【まとめ】
大阪第二環状線は、すでに開通した路線、工事中の路線、工事準備中の路線、構想
路線を組み合わせた構成になっている。また、開通区間ではジャンクションの改造も
必要である。阪神高速道路だけでなく、大阪市内の一般道路の通過交通を迂回させる
画期的な配置で、早期に実現すべき路線である。
工事中の路線では淀川左岸線1期(島屋Rと海老江JCTの間)が最も進捗段階が
高い。順調に工事が進めば2005年には開通する可能性がある。大和川線(三宅J
CTと三宝JCTの間)は、高速道路本体の工事ではなく、河川関連の大規模な改修
が先決なので進捗段階は低い。現時点では開通時期は確定しにくい。
工事準備中の路線は、淀川左岸線2期(海老江JCTと豊崎Rの間)にあたるが、
この区間も大和川線と同様に河川関連の改修待ちである。開通時期は確定しにくい。
大和川線に比べてすでに道路(トンネル)用地が確保済みなので、トンネルだけを先
行することも可能である。しかし、これまで50年以上も頓挫している計画の再開な
ので、半端な手法では容認されないだろう。
また、ジャンクションの改造は松原JCT(当方の考えではさらに三宅JCT)に
あたるが、交通量の多い西名阪自動車道の亘り線の移設、構造変更が強いられるが、
工期遅延の原因にはならないだろう。
これらの路線は、遅くとも10年以内には開通すると考えられる。
さて、構想線の淀川左岸線3期が問題である。道路用地が確保済みなのは、大阪市
鶴見区の花博通だけである。ほかの区間は高速道路を建設できそうな空間が見あたら
ない。花博通の延長上は都市計画道路が大規模な区画整理を伴って徐々に都心に進行
している。いずれは都島区まで到達するだろう。高架構造は無理でもトンネルなら
ば、この都市計画道路都島茨田線の敷地に建設できる。しかし、都島区(都島中通)
から豊崎Rまでは、適当なルートが想定できない。高度に市街化して区域なので、道
路用地を確保するのは容易ではない。
この区間については、大深度地下構造(地下40メートル)のトンネルで貫通させ
る案も検討されている。この構造ならばほぼ直線状のルートで、淀川リバーサイドタ
ウンや桜宮リバーシティの高層ビル群の地下を地上の土地を確保せずに貫通すること
ができる。大深度地下構造は、現時点(2004年3月)では、案出されていても着
工している区間は存在しない。東京外環道の関越道と東名高速の間が実現第1号にな
る可能性が高いが、確定しているわけではない。
外環道本線は大深度地下トンネルで
貫通できても既存の高速道路とのジャンクションや一般道路と連絡するインターチェ
ンジは地上に建設されるので、結局全ルートの半分くらいには地上構造物が建設され
るため容認されない。中央自動車道との三鷹JCT以外はすべてのインターチェンジ
を設置しない案が有力だが、沿道の環境は確保できても、利用できないのは理不尽で
ある。環境を確保しつつ、利便性も高めたいのだ。
都島と豊崎の間は直線で約3キロである。高層ビルの基礎や、地下鉄、共同溝など
すでに地下構造物が多いので、トンネル構造にすれば、特に大深度地下を意識しなく
ても地下深く掘削しなければならないのだ。案外、こちらの方が東京外環道よりも早
期に実現するかもしれない。
淀川左岸線3期は、豊崎Rと大阪内環状線までの北区、都島区、城東区について実
現可能性があいまいである。つまり、70%くらいの区間があいまいなのである。仮
に、あいまいな区間のすべてを大深度地下トンネル構造にすれば、難工事のため工期
がかかる。莫大な建設費(1キロあたり1000億円以上か?)により十分な予算が
確保できないため、確保できた分だけしか工事が進まない。1970年の大阪万博に
匹敵する国家的なイベントが開催されない限り、10年以上の工期を要すると考えら
れる。
大阪第二環状線は、淀川左岸線3期がネックになり、全通は10年以上先で、しか
も全通しない可能性もある。先述のように、この路線は画期的なので、「早期実現」
を目標にしてもらいたい。これまで、早期実現のためにルートを変更してきた経緯が
ある。本報告書で紹介したルートが現時点(2004年3月)で最良ということであ
る。最良でも10年以上なのだ。
淀川左岸線3期の区間は、大阪市北東部の市内で最も道路事情の悪いエリアにあた
る。多くの都市計画道路を予定しているが、開通している区間は少ない。既存の幹線
道路は、一般道路、高速道路ともに慢性的に混雑している。最も高規格の大阪中央環
状線もこのエリア(門真市松生町(近畿道の門真IC)と吹田市下穂積(近畿道の吹
田JCT)の間)は渋滞多発区間である。中央環状線と交差する国道1号寝屋川B
P、および直通する阪神高速守口線も決して流れは良くない。これらの交差する守口
市大日は、各種交通路が空中で交錯するが、ほぼ全方向における渋滞ネックになって
いる。(◆地図3を参照。)
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