ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

環八通りの77年 10

【2006年】
 未開通の2区間は2005年度には開通させる予定で工事を進めている。市街
地で の大規模プロジェクトは遅延するのが一般的だが、スムースに進捗したと
して200 5年度ぎりぎりの2006年3月には開通することになる。

◆地図6
2006年の環八通り整備状況
 ところで、環八通りは環七通りと同様に主要交差点が立体化された高規格道路
であ る。幹線道路との交差点には環八通りの本線が高架橋(オーバーパスまた
はアンダー パス)、トンネルで通過するかたちのものや、交差する放射道路の
本線が高架橋で通 過するかたちのものなど、いろいろなかたちの立体構造物が
設置されている。

 2006年の全通時にこれらすべての構造物が完成しているわけではない。い
くつ かの構造物の設置は間に合わない。あくまでも平面道路として環八通りは
全通しただ けで、シビアに言えばまだ暫定開通である。◆地図6に全通時の立体
構造物の位置を 示した。環八通り(青線)に含まれる赤線が環八通りの本線パ
スで、交差するのが放 射道路の本線パスである。OPはオーバーパス、UPは
アンダーパス、TNはトンネ ルである。なお、構造物の名称は2004年8月
時点で未供用のものは仮称である。 これは、本報告の以降においても適用す
る。名称は位置を把握するための目安と考え ていただきたい。

 湾岸道路から順に見ていくと第二京浜(R1)を越える矢口OPまでの長い区
間に 構造物が設置されていない。その間には産業道路や第一京浜(R15)と
の交差もあ るが、これはどういうことだろうか。実は、これらの交差点にも立
体交差は計画され ている。単に2006年の全通時には間に合わなかっただけ
である。次項でも記す が、いずれも放射道路の本線パスが計画されている。

 矢口OPの先は杉並区の甲州街道との高井戸OPまでは、構造物はやや長い間
隔で 設置されている。放射幹線道路との交差点にはすべて設置されているの
で、単に放射 道路の間隔が広いということである。

 高井戸OPから川越街道との錦OPまでは、構造物が密に設置されている。特
に井 荻TNから先は構造物が連続している。最後の開通区間になった練馬区間
は放射道路 との交差点の制御には関係なく、沿線の住環境保護のためトンネル
構造物で通過させ ている。当初の計画には含まれていなかった構造物である。
純然たる交通制御の観点 では、少なくとも南田中TNと練馬春日町TNは立体
構造物には含めない方が良いか もしれない。

 例えば、全区間が構造物である首都高速を語るとき、出入口やジャンク ショ
ンを説明のためにピックアップすることはあるが、これらの途中の構造物をとり
あげることは希である。出入口やジャンクションは分合流部で、本線を走行する
視点 において最もわかりやすい目印である。したがって、一部の例外※を除い
て、分合流 に関わらない構造物は開通後にピックアップされる機会は少ない。
それでも、一般道 路の環八通りにおいては位置を説明、理解するためのランド
マークになりうるので、 これらの構造物についても放射道路との立体構造物と
同等にあつかいたいと考えている。

※分合流以外の構造物がランドマークになる例
 首都高速においても分合流部の間隔が長い区間の途中の地名や、目立つ構造物
(ト ンネル、長大橋)はランドマークとして、例えば交通情報のような位置を
伝える機会 に使用されている。前者は、1号羽田線の東品川、3号渋谷線の駒
沢など。いずれも 本線に表示板が設置されているが、果たして誰にでも理解で
きるものだろうか。後者 はレインボーブリッジ、東京港トンネルなど。これら
は問題ないだろう。

 板橋区と北区には構造物は設置されていない。計画はあるが、全通時には間に
合わ ない。

 環八通りは、環状という冠をかぶっているが環状ではない。「C」のかたちの
半環 状である。このようなかたちの環状道路では一般的に端点から徐々に交通
量が増え て、中点でピークになり徐々に少なくなってもう一つの端点に達する
パターンにな る。環状道路というのがキーになる。まず、全区間を通過する交
通は少ないという前 提がある。次に平均走行距離を延長の25%と仮定する。
端点からはそれぞれ中点方 向に25%までしか利用しない。ところが中点から
はそれぞれの端点方向に25%ず つ進む。中点に近いほど利用のリンクに重複
が多くなるのだ。

 交通流のパターンは現地の諸々の条件が関わるため机上の一般論が当てはまる
こと はほとんどない。一般論は目安にすぎない。それでも、環八通りにはある
程度は当て はまることがあるようだ。端点に近い大田区や板橋区、北区よりも
中点に近い世田谷 区、杉並区の交通量ははるかに多いと考えられる。練馬区は
やや中点に近いがそれほ ど多くはないと考えられる。これは笹目通りとの位置
関係のせいだろう。環八通りが 全通しても練馬区南田中以北は笹目通りとの分
散機能は変わらないということである。
 先述の構造物についても端点に近いほど少なく、中点付近で多くなるのは、需
要に 応じて設置されていることの証である。

続く