ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

阪神高速・第二環状線15




◆航空写真11
阪神高速大和川線
 (堺市香ヶ丘町5)と(堺市松屋大和川通2)の間
 大和川第二JCTの西側には、大阪府道30号大阪和泉泉南線(あべの筋、堺中央 
線)の遠里小野橋南詰に三宝方面と相互連絡する遠里小野Rが設置される。
 大和川を斜めに横切るのは阪神高速15号堺線である。堺線とは環状線方面と大和 
川線の三宝方面を連絡する亘り線が設置されるが、設置位置はさらに西側なので後述 
する。

 住之江Rの南側の大和川大橋は国道26号である。大和川大橋南詰には大和川線松 
原方面と相互連絡する鉄砲Rが設置される。「鉄砲」は堺市鉄砲町という地名であ 
る。鉄砲Rはユニークな線形になる。スーパー堤防内トンネル内で分合流したランプ 
は、トンネル構造のまま南にカーブして鉄砲町地内で反時計回りに270度ループ線 
を描いて地上に出て、国道26号の大和川南交差点に至る。

 大和川大橋南詰には三宝方面からの亘り線も設置されるが、これは出入口ではなく 
阪神高速堺線の環状線方面と連絡する大和川第一JCTである。阪神高速堺線の大和 
川橋梁はコンクリート構造のアーチ橋なので追加改善は難しい。大和川第一JCTは 
大和川右岸で国道26号と接続する住之江Rに近接する位置に接続する。大和川線か 
ら堺線環状線方面への亘り線はスーパー堤防内トンネルから一気に堺線の高さまでせ 
り上がる。やや南にカーブして大和川線本線のトンネルをオーバークロスして堺線か 
ら大和川線への亘り線と一体化する。

 このまま大和川大橋南詰交差点を東北方向にオーバークロスして大和川大橋の上流
に平行して大和川を渡る。大阪市住之江区に入って亘り線は分離する。大和川線から
堺線への亘り線はそのままの高さで堺線北行き本線に合流する。反対に堺線からの亘
り線は、大和川線から堺線への亘り線と一体化して大和川を渡り、大和川南詰交差点
上空から一気にトンネルまで下る。

(◆航空写真11の「阪神高速大和川線」のサインが指すあたりが大和川大橋南詰で
ある。)
 大和川第一JCTが接続すると、現在湾岸線の大浜Rと堺線の堺Rの間で実施され 
ている乗り継ぎシステムは解消される。環状線と湾岸線を直結するルートは16号大 
阪港線しかないので、大阪南部から湾岸線の関空方面へは遠回りになる。大阪港線は 
渋滞することがあるので、15号堺線からの乗り継ぎは案外便利である。大和川線の 
全線同時開通が難しくなったら、三宝JCTと大和川第一JCTの間だけでも先行し 
て開通させれば利便性は高まる。また、国道26号から交通量の少ない湾岸線の助松 
R以南(大阪南線)へのシフトも促進することができる。

 大和川第一JCTは、第二JCTと同様に「阪神高速道路公団法第30条第1項の 
規定による基本計画」には記載されていない。湾岸線と堺線の乗り継ぎ利便性の観点 
から必要な亘り線だが、大和川第一JCTも構想にすぎないのだ。

 なお、大和川第一JCTの西側の大阪府道29号大阪臨海線の阪堺大橋には接続し 
ない。さすがにこの地点は三宝Rに近いので不要である。

◆航空写真12
阪神高速大和川線
 (堺市松屋大和川通3)と三宝JCTの間
阪神高速(4)湾岸線
 三宝JCTと南港南Rの間

◆図8
阪神高速大和川線の横断図、および縦断図。
 湾岸線の三宝Rは、大阪市内方面と連絡するハーフランプだが、大和川線接続時に 
は大和川線の双方向と連絡する三宝JCTに改造される。三宝Rは、三宝JCTに近 
接する位置で大和川線の途中に移動する。新しい三宝Rは、大和川線、および三宝J 
CTを介して湾岸線双方向に連絡する。
 三宝JCTは、湾岸線本線の各方向に左側で分合流する直結型で、これらの亘り線 
が集まり大和川線に入ってすぐに、やはり本線の左側で分合流する直結型の三宝Rが 
連続する。大和川線は、この先で大和川左岸のスーパー堤防内トンネルに吸い込まれ 
る。なお、三宝JCT、三宝Rはいずれも高架構造である。

 三宝JCT&Rが設置される堺市築港八幡町は、全域が新日本製鉄堺製鉄所の広大 
な敷地である。JCT&Rは、製鉄所のユーティリティ施設(各種スポーツ施設)に 
使用されている土地に設置される。隣接する三宝町も大規模工場が多く、ほとんど民 
家は存在しないので、高架構造物は機能性と安全性に留意すれば容認されると考えら 
れる。
 三宝Rは、堺市緑町に連絡していたが、移設後は築港八幡町に連絡することにな 
る。いずれも都市計画道路築港天美線を経て浅香山通交差点で府道29号大阪臨海線 
に接続する。

 大和川線本線は、湾岸線の東側に延びるルートだが、三宝JCTの接続の都合で、 
湾岸線をアンダークロスして西側に回り込むかたちになる。湾岸線の大和川橋梁は、 
ルートの都合で大和川を斜めに横断する斜張橋である。橋梁上にはジャンクション構 
造物の追加は難しいので仕方がない。これは、首都高速大黒線と湾岸線の大黒JCT 
の生業に似ている。

 第二環状線は、三宝JCTで湾岸線大阪市内方面に亘り、湾岸線を北上して北港J 
CTに至って一周したことになる。道路構造、管理事業体がさまざまで、いびつな線 
形も多いが、高速道路のみで大阪市の外郭をなぞる約60キロの環状ルートの完成で 
ある。これは、名古屋環状2号線(R302)とほぼ同じ大きさである。環状線なの 
で一周する需要はないが、一周すれば1時間程度と考えられる。

名古屋環状2号線は、一般道路と自動車専用道路が平行するマルチ構造である。自動 
車専用部が全通すれば、こちらも1時間程度で周回できるだろう。大阪市と名古屋市 
の大きさは似たようなものなのだ。ちなみに東京(23区)の周回は、東京外環自動 
車道が全通して首都高速湾岸線と組み合わせると、約100キロである。通過時間は 
東京外環自動車道、首都高速湾岸線ともに80キロ制限なのでスムースならば80分 
くらいだが、さすがにスムースな時間帯はほとんど期待できないと思う。

 ここでは、東京、名古屋、大阪の大きさを理解するに止める。なお、東京外環道の
東名高速と湾岸線の間は構想線だが、当初のシナリオに記されていたルート(多摩川
両岸を下流に向かい、大田区で内陸に入り昭和島JCTに接続するルート)で距離を
想定している。しかし、このルートが実現できるとは思えない。周回ルートに利用で
きる可能性のある首都高速川崎線を組み合わせると、一周は約110キロになる。ほ
ぼ、名古屋、大阪の2倍になる。

続く