ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

環八通りの77年 6



【1981年】
 環八通りは開通区間を南北双方向で順次延伸していった。この時期で目立った
のは 北側の杉並区での延伸である。練馬区との境にあたる千川通りおよび旧早
稲田通りま で、杉並区を南北に貫通した。高井戸西2と南荻窪1の川南交差点
までの区間は長い 間既存の地道で代用していたが、まっすぐ北進する広大な道
路として開通した。この 区間には、井ノ頭通りと五日市街道をいっぺんに高架
でパスする高井戸北オーバーパ スが設置されているが、開通当時は側線のみの
開通だった。開通区間は杉並区内だけ で、交通需要もそれほど多くなかった。
そのため構造物の設置は見送られた。もちろ ん、さらに北側の井荻トンネルも
設置されていない。ただし、井荻トンネルは元々西 武線の方が高架になる予定
だったので、後から計画変更されたものである。※

◆写真2
杉並区下井草5
西武新宿線井荻駅構内から環八通り井荻オーバーパスをのぞむ。
このオーバーパスの下に西武線をアンダークロスする人道トンネルがあり、さら
にそ の下に井荻トンネルがある。このあたりの環八通りの幅がせまいことがわ
かる。4車 線分の道路用地しか確保していない。スルートラフィックのパスを
設置する場合は側 線を設置すれば上下1車線ずつ、併せて2車線分の構造物し
か設置できない。この論 理で、井荻オーバーパスは2車線になっている。
(2003年9月13日、著者撮影。)
※井荻トンネル
 立体交差が当初から計画されていた箇所は、本線と側線の道路用地を確保しな
けれ ばならないため、ほかの区間よりも広い。井荻トンネルは1263メート
ルの長いト ンネルだが、もし当初から計画されていれば、この区間はすべて広
い道路用地を確保 していたはずである。井荻トンネル南出入口と北出入口は広
い用地を確保していた が、途中の西武線との交差部などは本線分しか確保して
いない。

 実は、南出入口は早 稲田通りと交差する清水3交差点だけをパスする予定
だった。清水3交差点をくぐる とすぐに平面に戻り、平面のまま北上する。側
線は本線に合流して道路の幅はせまく なる。高架になるはずの西武線をくぐっ
て、再び道路の幅が広がる。千川通りと交差 する八成橋第二交差点をパスする
立体交差が予定されていた。この立体交差の用地が 井荻トンネルの北出入口と
して利用されている。

 つまり、井荻トンネルの出入口は計画していた2つの立体交差用地を流用して
いる のである。一般的に立体交差の構造物が本線になっている区間は、たとえ
トンネルで も本線の外側に側線の用地を確保している。しかし、井荻トンネル
中央部の約600 メートルはトンネルの幅と地上の道路用地の幅は同じであ
る。せいぜい歩道分だけ地 上の道路用地が広い程度である。

 なお、井荻トンネル中央部の地上には地先道路として西武線のオーバーパスが
設置さ れているが、この道路は上下併せて2車線である。交通需要が少ないせ
いでもある が、新たな道路用地を確保しなくても済むからである。

◆地図3
1981年の環八通り整備状況
 前項でも記したが、この時期には東名高速道路と首都高速3号渋谷線が接続し
た。 東名高速道路は東京IC、首都高速3号渋谷線は用賀R(ランプ)と名称
が異なる が、同じ交差点にダイヤモンド型インターチェンジのかたちで環八通
りと平面交差し ている。すべての方向に連絡しているように見えるが、実は東
京ICと用賀ICの間 で環八通りを介して直進することは規制されている。

 首都高速3号で渋谷方面から走 行して用賀Rで下りて、環八通りとの交差点
を直進して東京ICから東名高速道路で 横浜方面に向かうケースや、その逆の
ケースは無理である。用賀出口、東京IC出口 はいずれも環八通りの交差点で
右左折専用ということである。まあ、せっかく直結し ているのにこんな妙な利
用はしないと思うかもしれないが、案外そうでもない。特に 東名高速上り線は
首都高速に入ってすぐの本線料金所(用賀TB)をアタマにした交 通集中起因
の渋滞が発生する。この渋滞は東京IC出口利用車両には関係ない。

 多摩 川橋を越えて神奈川県まで続く渋滞列を右に見て、最左車線を高速で通
過して東京I Cで下りて、再度、用賀入口から首都高速に入れば待ち時間は短
縮されるはずであ る。東京にはこのように狡いことがしにくいような規制が多
い。規制事情に精通して いない人は、素直に列に並んでいる方が無難である。
ところで、これは偏見かもしれ ないが、このような規制は東海、関西など西日
本には少ないような気がする。西に行 くほど「こんなことも許されるのか」と
感じることが多い。東京の人はUターンや路 上駐車は標識を見るまでもなく禁
止だろうと思っているのではないだろうか。西日本 では、そうでもない。

 都心部でも路上駐車できる道路はある。もちろん、パーキング メーターでは
ない。いつも無料だ。実は当方もこの路上駐車をときどき利用している が、路
上なので車上荒らしにあわないようにいつも県警本部前の路上に駐車してい
る。違反ではないのはわかっているが、入口には常時制服の警官が立っているの
で、 会釈くらいはしている。防犯のためにここに駐車すると記したが、本当は
ここがいつ も空いているからでもある。違反にはならないとわかっていてもや
はり県警前は敬遠 するのだろうか。あえて何県の県警前かは記さないが、少な
くとも桜田門の前では永 遠にありえない光景だと思う。

続く