ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

日本〜フランス・ジャンクション比較3




◆写真(国内)1 千鳥橋ジャンクション 福岡高速1号と2号の結節点。 (1993年5月15日、著者撮影。)
 このかたちのジャンクションでも都市間高速道路同士ほどではないが、広大な
道路 用地を確保しなければならない。都市部では適当な用地は容易に確保でき
ないので、 既存の広い空間を探すことになる。すると、◆写真(国内)1のよう
に川や海などの 水上空間が選ばれることが多い。都市部のジャンクションは交
通流から見て適切な箇 所に設置されているのではなく、ジャンクション用地を
確保できる箇所の中で、より 適切に近い箇所を選択している。

 水上に設置される場合は水面より高い位置に一般道路がある。ここが地平にな
る。 ジャンクションは地平から多層構造で設置されるので、水面からは見れば
2層プラス になる。それでもジャンクション構造物に覆われていない水上空間
が空まで届いて、 圧迫感は抑えられる。都心の狭い川に設置されたケースで
は、空間に余裕がなく川沿 いの市街と近接して効果を発揮しないこともある。
首都高速環状線の神田橋から江戸 橋にかけての区間では、高架構造物を撤去し
て水上空間を確保する構想がある。

◆写真(国内)2 阪神高速1号環状線と15号堺線の結節点。 (2004年5月3日、著者撮影。)
 さて、都市部のジャンクションは下部空間が道路、線路などいろいろな目的に
利用 されていることが多い。路面から見ても複雑な構造物は、それを支える下
部構造はさ らに複雑である。下部空間の利用による制限からジャンクション自
体における理想の かたちでは設置できない。くだんの水上空間を利用したケー
スでも、航路や水流の確 保などの制限はあるが、それでも理想に近いすっきり
したかたちになる。

 ところが、 地上空間では想像以上の複雑な構造になる。◆写真(国内)2は、
阪神高速の結節点 である。2つの本線が接続する4枝だが、そのうち3枝は一
方通行なので、2層構造 で処理できるが、4枝すべてに地平の一般道路に接続
するランプが追加されたため下 部はさまざまなかたちの橋脚が林立している。

 ◆写真(国内)3は、首都高速の結節点である。このジャンクションは3枝直
結 で、3枝とも2層構造で接続している。このかたちは◆写真(国内)1の千鳥
橋ジャ ンクションと同じだが、地上空間利用のケースでは、下部の制限により
これほど複雑 な構造になるのだ。右側の亘り線からはずれた位置にある橋脚
は、直下が一般道路と して利用されているための苦肉の策である。

◆写真(国内)3 一の橋ジャンクション 首都高速C1号環状線と2号目黒線の結節点。 (1983年12月18日、著者撮影。)
 都心から少しはずれると、ある程度理想的なかたちでジャンクションを設置す
るこ とができる。◆写真(国内)4は、一般道路同士の結節点なので正確には
ジャンクシ ョンではないが、4枝が接続して全方向に立体交差で制御されてい
る。機能としては フルジャンクションである。
 広大な道路用地に設置された典型的なタービン型である。上空から見るとシン
メトリな線形がとても美しい。(◆写真(国内)5)

◆写真(国内)4 千里インターチェンジ 大阪中央環状線(大阪府道2号)と新御堂筋(国道423号)の結節点。 (2002年1月14日、著者撮影。)

◆写真(国内)5 千里インターチェンジ (国書刊行会発行「大阪・日本の山河21」(1980年)から引用。撮影は大 阪モ ノレールが開通する前の時期である。)
 千里インターチェンジに集まる道路は南北方向が一般国道423号新御堂筋で
あ る。本線4車線と側線4車線で、千里インターチェンジの南側からは中央部
の北大阪 急行線(江坂以南は大阪市営地下鉄御堂筋線)を挟む。本線は都心ま
での全線が立体 交差の自動車専用道路である。東西方向は中央の4車線が中国
自動車道で、それをは さむ6車線が大阪府道2号大阪中央環状線である。千里
インターチェンジには府道だ けが接続している。

 航空写真で見ると、千里インターチェンジの周りは市街化が進行している。広
大な 道路用地が確保できたのは奇跡かと思える。察しの通り、1970年に開
催された大 阪万博関連で整備された土地である。当時は千里インターチェンジ
しかなかったのだ。

続く