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◆写真3 大田区荻中3 環八通り外回り(北行き)、産業道路と交差する大鳥居交差点南西角から、南蒲 田方 向をのぞむ。 大鳥居交差点は、京浜急行空港線が斜めに平面交差していたため、環八通りは互 い違 いに接続していた。京浜急行線が大鳥居駅を含めて地下構造に変更され、 環八通りの 直通が滑らかになった。また、このとき京浜急行線の敷地が環八通 りの用地に転換さ れ、計画通りの幅員を確保した。 (2002年6月12日、著者撮影。) |
この時期は、大田区でも開通延長を伸ばした。1981年の項でも記した大田 区鵜 の木にある光明寺の前後区間と、萩中にある京浜急行空港線の 大鳥居駅の西側の区間以外が開通した。未開通の2区間はいずれもわずかな距離 だ が、環八通りの連続性は保てないので開通区間の交通量は決して多くない。 先述の杉 並区での開通のようなインパクトはなかった。次の時代に期待したい。 【2003年】 ついに大田区内の未開通2区間が開通した。この開通により羽田空港内を通過 して 湾岸道路から杉並区まで直通できるようになった。環八通り沿線だけでは なく関越 道、新大宮BP沿線の広い範囲で、羽田空港への短絡ルートが確立し た。さすがに新 大宮BP沿線からは首都高速で都心を経由する方が早いかもし れないが、肝心の首都 高速5号池袋線の特に上り線は渋滞多発区間なので、環 八通りは有効な迂回ルートに なるはずである。ところで、環八通りには井荻の 西武線との平面交差という致命的な ネックがあったが、すでにここには井荻ト ンネルが開通している。完全に渋滞が解消 したわけではないが、スムースな走 行が難しい時間帯においては首都高速と対等に扱 えると思う。 スムースな走行ができる時間帯ではやはり走行速度の高い首都高速の方 が有 利なので、このあたりは臨機応変に選択してほしい。首都高速湾岸線を横浜方向 から走行して、多摩川をくぐる手前で埼玉県美女木までの走行時間が首都高速経 由と 環八経由で表示されていれば選択しやすいが、さすがにこのような広域で のピンポイ ント情報は提供しにくいだろう。 |
◆地図5 2003年の環八通り整備状況 |
交通量は羽田空港から大田区、世田谷区と北上するにしたがって多くなる。第 三京 浜と接続する玉川ICから笹目通りと接続する南田中まではほぼ飽和交通 に達してい る。直通する笹目通りの交通量も飽和交通のまま谷原交差点に至 り、以北はやや少な くなって新大宮BPに到達する。南田中以北は環八通りで はないが、本来の環八通り の全通までは環状道路の機能を果たすことになる。 この時期は笹目通りと併せて暫定的な8番目の環状道路が機能を発揮し始めた こと が目立つが、本来の環八通りの区間も明瞭になってきた。練馬区南田中か ら北東に練 馬区、板橋区、北区を横切って赤羽に通じる区間である。練馬区貫 井5の目白通りと の交差点から練馬区錦2の川越街道との交差点まで、それに 板橋区相生町の首都高速 5号高架下から終点の赤羽までが開通した。前者の区 間は平和台ではすでに短い区間 で開通していたが、練馬春日町の前後区間は新 規に用地を買収して建設した。後者の 区間は板橋区志村付近ではそのままだ が、中山道との交差点以東の主に北区内は狭い 既存道路を拡幅している。 前者の区間を練馬区間とする。この区間は目白通りと川越街道との放射方向に おけ る亘り線になる。例えば関越道と首都高速都心方面の連絡は、大泉JCT から東京外 環道で美女木まで、ここから首都高速5号というルートになるが、 このルートは遠回 りで外環道の料金も加算される。練馬ICから目白通りで都 心に向かうと適当な箇所 に首都高速の入口が見あたらない。豊玉陸橋から環七 通りで川越街道に亘り北池袋か ら首都高速に入るか、目白台まで進んで護国寺 で入ることになる。これらに比べて環 八通り経由で北池袋へのルートが最短で ある。有効なルートが確立したように見える が、川越街道は渋滞多発区間なの で早めに亘るのと墓穴を掘る。 また、首都高速5号 上り線も流れが悪いので、案外目白台まで進んだ方が早 いかもしれない。練馬区間は この開通で交通量がかなり多くなったが、大型車 が昼夜を問わず走行する幹線には至 っていない。この区間の道路規格は既存道 路と新規区間との差異が大きい。既存道路 は幅員の狭い4車線の平面道路だ が、新規区間は同じ4車線でも幅員が広い。路肩や 歩道が広く、練馬春日町に は特に高規格道路と交差しているわけもないのに長い練馬 春日町トンネルが設 置されている。目白通りとの交差点で開通区間は途切れるが、こ の交差点は練 馬中央陸橋という高架橋で通過する。この付近の目白通りは石神井川に 沿う谷 地を通過するので仕方がなかったのかもしれないが、ここから南田中までの工 事中区間は全線トンネルである。新規に用地買収して開通させた区間は、本線は トン ネルというのが基準になっているようだ。 後者の区間を北区間とする。この区間は既存道路の拡幅で、全線が平面構造で あ る。練馬区間に比べて、中山道や新大宮BPと北本通りを結ぶ幹線として機 能してい る。新河岸川、荒川右岸に沿うかたちになっているためこれらを越え る橋梁への連絡 交通が集中している。また、内側の環七通りは、この区間(中 山道陸橋と神谷陸橋の 間)は渋滞多発区間なので、迂回ルートにもなっている。 これらの開通により環八通りの未開通区間は2区間(◆地図5の下段の拡大図で 点線 の区間)になった。前者が2.7キロ、後者が2キロで、合わせて4.7 キロ。20 05年度に開通する予定で工事は全面展開している。 |
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