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パリだけでなくロンドンやベルリンなどヨーロッパの主要都市の多くは、旧市 街を そのままのかたちで保存して、ガラス張りの近代建築は副都心に建設する ことが多 い。パリの副都心はモンパルナスやデファンスである。旧市街の中心 と副都心のデフ ァンスを結ぶのがシャンゼリゼ通りである。この通りにはコン コルド広場、凱旋門と いうランドマークがあり、パリで最も有名な道路であ る。ポルト・マイヨは凱旋門と デファンスの間に位置してペリフェリックと接 続している。 正確にはシャンゼリゼ通 りはコンコルド広場と凱旋門の間だけで、凱旋門か らポルト・マイヨまではグランダ ルメ通り、ポルト・マイヨからデファンスま ではシャルル・ド・ゴール通りである。 愛称は変わるが一直線の道路である。 しかし、凱旋門、ポルト・マイヨはラウンドア バウトで制御されているので、 高速で通過することはできない。見飽きている市民に はわずらわしいかもしれ ないが、観光が強いられるスローな街路設計は旧市街には似 合っている。副都 心のデファンスも接続する各道路や駐車場に直通する立体交差のラ ウンドアバ ウトが設置されている。第二の凱旋門であるグランアルシュを設置して、 旧市 街の凱旋門交差点と同じ機能を果たすようになっている。なお、デファンスのラ ウンドアバウトはフランス語では「CIRCULAIRE(循環路)」である。 |
◆地図1 ポルト・マイヨ位置図 |
ポルト・マイヨは都心と副都心を結ぶ幹線道路と周回道路の結節点である。パ リ市 でも有数の交通の要衝で、交通渋滞のネックになることが多い。渋滞列は ペリフェリ ックの各方向からポルト・マイヨに向かう方向と、デファンスから 都心に向かう方向 につながる。また、ペリフェリックの各方向でポルト・マイ ヨからの合流後1キロ程 度の区間も流れが悪い。これらの渋滞はデファンスと いうビジネスセンターに関わる 業務用車両が、朝夕の通勤時間帯に交通集中す ることに起因する。 |
◆模式図1 ポルト・マイヨ模式図 |
ポルト・マイヨの機能はペリフェリックの各方向に交差する複数の一般道路が 接続 する。ペリフェリックは区分上は高速道路ではなく、一般道路の自動車専 用道路であ る。本報告では便宜上、高速道路として扱うが、ポルト・マイヨは 高速道路同士のジ ャンクションではない。一般道路と接続するインターチェン ジにあたる。 しかし、◆模式図2のように複雑な接続で交通処理を行っている。交差する一 般道 路がシャンゼリゼ通りの延伸線だけでなく、ペリフェリックと併走する周 回道路や、 隣接する補助道路にも接続していることが、複雑にさせている主要 因である。また、 デファンス方向の出入口が直結型になっていることが複雑さ を助長している。 ここで、本報告の記載について整理する。本報告は、あくまでも都心部の結節 点の 構造についての例をあげたもので、地名は重要ではない。そこで、周回道 路ペリフェ リックは「環状」、放射道路のシャンゼリゼ通りの延伸線(凱旋門 側はグランダルメ 通り、デファンス側はシャルル・ド・ゴール通り)は「放 射」とする。「環状」の外 回りは「環状内回り(または左回り)」、内回りは 「環状外回り(または右回 り)」、そして放射の都心方向は「放射内向き」、 デファンス方向は「放射外向き」 と表記する。補助道路については、適宜同じ 法則を適用する。 |
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