ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

マンハッタンの高速道路ネットワーク7





◆画像5
グランドセントラルパークウエイ。
ユニオンターンパイク
VAN WYCK
1998年撮影。
(WEBサイト「Jeff's Parkways Site」から引用。)
 E(上側)は、マンハッタンを横断するルートである。東側のロングアイランド高 
速道路は、イースト川をクイーンズミッドタウンTN(トンネル)でくぐって国連本 
部南側の36ブロックに到達する。この接続点はイースト川右岸のFDRドライブに 
は直結していない。西側は30ブロックから40ブロックにかけて複数の街路と接続 
するリンカーンTNでハドソン川をくぐりニュージャージー州に入る。ここでニュー 
ジャージーターンパイク(I95)に接続する。

 いずれもI495と同じ路線番号である。マンハッタン島内のわずか1マイルだけ
がつながっていない。この区間に計画線が存在するのは当然だろう。しかし、マンハッ
タンのこのブロックは高度に市街化が進行している。エンパイヤステートビルやマジ
ソンスクエアガーデンもこのブロックに存在する。

 ところで、このブロックには大陸間鉄道も通じている。北からのグランドセントラ
ル駅、東西方向のペンシルバニア駅があり、いずれも地下線を受け入れるターミナル
である。つまり、このブロックには高架構造で交通施設を設置する余地はないのであ
る。I495も東西の川渡のトンネル区間を直結されるためには、島内はトンネル構
造で抜けることになるはずである。島内は大陸間鉄道だけでなく市内の地下鉄線が輻
輳しているので、容易にトンネルを貫通させることはできない。

 それでも計画線のすぐ南側を大陸間鉄道の地下線が貫通しているし、各地下鉄線も
それほど深くないので何とかなりそうである。もし、東京や大阪や上海、香港、バン
コクなどアジア諸都市のように都心の狭い街路上に摩天楼を縫うようなダイナミック
な構造物を建設する気があれば、高架線でも接続できそうだ。しかし、欧米にはほと
んどそのような無茶な構造の高速道路は存在しない。

 E(下側)は、B区間の延長線としてホーランドトンネルに直結するルートであ 
る。この区間についてはB区間と併せて別項で記す。

 E区間はいずれも建設されるとすれば地下トンネル構造と考えられる。さて、世界 
の各都市には秘密のトンネルがあるのではないかという都市伝説が存在する。E区間 
はトンネルがない方が不自然なくらいだが、そのような都市伝説は聞いた事がない。 
ところで、都市伝説のほとんどが首都に関わるものである。秘密のルートのような大 
規模プロジェクトが民間の手によって完成に至ることは考えにくい。

 政府が防衛しなければならないのはあくまでも政府機関の集中する首都に限られる
ということか。世界経済の中心都市であるニューヨークですら政府が敢えて防衛すべ
き都市ではないということだろうか。都市伝説のほとんどは個人の妄想が流布したに
すぎないが、ニューヨークのような世界を代表する都市が噂にもならないのは不思議
だ。

続く