ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

本四連絡橋のルート選択8



 高松中央ICへは高松ルートと瀬戸大橋ルートの2つの選択肢がある。
 各ルートの差異は微妙である。思い込みにより思わぬ有効ルートを見逃す可能
性が あるので、単調だがすべてのルートについて各ターミナルインターチェン
ジへの走行 距離、通行料金、所要時間を算定した。また、後戻りルートでも有
効なケースがある ので、ターミナル前後のインターチェンジにおいても同様に
算定した。次項に算定結 果をまとめる。


【ルート評価】
 着眼点により、(1)走行距離、(2)通行料金、(3)所要時間の3つにつ
い て、有効なルートを調査した。10月平日の午前10時ころに普通車での走
行を想定 している。

(1)走行距離
 走行距離は各ルートの基本となる絶対値で確実なものである。やはり、四国の
ほと んどのエリアは明石海峡ルートが近い。◆地図5の線上に位置するすべての
インター チェンジにおいて有効なルートである。松山ICを含む松山自動車道
全線、高知IC を含む高知自動車道全線、高松中央ICを含む高松自動車道の
全線の各インターチェ ンジに近いということである。大野原ICと川之江
JCTの間が結線していないの は、この間にインターチェンジがないというこ
とである。また、徳島自動車道経由で 川之江JCTから高松方向に戻るルート
では大野原ICは遠いということある。

 四国内でも瀬戸中央自動車道の坂出北ICは瀬戸大橋ルートの方が近い。しか
し、 これは坂出北ICが岡山方面へのハーフインターチェンジで高松自動車道
方面には連 絡していないことに起因する。もし、坂出北ICがフルインター
チェンジならば、わ ずかに(2キロ程度)明石海峡ルートの方が近い。つま
り、瀬戸中央自動車道の南備 讃瀬戸大橋に距離の境目があるのだ。

 また、西瀬戸自動車道の今治ICは西瀬戸ルートの方が近い。西瀬戸ルートに
は先 述のように複数の一般道路経由区間が存在しているため現状はやや大回り
で距離が多 くなっている。したがって元々不利なのだ。それでも今治ICが近
いのはたいしたも のだと思う。しかし、西瀬戸自動車道の島内区間2箇所と今
治小松自動車道が全通し ても今治湯ノ浦ICへはやはり明石海峡ルートの方が
やや近い。今治ICから松山市 方面へ国道317号に並行する短絡高速ルート
が開通すれば、松山ICへはやや西瀬 戸ルートが近くなりそうだが、ほんのわ
ずかな距離である。

◆地図5
名古屋ICから四国各地への走行距離が最小になる箇所と、そのルートを表す。



◆表1
名古屋ICから高知IC、松山IC、高松中央ICへのルート別の走行距離一覧。
走行距離が少ない順にソートしている。
 明石海峡ルートへの本州内のルートは、東名高速道路、名神高速道路で瀬田東
JC Tから大山崎JCTまで京滋BP経由で吹田JCTに至り(京滋ルー
ト)、ここから 中国自動車道、山陽自動車道で西宮山口JCTに至り、さらに
阪神高速北神戸線を経 て布施畑JCTで神戸淡路鳴門自動車道に接続するルー
ト(北神戸ルート)が最短で ある。

 瀬戸大橋ルートと西瀬戸ルートは京滋ルートで吹田JCTに至り、ここから中
国自 動車道、山陽自動車道を西進するルートが最短である。瀬戸大橋ルートは
倉敷JCT で瀬戸中央自動車道方面に分岐し、西瀬戸ルートは福山西ICで一
般国道2号に降り て、西瀬戸尾道ICで西瀬戸自動車道に乗ることになる。

 瀬戸大橋ルート、西瀬戸ルートは、各ルートの四国の突端でわずかに距離にお
いて 有利になるので、なんとか大義名分を保持しているが、関西以東と四国の
メインルー トとは言い難い。瀬戸大橋ルートは姫路市以西の兵庫県、岡山県、
鳥取県と四国のほ ぼ全域を結ぶルートに適当なルートである。

 西瀬戸ルートは広島県以西と愛媛県には 有効だが、香川県、徳島県、高知県
の東部には瀬戸大橋ルートの方が近い。横に長い 瀬戸内海に直交する瀬戸大橋
ルートに対して、西瀬戸ルートは尾道市から今治市に東 西方向に20キロほど
ずれている。したがって、広島方面から香川県へは、西瀬戸 ルートで20キロ
後戻りをすることになる。さらに四国内で戻った20キロを取り戻 すべく
「Z」状のルートをたどるので合わせて40キロ余計になってしまう。

 西瀬戸ルートは、先述のように最も交通量の多い関西以西や、岡山県からの需
要には 不利である。ところがお得意さんである広島県には大回りを強いてしま
う。なかなか 困った存在なのである。

 西瀬戸自動車道には瀬戸内海の島内で分岐線が計画されているのをご存知だろ
う か。大三島から複数の島伝いに呉市東部の川尻町に至るルートである。既に
川尻町と 下蒲刈島を結ぶ安芸灘大橋は開通している。このルートは安芸灘諸島
連絡架橋という 安芸灘大橋を含む8本の橋が架けられる。そのうち7本目の橋
(岡村大橋)で岡村島 に至り、ここから大三島までの区間が構想線になってい
る。これらの構想が実現する と広島市を含む呉市以西の西瀬戸ルートの距離が
短くなる。

 なお、安芸灘諸島連絡架 橋は広島県が島嶼部の利便性向上を目的として建
設、計画しているもので、瀬戸内海 を四国に渡るルートとしての至上命令が下
されているわけではない。本四架橋に、今 後さらに情熱(国家予算)を投じる
ことはないだろう。

 総じて、走行距離では、関西以東と四国のメインルートは明石海峡ルートが唯
一で ある。

続く