ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

阪神高速・第二環状線8




◆図7
阪神高速淀川左岸線(海老江JCTと豊崎Rの間)の横断図、および縦断図。
 淀川左岸線2期のキーポイントは、豊崎Rでの新御堂筋との接続である。古い都市 
計画では新御堂筋は阪神高速道路構想に含まれていたが、大阪万博開催までに建設す 
べき急を要する路線に指定され、結局、一般道路として北区梅田新道と豊中市の千里 
丘陵までが開通した。自動車専用部4車線と一般部4車線を基本とした構造で、専用 
部だけを見れば都市高速道路と同じ構造である。

 開通後も阪神高速道路には接続されることはなく、北区の都心部を端部としてい 
た。この端部は渋滞ネックになっていたため主として出口は複数回の改善が施され 
た。(◆模式図1を参照。)
 都心の高架構造の道路で、これほど何度も改善された例は珍しい。道路は需要に応 
じて改善されて成長していくものである。複数回の改善例としては、横浜市保土ヶ谷 
区の横浜新道、第三京浜道路、首都高速道路のジャンクションがある。(◆模式図2 
を参照。)保土ヶ谷の改善は横浜新道の拡幅で一見終焉を迎えたかのようだが、さら 
に第三京浜道路の片倉町に出口の追加が予定されている。これは羽沢入口と対称にな 
るかたちのものである。

◆写真11
大阪市北区太融寺町
新御堂筋(R423)
梅新、梅新南、西天満出口分岐部。
(2004年1月10日、著者撮影。)

◆模式図1
新御堂筋(R423)梅田側起点付近の出入口改良手順。
(本文説明の補足として、あくまでもおおまかな手順を表わしている。)

◆模式図2
横浜新道、第三京浜道路、首都高速三ツ沢線の三ツ沢JCT付近の亘り線改良手順。
(本文説明の補足として、あくまでもおおまかな手順を表わしている。)
 新御堂筋南行きの端部は、左車線が直進方向の御堂筋に連絡する梅新南出口で、分 
岐の先で新御堂筋本線をオーバークロスして南に向かう。中央車線は当初から設置さ 
れていた国道2号の梅田新道交差点に下りる梅新出口である。右車線は梅田新道交差 
点で直角に東に曲がって国道2号の西天満交差点に至る出口である。阪神高速道路環 
状線へは、この出口の先で12号守口線上りの南森町入口を利用するのが便利である。
 どの出口も接続する一般道路が停滞ぎみである。目的地に便利な出口を利用するよ 
りは、状況に応じて手前の茶屋町出口を利用するなど臨機応変に選択した方が良い。 
(◆写真11)

 ところで、高架構造の道路に複数回の改善を施せば、下部はかなり複雑な構造にな 
るはずである。本当はこのあたりに関心があるのだが、本報告では淀川左岸線だけに 
しぼってまとめることにする。新御堂筋の下部構造については下記のページにも記し 
ているが、機会があれば詳述したいと思う。

2002.2.8  梅田南の不安定な魅力

 結論から言えば、案外下部構造はスレンダーである。特に高い高架ではないが、圧 
迫感は感じない。都心のビル街で、曽根崎の繁華街は元々雑然としているので、高架 
道路くらいでは違和感はないのかもしれない。

 淀川左岸線2期の豊崎Rの開通により、新御堂筋の千里方向からの交通は分散され 
るので、新御堂筋端部にとっては有効であることは間違いない。計画には淀川左岸線 
と新御堂筋の梅新方向との接続は予定していないし、構造上これ以上のランプ追加は 
難しい。したがって、計画変更はあり得ないと考えられるが、淀川左岸線の都心通過 
交通の分散という本来の目的を踏襲してほしい。


【4 阪神高速淀川左岸線3期(延伸線)】
 淀川左岸線3期は、第二環状線で都市計画決定していない唯一の区間である。ルー 
ト、構造、事業体は決定していない。事業体は阪神高速道路と思われるが、門真JC 
Tで第二京阪自動車道と直通するので、日本道路公団による施工の可能性もないとは 
言えない。
 本項では、ルート、構造について予想できる範囲で検証する。

◆航空写真5
計画線
(大阪市北区長柄中3)と(大阪市野江3)の間
 豊崎Rから北区長柄東までは淀川左岸をトンネル構造のまま進行すると考えられ 
る。ただし、この区間の淀川は淀川大堰で大川(旧淀川)と分岐する複雑な構造にな 
っているので、これまでのスーパー堤防とは違うかたちになるだろう。◆航空写真5 
の中央を蛇行するのが大川で上部が大堰である。

 淀川左岸線3期は、淀川左岸から離れて門真JCT方向に既存の住宅密集地に入り 
込む。長柄東から阪神高速12号守口線の長柄Rまでは広幅員の天満橋筋があるが、 
ここがルートになるかどうか不明である。大川右岸を進む可能性もある。もしかした 
らこれらのルートに挟まれた淀川リバーサイドタウンの中央を南北に貫通する可能性 
もある。※

いずれにしてもトンネル構造になるだろう。スーパー堤防区間もトンネル構造だが、 
これは地平のトンネルボックスを堤防の盛り土で覆ったかたちだが、長柄東から先は 
本格的なトンネルである。地下鉄だけでなく共同溝も設置されているので地下でも道 
路用地を確保することは難しい。北区本庄東と都島橋の間には北野都島線共同溝が完 
成している。このルートは淀川左岸線3期のルートにフィットするので、平行するか 
たちでトンネルが設置されるのがベストだろう。

 もしかしたら共同溝工事のときに何らかの施設も同時に施工されていたかもしれな 
いが、このあたりについては確認していない。共同溝は、地下20メートルから30 
メートルくらいの深い位置に直径7メートル程度のシールドトンネルである。高速道 
路のトンネルに比べるとかなり小さいもので、建設費用は比較にならない。同時施工 
されたとは考えにくい。

※北区長柄東と都島区中野町の間のルート
 阪神高速道路公団発行の地図でも、このルートはおおまかにしか記していない。都 
市計画決定していないので当然だが、当方が所有する最も精密は地図では、淀川リ 
バーサイドタウンの中央を貫通するルートに破線が記されている。これは、そのまま 
受け取るのではなく、確定している通過地点を短絡線で結んだルートがたまたま大規 
模再開発地区を貫通していただけである。施工されるルートはやはり◆航空写真5で 
記したものに落ち着くだろう。しかし、大深度地下構造が採用されれば貫通は可能か 
もしれない。

 長柄東の淀川左岸から都島区中野町までのルートは確定にしくいので◆航空写真5 
では点線で表記した。

 大川左岸の都島区中野町からは一部道路用地が確保されているので、ルートがわか 
りやすい。JR大阪環状線の外側を平行に計画されている都市計画道路に建設される 
と考えられる。航空写真(拡大図)で見ても広幅員の道路用地が確保されていること 
がわかる。JR大阪環状線の京橋駅、およびJR片町線の鴨野駅の北側でJR城東貨 
物線から分かれる貨物引き込み線の跡地である。住宅密集地に奇跡的に残された貴重 
な線状の土地だが、既存の幹線道路と接続していないので、道路として有効活用する 
ためには大規模な区画整理でさらに道路用地を確保しなければならない。

 名古屋市の道路が広いことは有名だが、大阪市も都心部に限れば案外広い。しかし 
都心に隣接する都島区を含む城東地区は、区画整理前の雑然とした密集地が多い。複 
数の都市計画道路が事実上頓挫したままで有効活用していない。阪神高速12号守口 
線以外で東西方向には都島橋を渡る都島通と、淀川左岸に近い城北公園通くらいしか 
ない。南北方向は大阪市道赤川天王寺線が曲折しながらかろうじて連続しているが、 
道路の規格はばらばらである。

 先述のJR大阪環状線沿いの都市計画道路は都島区の 
新たな道路交通軸になる予定だ。航空写真(拡大図)で橙線が曲折しているところが 
幹線の交差点になる。橙線は住宅密集地の区画を斜めに北東に向かっているが、この 
ルートには都市計画道路が計画されている。大阪中央環状線の門真JCTに至る都島 
茨田線である。航空写真ではわかりにくいが用地買収が済んでいるところもある。既 
存の区画を斜めに横切る傍若無人な計画に見えるが、区画整理は着々と進行している 
のだ。

 第二環状線は、くだんの都市計画道路に併設されると考えられる。ほかに道路用地 
は見あたらないのでこのルートでおおむね確定だろう。ところで、第二環状線の当初 
計画はJR大阪環状線の外側を南下して天王寺の先から大阪泉北線に接続する予定だ 
った。このルートも都市計画決定していないので、前回の拙文では平野川に沿うと記 
していたが、正確には平野川に沿った都市計画道路に併設されるということである。 
航空写真(拡大図)の第二環状線ルートが曲折するところでは、直進して大阪泉北線 
に至るルートも予定されている。つまり、ここにはT字のジャンクションが設置され 
るのである。

 ところで、第二環状線の構造は、全区間がトンネル構造になると考えられる。T字 
ジャンクションも含め、出入口以外はすべて地下に建設するしかないだろう。30年 
前に着手していれば高架構造でも可能だったかもしれないが、現在では住宅密集地に 
近接する位置では住民が納得しない。

 都島区内の線形はいびつに曲折している。都市計画道路を有効活用するために南側 
にふくらんで、きついカーブも含まれる。これは先述のように当初予定の第二環状線 
ルートのせいである。しかし、当初計画が実現される見込みは薄いし、全線トンネル 
構造ならば、短絡ルートを進めばよいのではないだろうか。大深度地下構造ならば、 
既存の街区に関係なくショートカットできる。
 どのみち、都市計画決定するまでは、ルートについては状況注視を継続していきたい。

 この区間では、交差位置は確定していないが既存の12号守口線と交差する。亘り 
線の設置については不明だが、天満橋筋を通過するルートならば、既存の長柄Rに付 
加するかたちで容易に環状線方向へは連絡できそうだ。これは、現在建設中の3号神 
戸線の湊川Rと同じようなかたちである。神戸山手線が大阪方面のみに連絡する亘り 
線が付加されて湊川JCT&Rになる。第二環状線と12号守口線の守口方向は、大 
川右岸ルートならば友渕橋付近で接続できそうだが、現在でも大川河川敷の毛馬桜之 
宮公園を横切っているので、さらに高架構造物を付加して景観を破壊するのは良好な 
計画とは言えない。

続く