さて、阪神高速道路の路線網がさらに複雑になると、全体計画を意識したナンバリ
ングに変更された。今回のナンバリングは全路線が数値のみで表現されるようになっ
た。環状線を1として、この環状線から放射状に伸びる路線は11、12と1(環状
線)の枝線を意識したナンバリングになっている。11は、1(環状線)×10+1
(放射線の1番)ということである。北西に延びる池田線を11として、ここから時
計回りに西南に延びる大阪港線の16まで順に振られている。※
かつてのA路線(神戸線)は、環状線の枝線ではなく阪神間を貫通する独自路線と
して、3が振られている。湾岸線は天保山JCT以南堺方面が4、以北神戸方面が5
である。6は飛ばして、北神戸線が7である。2003年に開通した神戸山手線は3
1で、3(神戸線)の枝線という位置付けである。
そして、淀川左岸線は1に続く第二環状線として2が振られている。(◆路線図2を
参照。)
現時点では、ナンバリングの抜け番号については、阪神高速道路公団のWEBサイ
トで「未定」と公式に記されている。ある程度、抜け番号や今後開通する路線の番号
も予測できるが、公式見解を尊重して憶測は記さないことにする。
本報告では、大阪の高速道路ネットワークに画期的な効果をもたらすと思われる第
二環状線の「2」を、短区間の淀川左岸線に振られているということだけをわかって
もらいたい。2004年3月現在ではユニバーサルスタジオへのアクセス用にしか活
用されていないように見えるが、本当はずいぶん期待されている路線なのである。
※11、12というナンバリング
基準となる路線の枝線のナンバリングで、基準路線の番号がわかるかたちで桁をず
らす手法はアメリカでは一般的である。全土で適用しているので、桁数は3桁、4桁
になっている。慣れると結構わかりやすいナンバリングである。したがって、阪神高
速道路の桁ずれするナンバリングは日本では初めてだが、それほど奇抜なアイデアで
はない。
名古屋高速道路でも桁ずれを採用しているが、阪神高速道路とはやや趣が異なる。
11号小牧線は、1号楠線の延長線である。名古屋高速道路は、名古屋環状2号専用
部(東名阪自動車道)の内側と外側で、みちなりに連続していても路線番号を変えて
いるのだ。16号一宮線は、6号清洲線の延長である。阪神高速道路は基準路線を桁
上げしているが、名古屋高速道路は単純に10を加えている。アメリカのナンバリン
グは95の枝線が295というように桁上げした位に一定数を加えているので、名古
屋高速道路がアメリカに近い手法と言える。
かつて、日本の高速自動車国道にナンバリングしようとしたことがある。ポイン
タープロジェクトと言われ、東名高速道路、名神高速道路を合わせて1として、全国
の路線に数値を振った。このナンバリングが桁ずれする方式だった。中央自動車道は
10(1を桁上げして、0番を振った)、関越自動車道は11(1を桁上げして1番
を振った)というものである。東名高速道路、中央自動車道の関東エリアで道路上に
標識を建てたが定着せず、標識は撤去され、依然として通称名のままである。
東名、名神だけが「高速道路」で、ほかは「自動車道」ということにも不思議さを
感じないほど通称名が定着している。これほど路線が輻輳するようになってもナンバ
リングされないのは世界でも珍しいが、鉄道が結局ナンバリングされていない現実か
らすれば、永遠に通称名のままのような気もする。
ポインタープロジェクトについては、機会があれば詳述する。
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