(1)放射方向
ポルト・マイヨには複数の道路が集まる。その内で放射道路の最大幹線は先述
のシ ャンゼリゼ通りの延長線である。ほかには南側のエッフェル塔方向から続
くマラコフ 通り、北東側のペレール方向から続くペレール通り、さらに環状道
路の一般道路に接 続するグビヨン・サン・スィール通りとラミラール・ブリュ
イクス通りがポルト・マ イヨ都心側に集まる。ここで放射幹線のグランダルメ
通りがラウンドアバウトに分離 する。
ほかに東側から地道が集まる。つまり、8方向から集まる交差点である。ペ
レール通りは上下線が広い中央分離帯をもっているので、正確には9差路とも言
え る。日本では考えられないが、パリではとりわけ珍しい街路構成ではない。
隣接する 巨大交差点である凱旋門は11差路である。
この交差点の西側で放射幹線のラウンドアバウトが再度集まるところで、環状
道路 の一般道路が地下をアンダークロスする。そのすぐ西側をペリフェリック
がアンダー クロスする。ペリフェリックが交差するところにはペリフェリック
上に2つのラウン ドアバウトが接している。これらのラウンドアバウトがペリ
フェリック本線への接続 道路になる。
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◆航空写真1
ポルト・マイヨ東側(都心側)
(「PARIS VU DU CIEL」(1992年)から引用。)
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3つのラウンドアバウトが接するポルト・マイヨの郊外側はペリフェリック西
側 (外側)に併走する街路との十字路になっている。交差する街路の北側は一
般道路と してどこかにつながるものではない。ペリフェリック外回りからの流
出交通をさばく ことと、ポルト・マイヨ北西側の市街地(ヌイイ・シュル・
セーヌ)に分散する。シ ャンゼリゼ通りの延長と併走するテルヌ通りまでしか
通じていない。
南側はペリフェリック上のラウンドアバウトと融合して郊外方向への2つの放
射道 路が集まる。これらの道路はさらにブローニュの森に続く複数の放射道路
を集める。
ポルト・マイヨ東側の交差点を含めて総体として見れば、ポルト・マイヨ地区
には 16方向から街路が集まることになる。◆航空写真1において、手前の高層
ビルはパ リ国際センターである。ポルト・マイヨ北東角は、規模が小さいが副
都心を構成して いる。
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◆航空写真2
ポルト・マイヨ西側(郊外側)
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放射幹線の郊外側(シャルル・ド・ゴール通り)の中央部にはペリフェリック
本線 に直結する出入口がある。もちろん、ペリフェリックの双方向に直結して
いる。郊外 側も都心側もくだんの2つのラウンドアバウトを通じて、どの方向
にも行くことがで きるが、交通量の多いデファンス方向には直結路を設けてい
るのだ。放射幹線の都心 側は歴史的なランドマークをつなぐ純然たる一般道路
だが、郊外側の中央車線は高速 走行できるようなかたちになっている。デファ
ンスまでは完全に分離しているわけで はないが、デファンスからは高速道路に
なる。
これは、関東では国道16号を相模原から横浜方面に向かうケースのようなも
ので ある。公所のアンダーパスをすぎると立体交差が多くなり、横浜町田IC
の先から自 然に自動車専用道路の保土ヶ谷BPに入る。そのまま道なりに進め
ば、高速道路であ る横浜横須賀道路や首都高速に至る。
ペリフェリック内部の旧市街は分散交通も多い ので高規格の平面道路で、市
街地の密度が粗くなるポルト・マイヨ以西はやや速度を あげられる規格にし
て、副都心デファンス以西の郊外は高速道路になる。無理のない 道路整備だと
思う。需要とのバランスも良い。ただし、ポルト・マイヨとデファンス の間は
渋滞多発区間なので、この区間には何らかの改良が必要かもしれない。
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