ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

日本〜フランス・ジャンクション比較8



 さて、ポルト・マイヨ南側にはユニークな構造が見られる。ラウンドアバウト
のさ らに南側の高架橋がペリフェリックをオーバークロスしている。(◆写真3
の正面を 参照。)

 この高架橋はポルト・マイヨの南西に広がるブローニュの森と市街をつなぐス
ペー スに道路が割り込んだかたちになっている。(◆写真位置図1を参照。)

 この道路は、きついバンクをもつカーブになっている。高速走行可能な構造で
ある ことがわかる。デファンス方向からのランプ(B)からトンネル内で右に
分岐して南 側のラウンドアバウトの南で地平に出て(◆写真2)、外回り本線お
よび入口の外側 を上って大きく左にカーブしてペリフェリック本線をオーバー
クロスして(◆写真4 および◆写真3)、内回り本線および出口の内側を下って
(◆写真5)地下にもぐ る。

 南側のラウンドアバウトの下で内回り本線に合流する。つまり、放射内向き
(デ ファンス方向)から環状内回りへの長い入口ランプ(C)である。

 入口(C)は、短絡路の構造にするならば、放射内回りから直接左にカーブし
て環 状内回りにポルト・マイヨの北側に接続させるはずである。このかたちに
するとペリ フェリックとの交差だけでなく、放射外向きとの交差も立体化しな
ければならない。 街路のある地平より上に高架橋を架けるか、堀割のペリフェ
リックの下をくぐること になる。この場合は、環状内回りから放射外向きへの
出口トンネルとも立体交差にし なければならない。地下で2重の立体交差になる。

 高架案では、ブローニュの森の北東端の公園と一体化したポルト・マイヨの景
観に多 大なる影響を与える。パリ市がこのような優しい考えを持っているかど
うか不明だ が、少なくとも高架にすると地平から高架を経て大きな左カーブの
下り坂で堀割の環 状内回りに合流する。高架から堀割への2層分の下り坂には
長いアプローチが必要に なる。内回りの合流地点は北側のラウンドアバウトの
さらに北側になる。しかし、こ の位置にはテルヌ通り、オーレル・パラディヌ
通りがオーバークロスしている。その 先はトンネル区間を経て、すぐに隣接す
るポルト・ド・シャンペレの出入口に至る。 街路に何らかの制限をしなければ
アプローチが設置できない。

 地下案では、最初に放射外向きへの出口トンネルをくぐらなければならない。
その ため内向きからの入口トンネルへの斜路は現在地よりも郊外寄りに設置す
ることにな る。シャルル・ド・ゴール通りにはとくに制限はないので、これは
可能である。地下 2階に至り、くだんの出口トンネルをアンダークロスして、
そのレベルのままペリフ ェリックもアンダークロスする。内回り本線への合流
は、ペリフェリック直下あたり から徐々に上り斜路にすればテルヌ通りの先く
らいで合流できそうだ。

 ところで、放 射幹線の下には地下鉄が2本(1本はRER)走っている。
1970年以前の古い路 線なので、それほど深い位置には設置されていない。
地下2階の空間はふさがってい るのだ。地下鉄の下をくぐることになれば、ア
プローチは高架案よりも長くなるので 実現できそうにない。
 しかし、技術的にはいずれの案も無理をすれば可能だが、需要を上回る供給に
なる ような気がする。過剰投資である。

続く