までは同様の撮影条件。) |
橋梁部(伊万里湾大橋)は伊万里港の新しいランドマークになるような目立つ 構造 である。形式は「鋼3径間連続中路ローゼ橋」である。伊万里港を出入り する船舶の 通行クリアランスとして、高さ(20.5メートル)だけでなく、 幅(200メート ル)を確保しなければならない。桁のない区間(中央径間) に200メートルを確保 する構造にはいろいろな形式が考えられる。 ところで、橋梁の形式には流行があるよ うな気がする。斜張橋がどこかで供 用すると、あちこちで供用する。エクストラドー ズドもあちこちでほぼ同時期 に供用した。そして、今はローゼ橋が流行っているよう な気がする。本当は単 に流行ではなく、当時の最新技術が採用されているに過ぎない と思うが、あち こちで新技術を必要とする架橋条件が見つかることが不思議である。 伊万里湾大橋の大きさを数値で示す。中央径間は250メートル、海面から ローゼ 橋の頂点までは50メートル、中央を挟む区間の径間はそれぞれ70 メートル※であ る。中央径間が航路に必要な200メートルよりも長いのは、 ローゼ橋自身の構造物 が通行障害になるせいである。航路のクリアランスは桁 下の長方形の空間なので仕方 がない。中央径間が長いほど橋梁の規模が大きく なるものである。わずか50メート ルだが、デザインが経済性に勝ったという ことになる。 ※橋梁の形式の表現 橋梁の形式は、例えば伊万里湾大橋の場合は「鋼3径間連続中路ローゼ橋 (70m +250m+70m)」というように、材質、形、規模がわかるよう に表記する。こ れで横から見た形は理解できる。さらに、◆表1のように上から 見た情報が提供され れば全貌が理解できるはずである。 橋梁の形式など構造上の詳細については、当方は詳しくないので専門サイトを 参照 していただきたい。また、現地の写真についても地元の写真家によるサイ トで鮮やか な写真が公開されている。「橋」に特化した関心をお持ちの方は、 「伊万里湾大橋」 というキーワードでの検索を勧める。上記の文面は、基本的 には道路関連の専門誌や 公的機関から入手したリーフレットに記載してある内 容、地元の新聞記事を参照して いるが、WEBサイトの情報だけでも十分であ る。(WEBサイトの情報には誤記が 多いので、それを確認する術があればタ イムリーで有効な情報である。) |
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