ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

佐賀県が注目されている 1



【はじめに】
 なぜか佐賀県が有名になっている。自虐的なネタによる揶揄であっても、それ
を容 認するおだやかな県民性にも好感が持てる。当方は現在、名古屋市在住で
ある。長年 にわたり大いなる田舎と揶揄対象にされている先輩として、健闘を
たたえたい気分で ある。ところで、話題になっているのは佐賀県のどこなのだ
ろうか。佐賀市周辺だろ うか。佐賀県は歴史のある土地だが、隣接する福岡県
の影響を受けて雰囲気が二分し ている。東部の鳥栖から佐賀市にかけて、それ
に北部の唐津までは福岡市の通勤圏に あたる。このエリアに人口は集中してい
るが、佐賀県らしさを感じない。やはり福岡 都市圏の影響を受けないエリアが
元来の佐賀県らしさを感じる。さらに、このエリア は二分される。

 長崎街道沿いの有明海沿岸と、複雑な海岸線を縫うように進む日本海 沿岸で
ある。前者は長崎という個性のあるエリアへの通り道の傾向が強い。そのため
いろいろな文化が入り交じり個性は消されてしまう。ところが、後者は福岡と長
崎の 通り道にしては遠回りになるので佐賀県の独自性が生き残る。このルート
は古くは長 崎だけではなく、朝鮮半島との交易のメインルートである。先述の
独自性は決して閉 鎖的なものではなく、国際的でとてもアカデミックなもので
ある。

 佐賀県の地名で頭に浮かぶのは、県庁所在地の佐賀、交通の要衝の鳥栖ではな
い。 温泉地で有名な武雄も浮かぶが、やはり、唐津、伊万里、有田の知名度に
はかなわな い。いずれもその名は世界に通じる。これは、愛知県の瀬戸、豊田
が名古屋を凌駕す るのに似ている。

 当方は文化論を記すような知識人ではないので、道路の話にもっていかなけれ
ばな らない。佐賀県にも注目すべき道路関連プロジェクトは多数見られる。目
立つものと して、有明海沿岸道路、佐賀唐津道路がある。前者には開通区間は
ないが、後者は厳 木多久道路、厳木BP(バイパス)として部分開通してい
る。両者を通して、福岡県 大牟田市から佐賀県大川市、佐賀市、多久市を経て
唐津市に至る地域高規格道路であ る。このルートの需要は決して多くはない
が、少しずつ増える傾向にある。特に目立 つ構造物(長大トンネルや長大橋な
ど)は設置されないので、ゆっくり整備していけ ば決して無駄な投資と揶揄さ
れることはないだろう。

 なお、厳木は「きゅうらぎ」と 読む。関西にも難読地名が多いが、九州のそ
れはさらに難しい。ただし、関西のよう にイントネーションに特異なものが少
ないので、カナをそのまま読めば通じるはずで ある。
 この報告では、くだんの地域高規格道路に比べて地味だが、以前から注目して
いた 伊万里港臨港道路について記す。


【現況】
 伊万里港臨港道路は、◆表1の規格で計画されたわずか3キロの一般道路であ
る。 1990年に着手し、2003年3月9日に伊万里湾大橋を含む全線が暫
定2車線で 供用した。(位置は◆地図1を参照。)

続く