◆説明図1
放射内向き(デファンス方向)から環状内回りへの入口ランプの位置図。
水色が現行のヘアピンカーブを含むランプで、桃色が直結路だった場合の線形を
表す。
|
現状のいびつな線形のロングランプは地下1階と地平の高さの間に収まり、道
路用 地に余裕のあるポルト・マイヨの南側にランプを収めた。ヘアピンカーブ
の途中は公 園と一体化させていて、ランプの地上区間の多くは緑に包まれてい
る。道路としては 遠回りを強いられるが、景観、建設費などいろいろな面で有
効な構造である。
日本では、横浜横須賀道路の日野ICや常磐道のいわき中央IC、阪神高速神
戸山 手線の白川南Rなどに適用されているかたちである。しかし、これらはい
ずれも複雑 な構造のコンクリートと鉄の構造物で形成されている。安価なダイ
ヤモンド型に比べ て、かなり高価なしろものである。あくまでも線形だけが同
じなのである。ポルト・ マイヨのような合理性はあまり感じられない。ある種
のランドマークとして機能させ たかったような気がする。
地形などの制約により、ヘアピンカーブのロングランプを 採用した事情はわ
かる。特に日野ICは北側が高い位置で鎌倉街道をオーバークロス している。
この位置から鎌倉街道に接続するには南側に長いランプを設置して地平に 至る
ようにしなければならない。それでも、あれほどのダイナミックな構造に必然が
あるとは思えない。線形を維持するための橋脚群を見ると、機能だけにこだわっ
たと 思われても仕方がないだろう。
この付近のペリフェリックの本線は8車線である(◆写真1)。これに出入口
の車 線が追加されて広い幅員である。この幅員は無理なくヘアピンカーブの曲
率を収める ことができる。このように無理なく設置できる条件がそろっていた
ためポルト・マイ ヨに自然なかたちでロングランプを採用できた。
日本には条件がそろっている箇所が ないので無理が生じるとも言えるが、反
対にペリフェリックに条件がそろっていなけ れば、果たして現状のかたちを採
用しただろうか。特にフランスひいきというわけで はないが、少なくとも日本
よりは道路(自動車)先進国なのだから、それなりに倣う 価値があるような気
がする。
|
◆写真3
ポルト・マイヨ
ペリフェリック本線、ポルト・ドーフィンス方向をのぞむ。
正面の弧状のオーバークロスは、手前がシャルル・ド・ゴール通り上り線からペ
リフ ェリック内回りへの亘り線で、奥がラミラール・ブリュイクス通り外回り
への出口で ある。
(放射内向きから環状右回りへの亘り線)
左側の地下へ続く分流ランプは、ペリフェリック内回りからシャルル・ド・ゴー
ル通 り下り線への亘り線である。
(環状右回りから放射外向きへの亘り線)
|
◆写真4
ポルト・マイヨ
ポルト・マイヨ南側ラウンドアバウトからペリフェリック外回りへの入口である。
|
◆写真5
ポルト・マイヨ
左側のランプは、シャルル・ド・ゴール通り上り線からペリフェリック内回りへ
の亘 り線である。手前でポルト・マイヨ南側ラウンドアバウトの下をくぐるト
ンネルを経 てペリフェリック内回り本線に合流する。
(放射内向きから環状右回りへの亘り線)
右側のランプは、ペリフェリック内回りからポルト・マイヨ南側ラウンドアバウ
トへ の出口である。
|
ポルト・マイヨ南側のラウンドアバウトにおいては、放射幹線側はきれいな周
回 カーブを描いているが、南側は東側のラウンドアバウトからブローニュの森
に連絡す る放射道路(マイヨ通り)と一体になっている。マイヨ通りに環状外
回りの出口と、 内回りの出口および外回りの入口が接続している。内回りへの
入口が欠けている。 (◆写真位置図2の下の写真を参照。)
放射幹線を隔てて北側のラウンドアバウトは、きれいな周回カーブを描いてい
る。 周回のさらに内側にもランプがつながっている。このラウンドアバウトに
は内回りの 入口と、外回りの出口および入口が接続している。外回りへの入口
が周回の内側のラ ンプである。内回りの出口が欠けている。(◆写真位置図2の
上の写真を参照。)
これらのラウンドアバウトを合わせると、内回りの入口は北側のみ、出口は南
側の みで接続している。外回りの出入口はいずれのラウンドアバウトにも接続
しているこ とになる。総体では複雑な線形だが、内回りはダイヤモンド型のイ
ンターチェンジと 同じ構造である。外回りはそれぞれのラウンドアバウトでダ
イヤモンド型のインター チェンジの構造になっている。
|