◆図6
海老江JCTの模式図。
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ところで、阪神高速3号神戸線は開通当初から、海老江Rと武庫川Rの区間が6車
線になっている。ほかの区間はすべて4車線である。6車線区間が特に交通量が多い
というわけではない。西宮IC以西の方が交通量は多く、阪神高速道路屈指の渋滞多
発区間になっている。
阪神高速3号神戸線は、1966年10月18日に京橋Rと柳原Rの間が開通した
のが始まりで、西宮IC以西の区間が順次開通していった。1968年7月30日に
生田川Rと京橋Rの間と、柳原Rと若宮Rの間が同時に開通した。1969年4月2
5日に若宮Rと月見山R(第二神明道路の須磨ICに直通)の間、同年8月1日に摩
耶Rと生田川Rの間が開通した。そして1970年2月23日に西宮IC(名神高速
道路直通)と摩耶Rの間が開通した。
大阪万博開催までに名神高速道路から神戸市を
貫通して第二神明道路まで直通するルートは完成した。大阪市内と神戸市内の間は、
阪神高速11号池田線で豊中ICまで、ここから西宮ICまでは名神高速道路を介す
ることにより高速道路がつながったことになる。国道2号や43号を進むよりは早い
が、遠回りで通行料金の嵩むいびつな乗り継ぎである。
西宮ICと大阪市内の間も、続けて順次開通させる予定だったが、この区間を含む
西大阪地区はこれまでの傍若無人な高度成長期の淀みが集中したエリアで、大規模な
公害訴訟により高速道路建設は事実上頓挫せざるを得なかった。1981年6月27
日にようやく阿波座JCTと西宮ICの間が開通して、大阪東線と西線がつながっ
た。最後の開通区間に先述の6車線区間が含まれる。(◆模式図3を参照。)
6車線区間は、淀川左岸と武庫川右岸の間である。それぞれ、海老江Rと武庫川R
が設置されているが、本線の車線数を左右するようなキーポイントではない。高速道
路本線の接続が予定されているのだ。
淀川左岸は、本項で記している阪神高速2号淀川左岸線が接続する。3号神戸線は
淀川左岸以西には2号淀川左岸線の交通が流入するので、以東よりも交通容量を大き
くしているのだ。そして、武庫川右岸には宝塚方面に連絡する路線構想がある。この
路線は都市計画決定していないので、ルートや事業体は決まっていないが、全区間が
住宅密集地なので容易に建設できる路線ではないことは明確である。
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◆模式図3
阪神高速(3)神戸線の6車線区間の模式図。
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◆写真12
阪神高速(3)神戸線
武庫川橋梁部
(「景観を配慮した都市高速道路設計の手引き」(阪神高速道路管理技術センター発
行)から引用。)
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◆写真12で、ダブルデッキ構造が阪神高速3号神戸線である。武庫川を渡る箇所
のみがダブルデッキになっている。左側が上流(宝塚側)にあたる。宝塚方面の亘り
線が接続しやすい構造になっているのだろうか。明確な分岐箇所(路側のふくらみ)
は用意されていない。もし用意されていても、正蓮寺川のような都市河川でさえ機能
性重視の無骨な構造物は建設できないのに、自然河川の武庫川には間違いなく高架構
造の本線とジャンクションが建設されるとは考えにくい。
宝塚構想線は永遠に着手で
きないルートだと考えているが、着手したとしてもトンネル構造になるはずである。
3号神戸線とのジャンクションは、◆写真12では見切れているが、写真の左下に位
置する武庫川出口のようなループを描いて地下に吸い込まれるかたちになるだろう。
首都高速3号渋谷線の大橋JCTのようなかたちである。
3号神戸線の右側は第二阪神国道(国道43号)である。当初4車線だったが、両側
に2車線ずつ追加して、全8車線で供用している。阪神高速本線6車線と合わせて1
4車線である。3号神戸線がこの区間だけダブルデッキ構造になっているのは、国道
43号の橋梁下部構造にタッチしないように国道用地を迂回しただけとも言える。い
ずれにしても、武庫川右岸以西で車線が変わることにより西行き車線において渋滞ネ
ックにはなっていない。6車線区間は現在のところは過ぎたインフラなのかもしれない。
【3 阪神高速(2)淀川左岸線2期】
淀川左岸線は1期、2期のうち、文字通り淀川左岸を通過する海老江JCTと豊崎
R、さらに3期の長柄東までの区間の歴史はとても古い。淀川南岸線という名称で1
946年5月に都市計画決定している。道路用地もおおむね確保済みである。道路構
造は高架4車線の高速道路と、下部に2車線の一般道路である。
淀川は、東京の荒川と同様に人工河川である。広い河川敷と築堤があり4車線の道
路用地を確保することは難しくない。計画通り建設されれば、首都高速川口線および
中央環状線の鹿浜橋Rとかつしかハープ橋までの区間と同様の構造になったはずであ
る。ところが、大阪人は昔から誰に対しても率直に意見を言う気質で、行政の一方的
な政策には従わない反骨精神がある。住宅地に近接する大規模構造物の建設計画を容
易に納得するはずはない。紆余曲折を経て、スーパー堤防の中にトンネル構造で含ま
せるかたちで、ようやく着手に至った。
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◆航空写真3
阪神高速(2)淀川左岸線
海老江JCTと(大阪市北区中津7)の間
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◆航空写真4
阪神高速(2)淀川左岸線
(大阪市北区大淀北2)と豊崎Rの間
計画線
豊崎Rと(大阪市北区長柄西2)の間
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淀川左岸線2期本線は全区間がトンネル構造だが、出入口は既存の一般道路に接続
するために地平に現れる。海老江入口は国道2号の淀川大橋南詰交差点から斜路でト
ンネルに進入するが、ほかの出入口は構造上の制限により一般道路まで長いランプで
淀川左岸堤防から離れた位置で接続する。大淀出口は大淀中3交差点に接続し、大淀
入口は新十三大橋測線からトンネルに進入する。豊崎出入口は、ループ線で新御堂筋
の千里方向と接続するランプと、淀川南岸線の一般道路に接続するランプが設置され
る。(◆図7を参照。)
この区間は途中の福島区海老江3で阪神高速11号池田線と直交するが、亘り線は
設置されない。3号神戸線と同様に郊外方向のみが連絡できるようになっていれば便
利だと思うが、11号池田線はJR東海道線に寄り添う位置にあるのでランプの増設
は難しいかもしれない。それに、11号池田線は淀川左岸以北の区間も交通集中起因
で渋滞が発生するので、2号淀川左岸線を接続して徒に交通量を増加させない方が良
いだろう。11号池田線の交通分散は、淀川左岸よりも北側の神崎川沿いに、加島R
付近と湾岸線の中島Rを連絡する神崎川線構想があるので、このルートに任せるとい
うことである。
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