ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

日本〜フランス・ジャンクション比較14




◆写真位置図4 オーレル・パラディヌ通りとの交差部からポルト・ド・シャンペレ方向をのぞむ。 (◆写真18から◆写真20までの撮影位置図。)

◆写真18 左は、環状外回りからオーレル・パラディヌ通りへの出口ランプである。正面の トン ネルは8車線の本線とくだんの出口ランプを合わせて広い幅員になってい る。掘り進 んだのではなく、堀割の蓋かけである。内回り本線は側壁をやや オーバーハングさせ て環境施設帯になっている。銀色の大型防音壁で覆うだけ の日本の高速道路に比べ て、沿道景観に違和感を覚えないスマートのかたちで ある。実は、重交通を担うペリ フェリックには数多くの環境施設帯が設置され ている。それらは地区によりデザイン も素材も異なる。このあたりを主題にし ても多くを語ることができるので、機会があ ればまとめてみたい。

◆写真19 オーレル・パラディヌ通りからポルト・ド・シャンペレ方向をのぞむ。右側の環 状内 回りのトンネル入口に「P」のサインがある。パリ都心を周回するペリ フェリックに は多くのパーキングエリアが設置されている。いずれも大規模な ものではなく、ちょ っとしたスペースを見つけて数台が一時停車できるように なっている。休憩施設が充 実しているわけではない。せいぜいトイレがあるく らいである。しかし、セルフサー ビスのガソリンスタンドや自動車整備所が設 置されているところが多い。日本の高速 道路は飲食できるところは頻繁に見つ かるが、自動車整備は数十キロ間隔のサービス エリアまで見つからない。日本 車は故障が少ないのでニーズは少ないのかもしれな い。また、日本車は燃費が 良いからガソリンスタンドはそれほど多くなくても良いの かもしれない。それ でも、自動車そのものへのサービスが充実している道路の方が安 心して走行で きると思う。 なお、ペリフェリックのパーキングは、地形の都合で生じた堀割区間の空きス ペース だけでなく、出入口のランプの高架下も利用している。また、オーバー クロス橋の下 も利用している。橋のスパンを広くして、クロスする道路の下に スペースを設けるの である。

◆写真20 環状外回りからオーレル・パラディヌ通りへの出口ランプからポルト・ド・シャ ンペ レ方向をのぞむ。
【国内への適用】

 冒頭で記したように、国内の都市部の高規格道路の結節点は、機能重視で景観
軽視 の傾向がある。郊外の都市間高速道路と同じ機能を実現するためには狭い
道路用地の 空間をフルに利用しなければならない。それでも、都市間高速道路
よりも低い規格し か実現できないことが多い。同じ規格でも様々な規制により
低いレベルでのサービス しかできないのだ。例えば、首都高速湾岸線と東関東
自動車道は、東京湾岸道路の自 動車専用道路区間は同じ規格である。

 しかし、東京港トンネルを含む昭和島JCTと 13号地Rの間は制限速度が
60キロに抑えられている。東京港トンネルはサグ状 で、飽和交通を担うため
危険なので仕方がないかもしれない。また、都心方面への路 線の分合流が連続
して、さらに出入口の間隔が短い。もちろん交通量も首都高速区間 の方が多
い。同じ道路構造でも条件が異なるという理由で、規制は納得できるだろうか。

 本当は、元々同じ構造であることがおかしいのではないだろうか。幕張付近と
台場 付近が頑固に同じ構造を保っているので、サービスが低下するのである。
渋滞多発区 間の辰巳JCTと葛西JCTの間は順次8車線化された。また、東
京港トンネルに1 3号地R、大井R利用車両を流す側道用トンネルに着手して
いる。東京湾岸道路の構 造は整然としていて、美しいかたちであるが、道路は
需要に応じて供給されるもので ある。計画時に昭和島JCTと葛西JCTの間
はほかの区間よりもグレードの高いも のにしておくべきだったと思う。

 もし、空港中央以南、浦安以西の区間が4車線で供 用されているならば、全
体の見通しが甘かったと納得できるが、全区間同じ規格で は、東京湾岸道路の
成立経緯そのものを疑いたくなってしまう。大阪湾岸道路は、自 動車専用部に
おいて、六甲アイランド北と天保山JCTの間が6車線、天保山JCT の直通
区間が4車線、ここから三宝Rまでが6車線、三宝Rから終点のりんくうJC
Tまでが4車線である。一般道路部は需要のある区間のみ供用している。計画時
に交 通需要を予測していることがわかる。

続く