ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

日本〜フランス・ジャンクション比較15



 都市間高速道路のダイナミックなジャンクションを都市部に設置することは難
し い。大規模な区画整理で実現したとしても市街化が進行すれば無駄な空間に
なってし まう。様々なかたちの橋脚が林立する高架構造のジャンクションにす
れば良いのだろ うか。アメリカの都市の多くは、ハイウエイが設置されてから
市街化が進行してい る。そのため、現在では都心までハイウエイが進入して、
広大なジャンクションが都 心に存在している。

 東海岸のニューヨークやボストンなどアメリカ黎明期から市街化 の進行した
古い都市では、既存市街地にハイウエイが後から進入したかたちになって い
る。ボストンは大規模な再開発で、都心まで進入しているが、ニューヨークでは
い まだにマンハッタンを横断するハイウエイは存在しない。マンハッタンを周
回する区 間は整備されたが、老朽化により半分は撤去されてしまった。アメリ
カには既存市街 地に後からハイウエイが進入したケースは余り見られないのだ。

 アメリカに比べて歴史のあるヨーロッパでは、ある程度は既存市街地に進入し
なけ ればならないケースが発生しているが、多くは都心の手前までしか到達し
ていない。 パリは、都心を周回するペリフェリックが奇跡的に整備できたの
で、ここまでは到達 している。ドイツには都心に進入しているように見える都
市もあるが、正確には高速 道路がそのまま進入しているのではなく、一般道路
の自動車専用道路にレベルを落と している。

 これらの多くは都心で終点になり、都心を抜けるルートには使えないこと が
多い。ヨーロッパは多くの国、つまり多くの個性で構成されているので一概には
言 いにくいのだが、アメリカと同様に既存市街地の深奥にハイウエイが進入す
るケース は少ない。

 国内は首都高速を擁する東京、横浜だけでなく、名古屋、大阪、神戸、北九
州、福 岡の都心に都市高速道路が進入している。いずれも都心を通過すること
に利用できる かたちでの配置である。今後は、広島、京都にも同様の配置が予
定されている。ハイ ウエイの先駆者である欧米には見られない傾向である。
 アジアの諸都市は、どうやら日本に倣っているようで、台北、上海、バンコク
など の都市高速道路の景観は、ほとんど日本の大都市と変わらない。

	  





続く