第二東名高速道路芝川第一高架橋
(当報告書でターゲットにしている清水連絡路には関係のない箇所の写真であ
る。構 造物のイメージをわかりやすくするために典型例を示した。なお、この
高架橋は吉原 JCTから見て東京寄りの(第二東名高速道路の)清水ICの先
にある。富士川TN (トンネル)の西詰で稲瀬川を渡る橋梁である。)
これまでのコンクリートアーチ橋は、路面全体の下部をコンクリート構造物が支
えて いた。第二東名高速道路では、中央車線下部だけに構造物を置いて、両側
は鋼性の張 り出しで支えるケースを多用している。橋の自重が軽くなるので、
橋脚はスレンダー になる。
(「EXTEC No,68」(財団法人高速道路技術センター発行)から引用。)
|
※自重の軽量化(◆写真8を参照。)
欧米の道路構造物に比べて、日本の構造物は重厚である。地震国なので強度を
高め ているのだが、重厚にすれば構造物(高架橋の梁)の自重が重くなるの
で、それを支 える構造物(高架橋の橋脚)はさらに重厚になる。通過交通の安
全性を確保するため ではなく、構造物自身の崩壊を防ぐために莫大な建設費が
投じられていたのだ。各種 試験の結果、梁を軽量化しても通過交通の安全性を
確保できることがわかってきた。 これまでならば梁全体がコンクリートで形成
されていたが、主軸にボックス形式のコ ンクリートブロックを置いて、両側に
鋼性のウイング状の張り出しを付加した。梁の 自重が軽減化されたためスレン
ダーな橋脚で十分である。安全性には問題はないはず だが、心配ならば第二東
名高速道路の第2レーン(主軸の上)を走行すれば安心でき るだろう。
|
◆モンタージュ1
清水連絡路、伊佐布IC
第二東名高速道路、清水連絡路、吉原JCT
清水連絡路、尾羽JCT(東名高速道路)方向から俯瞰した完成モンタージュで
ある。
(「第二東名高速道路 伊佐布インターチェンジ工事(JH静岡建設局清水工事
事務 所発行)」から引用。)
|
第二東名高速道路で気になっていたポイントは1点、吉原JCTの線形であ
る。ジ ャンクションの線形は交通流に大きな影響を与える。ループ、勾配、分
合流レーンの 長さや幅員、それに織り込み区間など、交通容量による制限が加
わるケースがある。 また、本線と分合流線の構造により誘導機能を発揮するこ
ともある。
関西と九州を直結する高速道路は、現在は山陽自動車道が主軸だが、中国自動
車道 が先に全通した。中国自動車道は設計時から主軸の山陽自動車道を補間す
るかたちだ った。ところが、限られた予算枠で早期に関西と九州を高速道路で
直結させる指令に より、両者を比較すると中国自動車道の方が先に開通させる
ことができることがわか ったため中国自動車道に専念した。中国自動車道が全
通したとき、広島市内方面への 利便性を確保するために、広島北JCTから広
島自動車道を同時に開通させている。
広島北JCTは、関西から九州に向かう場合、広島自動車道方面が本線で、
九州へ続 く中国自動車道は左への分岐線になっていた。現在は、広島方面へ向
かう交通の方が 圧倒的に多いので問題ないが、当時は多くが九州まで直通して
いたので、ドライバー を戸惑わせるポイントになっていた。中国自動車道を道
なりに九州まで走行するつも りでひた走ってきて、いきなり広島で分岐線扱い
になっているとは思わないだろう。 迷った車両が急ブレーキで追突されたり、
急ハンドルで車線変更したり、道路構造に 起因する事故が発生していた。※
※中国自動車道の開通経緯
本件に関しては、下記の拙文に記している。
2002.10.21中国自動車道VS山陽自動車道とラダーネット4
2002.10.20中国自動車道VS山陽自動車道とラダーネット3
2002.10.17中国自動車道VS山陽自動車道とラダーネット2
2002.10.15中国自動車道VS山陽自動車道とラダーネット1
吉原JCTは第二東名高速道路と中部横断自動車道(東名高速道路との連絡路
と、 中央自動車道の双葉JCTに連絡する高速道路)の4枝直結ジャンクショ
ンである。 第二東名高速道路全通後は圧倒的に第二東名高速道路スルーの交通
が多いが、何度か の部分開通により交通流は変化していく。また、中部横断自
動車道が接続するが、第 二東名高速道路や東名高速道路との連絡路(清水連絡
路)に比べて交通量は著しく少 ないと考えられる。幾何的に対称型の単純な線
形になるとは考えられない。
|