【1 阪神高速(4、5)湾岸線】
この区間は全線開通している。
1974年7月15日に南港北R(ランプ)と天保山Rの間が開通した。開通当
時、天保山Rは大阪港Rと呼ばれていた。ほかの阪神高速道路の路線とは接続しない
短区間の開通で、南港へ渡る港大橋の開通という扱いで料金も安価に設定されてい
た。これは首都高速道路湾岸線の東京港トンネル区間の開通と同じような状況である。
1982年9月1日に堺市の三宝Rと南港北Rの間が開通し、ここまでが4号の区
間である。
1991年9月18日に天保山Rと中島Rの間が開通し、この区間は5号で、途中
に将来淀川左岸線が分岐する北港JCTが含まれる。この時点で第二環状線区間が全
通した。
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◆航空写真1
阪神高速(5、4)湾岸線
南港南R付近と北港JCTの間
阪神高速(2)淀川左岸線
北港JCTと大阪市此花区島屋1の間
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南港北Rと天保山JCTの間のみが4車線で、ほかは6車線である。4車線区間
は、16号大阪港線への亘り線が別の4車線になっているせいで、この区間は合わせ
て8車線とも言える。港大橋は4車線のダブルデッキ構造で、上層の4車線は大阪港
線の亘り線で、下層の4車線が湾岸線直通の本線である。
阪神高速道路の中では最も交通容量の大きい規格で、おおむねスムースに流れてい
る。ただし、この区間には集客力の大きい複数のイベント会場があり、イベント開催
時には出口渋滞が発生することがある。南港北Rは、インテックス大阪やWTC
(ワールドトレードセンター)など、天保山Rは海遊館、北港JCTは淀川左岸線に
亘り、USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)に交通が集中する。
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◆写真8
大阪市港区石田3
阪神高速(16)大阪港線、朝潮橋PAから、(4)湾岸線、港大橋をのぞむ。
(2003年10月11日、著者撮影。)
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◆写真9
大阪市港区石田3
阪神高速(16)大阪港線、朝潮橋PAから、天保山JCTをのぞむ。
正面の高層ビルは南港の大阪WTC(ワールドトレードセンター)である。
(2003年10月11日、著者撮影。)
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湾岸線は既存の埋め立て地をつないで、関西国際空港の手前の泉佐野市のりんくう
JCTと神戸市の六甲アイランド北Rまで開通している。将来は、六甲北アイランド
からポートアイランドを経て、須磨浦で内陸に入り神戸淡路鳴門自動車道と接続する
垂水JCTに至る。第二神明道路の接続する名谷JCTと垂水JCTの間はすでに開
通している。短区間で、無料開放されているので阪神高速道路を意識させることはない。
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◆写真10
天保山JCT
阪神高速(4)湾岸線港大橋上空から、天保山JCT、天保山Rをのぞむ。
奥は、(5)湾岸線の安治川橋、北港、神戸方面で、右側は(16)大阪港線である。
(1998年10月20日、阪神高速道路公団発行「道夢(Vol.55)」から引
用。)
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◆路線図3
東京湾岸と大阪湾岸の高速道路路線図。(同縮尺)
東京湾岸で、湾岸千葉ICの先で切れているのは、現在の開通区間は成田方面に反れ
るため湾岸区間は未開通のせいである。湾岸方面への分岐部の道路用地は確保してい
るが、構造物は何もなくジャンクション名称も未定である。ここから袖ヶ浦までは国
道16号として一般道路部が開通している。もちろん、広い中央分離帯は将来自動車
専用部を建設するための用地である。しかし、現在は建設主体も未定である。木更津
市から富津岬までは国道357号(東京湾岸道路)として一般道路部が開通してい
る。この区間の道路構造も袖ヶ浦までと同様である。
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首都高速湾岸線端部の幸浦から道なりで並木ICを経て横浜横須賀道路支線に接続し
ている。釜利谷JCTから本線で三浦半島稜部を南進する。海岸線から離れるため湾
岸線には見えないが、このルートは湾岸線の自動車専用部として取り扱われている。
横浜横須賀道路の道路構造は、支線だけでなく釜利谷JCT以南の本線は6車線分の
道路用地を確保している。現在は4車線で供用しているためわかりにくいが、トンネ
ルの断面がやや大きいことに気づくだろう。拡幅時にめんどうな構造物はすでにフル
規格で完成しているのだ。
東京湾岸道路は、神奈川県、東京都、そして千葉県千葉市までは高速道路が通じてい
るが、千葉市以南の東半分は一般道路で供用(袖ヶ浦と木更津の間は未供用)している。
なお、大阪湾岸の高速道路は、すべて阪神高速道路として開通している。東京湾岸道
路は、高速道路と一般道路が基本的に併設されるかたちになっているが、大阪湾岸は
ほとんどの区間が高速道路のみの供用である。
ところで、阪神高速湾岸線は日本全図で見れば、泉佐野市から神戸市までの大阪湾岸
を滑らかにつないでいるように見えるが、実際には◆航空写真1でもわかるようにか
なりカーブの多い線形になっている。
◆路線図3は、東京湾岸と大阪湾岸の高速道路路線図である。東京湾岸はマクロで見
れば湾曲した線形だが、ミクロで見れば滑らかである。あたかも道路ありきで造成さ
れたように見える。大阪湾岸は、この程度の縮尺でもかなりいびつな線形であること
がわかる。さらに近づくと急カーブが連続している。埋め立て地を無理矢理つないだ
ように見える。
湾岸道路は、船舶の航行が優先されるので、航路横断区間は高いピアでスパンの長い
橋梁や海底トンネル構造になる。航路により航行できる船舶は異なるので、ピアの高
さは橋梁ごとに異なる。そのため路面の縦断曲線もアップダウンのある線形になる。
東京湾岸は多数の海底トンネル区間があり、ある程度縦断曲線においても滑らかさを
維持しているが、大阪湾岸はすべて橋梁なのでアップダウンが多い。つまり、阪神高
速湾岸線はカーブと坂路の連続である。大阪湾岸も東京湾岸と同様、制限速度を80
キロに設定しているが、ともに沿道に流通拠点が多いため大型車混入率が高く、登坂
区間では大型車の速度低下に起因する渋滞が発生することがある。東京湾岸は東京港
トンネルや荒川湾岸橋、大阪湾岸は多数の該当箇所があるが、比較的交通容量に余裕
があるので、天保山JCTの16号から5号神戸方面への合流部くらいしか渋滞は発
生しない。
東京湾岸は川崎と横浜の間以外はパンク状態で第二湾岸線を必要としているが、大
阪湾岸は余裕があるので内陸路線からのシフトを促すためロードプライシングが実施
されている。末端部が未完成の神戸方面を特に推進しているが、渋滞していても神戸
線の方が早いことが多いのでなかなかシフトしない。大阪市内との直結が16号大阪
港線のみというのもネックになっている。つまり、1号環状線から神戸方面に湾岸線
経由にすると湾岸線区間はスムースだが、湾岸線と内陸を結ぶ区間が遠回りで通過時
間が不安定ということである。大阪第二環状線が開通すれば湾岸線へのシフト機会が
増えると考えられる。
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