ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

清水連絡路3



【吉原JCT】
 吉原JCTは、東名高速道路と連絡する清水連絡線の第二東名高速道路とジャ
ンク ションとして建設されている。将来は身延方面に連絡する中部横断自動車
道とも接続 して4方向に連絡するかたちになるが、当面は清水連絡線との3方
向連絡だけである。

 ところで、ジャンクションのかたちは、連絡する方向の数により全く構造が異
なる。

3方向の場合は主軸1本に4本の亘り線が接続する。ループ線を含むトランペッ
ト型 ならば立体交差は1箇所だけで済む。ところが4方向の場合は主軸2本が
立体交差し て、それぞれから4本ずつの計8本の亘り線が絡み合う複雑な構造
になる。ループ線 4本のクローバー型ならば立体交差は1箇所で済むが、織り
込み区間で交通容量が著 しく低下するため敬遠されている。

 九州自動車道の鳥栖JCT(◆航空写真1)が国内の高速道路では唯一のク
ローバー 型だが、接続する長崎自動車道と大分自動車道の交通量増大により、
九州自動車道の 太宰府方面と長崎自動車道の佐賀方面を直結する短絡ランプ
(サガンクロス)が追加 された。これまでの同方向へ連絡するループ線は、鳥
栖IC出口専用に残されたが、 クローバー型のランプはジャンクションとして
の機能を終えた。鳥栖JCT開通後、 全国各地に4方向連絡のジャンクション
が建設されているが、クローバー型は存在し ない。今後も建設されるとは考え
にくい。

◆航空写真1
九州自動車道、長崎自動車道、大分自動車道 鳥栖JCT
九州道太宰府方面から鳥栖IC出口へのループ線と対称の位置にある九州道久留
米方 面から大分道日田方面へのループ線の半径の大きさがかなり異なることが
わかる。ま た、反対方向の左折線が長崎道佐賀方面から九州道太宰府方面が滑
らかな弧状だが、 大分道日田方面から九州道久留米方面へのそれはS字状に
なっている。
 ジャンクションに各方向から集まる交通量が等しく、どの方向にも均等に分合
流す るケースならば、クローバー型を含む対称型で問題ない。しかし、そのよ
うなケース はほとんど考えられない。各亘り線で交通量に偏りがあるので、俯
瞰で幾何的に美し い線形は無意味である。実は、クローバー型の鳥栖JCTに
おいても、ループ線の半 径は予測交通量により異なっていた。九州道の太宰府
方面から長崎道の佐賀方面への ループ線の半径が最も大きく交通容量が大き
い。反対方向のランプもきれいな弧を描 いている。次に、大分道日田方面から
九州道太宰府方面へのループ線、および長崎道 佐賀方面から九州道久留米方面
へのループ線が続く。九州道久留米方面と長崎道、大 分道との亘り線は小さな
ループやループに沿うS字カーブになっている。高い位置か らの俯瞰ならば幾
何的に美しいが、低い位置からは非対称の合理的な線形であること がわかる。
現実には、その合理性を上回る交通集中によりサガンクロスが架設されて し
まった。

 第二東名高速道路には東名高速道路と複数箇所で連結される。静岡県内では、
御殿 場JCTで直結する。吉原JCTでは清水連絡路を介して尾羽JCTで東
名高速道路 と接続する。そして引佐JCTでは三遠南信自動車道を介して三ヶ
日JCTで東名高 速道路と接続する。御殿場JCTは東名高速道路とほぼ同一
方向に斜めに接続するた め、第二東名高速道路伊勢原方面と東名高速道路沼津
方面、および東名高速道路東京 方面と第二東名高速道路長泉方面だけが連絡す
る。ほかの連絡路はすべての方向に連 絡する。
 先述のように、第二東名高速道路は静岡県内区間の工事進捗段階が高いので、
全線 開通に先駆けて部分開通する。御殿場JCTと引佐JCTは第二東名高速
道路の当面 の端点になる。

御殿場JCTは東名高速道路東京方面と第二東名高速道路長泉方面を連絡する亘
り線 が設置されるので、東京方面からの東名高速道路下り線はスムースに第二
東名高速道 路に乗り入れることができる。第二東名高速道路長泉方面からの上
り線は御殿場JC Tが当面の終点になるので東名高速道路への合流を強いられ
る。東名高速道路の現道 は御殿場ICまで拡幅され、以東はすでに拡幅済みな
ので、東京まで上下で6車線以 上である。

 しかし、現状でも交通集中起因の渋滞が発生しているので、第二東名高速 道
路の接続で交通量が増大すれば渋滞発生回数が増えるかもしれない。渋滞ネック
は 神奈川県の綾瀬BS(バスストップ)付近、横浜町田IC出口、東京TB
(本線料金 所)、首都高速などである。綾瀬BS付近の車線増設である程度緩
和しているが、東 京TB以東は無策である。いずれも第二東名高速道路のルー
トが決まっていないエリ アでの事情なので、第二東名高速道路とは別の問題で
ある。御殿場JCTでの分合流 はほぼ本線に近い構造の亘り線での連絡なの
で、最小限の減速で済む。第二東名高速 道路から東名高速道路へは車線が絞ら
れるが、致命的な渋滞ネックになるとは考えに くい。

 反対の端点の引佐JCTは、さらに愛知県方面への延長を想定した線形なの
で、本 線ではなく明確な分合流亘り線になる。車線は絞られ交通容量は著しく
低下する。御 殿場JCTは直結なので、将来も需要がのぞめるのである程度高
規格で設計されてい る。

 しかし、引佐JCTは、第二東名高速道路が愛知県へ延長されれば交通需要は
極 端に少なくなる。第二東名高速道路から東名高速道路へは引佐JCTが渋滞
ネックに なる可能性がある。また、東名高速道路から第二東名高速道路へは3
枝直結の三ヶ日 JCTで左側へ分岐するかたちになる。東名高速道路から第二
東名高速道路へのシフ トは、意識しておかなければ見逃してしまう。また、
三ヶ日JCTから愛知県内へ続 く東名高速道路下り線は渋滞多発区間である。
三ヶ日JCTでの第二東名高速道路か らの合流直後に、三ヶ日TN、宇利TN
と構造起因の渋滞ネックが連続する。早期に 第二東名高速道路の愛知県内ルー
トに着手しておいた方が良いだろう。

続く