一般道路であるウエストサイド通りだけになったマンハッタン西部は、◆地図2で
わかるように不自然で、隣接するニュージャージー州を含むニューヨーク都市圏の高
速道路ネットワークが、その中心であるマンハッタン区で途切れている。
ハドソン川岸はニューヨーク側の左岸も、ニュージャージー州側の右岸も上流まで
バースが設置される港湾機能を果たしていた。工業製品の搬入出の大型車の交通需要
が多かった。ニュージャージー州側は内陸部が工業地帯なので問題ないが、マンハッ
タン側は高度に市街化した商業地、住宅地が隣接している。
ウエストサイドハイウエ
イは、これらのエリアの静寂と安全を確保するための重要なバイパスだった。ところ
が、マンハッタン側のバースは順に埋め立てられて工業需要は少なくなってきた。そ
れでも埋め立て地に建設されたオフィスには第三次産業の新たな需要が発生してきて
いるので、ウエストサイドに高速道路は必要である。
結局、全線地下トンネル構造として建設が進められることになった。2003年現
在未開通だが、開通すればニューヨークでは久々の高速道路の新規開通である。
【エアポートアクセスの頓挫】
◆広域図1のBにあたる区間(マンハッタン島内はEの区間)は、マンハッタン南
端のダウンタウンとJFK国際空港の短絡ルートである。このルートが計画線のまま
であるということは、ニューヨークには最重要アクセスであるエアポートアクセスが
ないということである。2003年現在全区間で着工の目処はたっていない。
ニューヨークは巨大都市で、マンハッタン、ブルックリン、ブロンクス、クイーン
ズ、それにリッチモンド(ステイトンアイランド)の5区に分けられている。ところ
が都心は最も狭いマンハッタンに集中していて、ほかのエリアには副都心は見当たら
ない。したがって、JFK国際空港に到着する外来者の多くがマンハッタンに向か
う。荷物が多いので車を利用ことになる。すると、どのルートをたどっても結構な大
回りをしているのである。
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