(4)本四ゾーン
本四ゾーンは本四連絡の3ルートだけでなく四国側には複数のルートがあるの
で、 かなりややこしくなっている。
本州側、本四連絡橋、四国側の3つに分けて説明する。
4ー1)本州側
明石海峡大橋を含む神戸淡路鳴門自動車道の基点は神戸市の垂水JCTであ
る。垂 水JCTまでのルートは神戸ゾーンの説明を参照してほしい。
瀬戸中央自動車道を通過する「瀬戸大橋ルート」と西瀬戸自動車道を通過する
「西 瀬戸ルート」の基点は岡山県の倉敷JCTである。
関西から倉敷JCTまでの選択肢 には、神戸JCTから山陽自動車道をひた
すら西進するルート、西宮JCTから阪神 高速3号神戸線、第二神明道路、加
古川BP(バイパス)、姫路BP、播但連絡道路 を経て山陽姫路東ICで山陽
自動車道に合流する「姫路ルート」、および神戸JCT で分岐せずに中国自動
車道をそのまま西進して北房JCTから岡山自動車道を経て岡 山JCTで山陽
自動車道に合流する「中国ルート」の3ルートが考えられる。
山陽自動車道を西進するルートがメインルートで、ほかのルートは補間ルート
と言 える。わかりやすくて、渋滞の可能性もほとんどないスムースなルートな
ので説明は 省略する。
姫路ルートは自動車専用道路ではあるが、一般国道や一般有料道路を含む区間を
通過 するもので、大阪湾、播磨灘の海岸地帯の市街地をつなぐ幹線道路を通過
する。神戸 ゾーンを通過しても交通量は多く渋滞の可能性は高い。西行きは第
二神明道路の玉津 IC付近の交通集中をアタマにしたもの、明石西TBをアタ
マにするもの、加古川西 IC付近の交通集中をアタマにしたものがある。
東行きも明石西TBをアタマにした もの、玉津IC付近をアタマにしたも
の、名谷JCTの合流をアタマにしたもの、そ れに須磨TBをアタマにしたも
のなどがある。明石西IC以西も自動車専用道路で道 路の規格はそのままだが
無料開放されているので、一般国道の渋滞パターンが見られ る。全体に速度が
低下して、分合流付近で断続的に停止に至ることがある。本線への アプローチ
ランプが短く、接続する一般道路の信号制御によるスタート、ストップの パ
ターンが本線に影響するということである。
今後ETCが普及して、簡易なインターチェンジが各地の高速道路に設置される
こと になりそうだが、あまりにも簡易なかたちでは本線が高速道路として機能
しなくなる 可能性がある。料金所や管理施設を設置するために広大なインター
チェンジ用地とア プローチランプを建設するのは大きな負担だったが、条件に
よっては交通流の調整に 寄与して本線のスムースな流れを維持していたとも言
える。交通流を水の流れに例え ると、料金所は水流を調整するダム(Regulator
Dam)のような機能を果たすことがあ る。これは、設計交通量を上回るケースに
見られる。料金所はドライバーにとっては 関門であり存続は好ましくないだろ
う。しかし、安易に料金所を廃止すると思わぬ障 害が発生して高速道路として
機能しなくなる可能性がある。
加古川BP、姫路BPのような渋滞パターンは、名四国道(R23)、西広島
BP (R2)にも見られる。
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◆地図4ー1
加古川BP下り線加古川IC出口の渋滞パターン。
短い流出路で一般道路に接続し、近接する信号交差点のスタート、ストップ制御
が自 動車専用道路本線に影響する。流出車両は信号制御により停滞車列を成す
が、流出路 が短いため本線にもつながる。出口直前は第1レーンのみが塞がれ
るが、少し離れる と第2レーンにも波及する。
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中国ルートは北房JCTから岡山自動車道を経由して岡山JCTで山陽自動車
道に 接続する。山陽自動車道を西進するルートに比べてかなり遠回りをしてい
る。神戸J CTから岡山JCTまでの距離は、山陽自動車道は143.9キロ
で1時間46分、 中国自動車道と岡山自動車道は203.1キロで2時間26
分(中国自動車道の北房 JCTまでが159.2キロで1時間52分、岡山自
動車道は43.9キロで34 分)である。とても比較対象にはならない。山陽
自動車道が通行止めにならない限り 利用価値はないだろう。
ところで、中国ルートには一般道路を経由するルートもある。中国自動車道は
津山 ICで降りて、その先は一般国道53号を南進して岡山ICで山陽自動車
道に乗る ルートである。このルートは182.1キロで2時間40分(中国自
動車道の津山I Cまでが119.1キロで1時間25分、国道53号は63キ
ロで1時間20分)で ある。距離は山陽ルートに近づいたが、所要時間が増え
すぎた。
さらに、中国ルートにはもう少し神戸寄りで山陽ルートに乗り移るルートがあ
る。 福崎ICで播但連絡道路を経由して山陽姫路ICで山陽ルートに乗り移る
ルートであ る。このルートならば山陽ルートの9.9キロ増しで済む。播但連
絡道路は自動車専 用道路なので高速で通過できる。所要時間は10分増し程度
である。十分に競合ルー トになりうる。ただし、通行料金には問題がある。播
但連絡道路を介することによ り、日本道路公団管轄の高速自動車国道の長距離
逓減制がご破算になってしまうのだ。
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◆模式図1
本四ゾーンの選択ルート図。
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それでも十分に競合ルートになるので、本報告の中国ルートは、福崎ICから
播但 連絡道路を経由するルートとしている。
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