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【1970年の計画と現状(2003年)との差異】 ニューヨークの高速道路網は複雑で、各エリアを様々なルートで連絡している。1 970年代までにほとんどの高速道路が開通しているので、それ以降2003年まで あまり変化がない。 ◆広域図1の青線がこの30年以内に開通した区間で、赤線が廃 止になった区間である。開通区間(青線)は、ブロンクス区のブロンクスリバーパー クウエイの南端区間とT字交差するブルックナー高速道路(I278)である。開通 前はクロスブロンクス高速道路(I95)で迂回していた。I95は大陸東海岸を南 北に結ぶ幹線都市間高速道路なので、この開通によりニューヨーク内々交通の流入が 軽減されたことになる。 ただし、セントレイモンド共同墓地に挟まれた6差路のジャンクション(◆広域図 1の青線の右端の交差路)でI95、I278が集まるのでI95の渋滞が解消され たわけではない。ブロンクス区の高速道路網は細かくネットされているが、全域での スムースな流れを確保するためには、◆広域図1のDの計画線を開通させなければな らない。 |
◆広域図1 ニューヨークの高速道路路線図。 |
◆広域図1のAからEまでは、高速道路の計画線である。これらは1970年まで に計画され、一部用地取得も終了しているが、2003年現在において開通の目処が たっていない。(Aは廃止線の再生なので、ほかの路線とは進捗が異なる。) Aは、ウエストサイドハイウエイの廃止線の再生計画線である。全線メタルの高架 構造で開通したが、潮風にさらされて崩壊してしまった。この区間については別項で 記す。 Bは、JFK(ケネディ)空港のエアポートアクセスで、空港とマンハッタン区の ダウンタウンを短絡している。イースト川の橋梁(ウィリアムズバーグ橋)だけが開 通しているが、この橋はエアポートアクセスの全体計画とは関係なく遥か以前に開通 していた。エアポートアクセス全区間についても別項で記す。 Cは、ブルックリン区を南北に貫通するクリアビュー高速道路(I295)のグラ ンドセントラルパークウエイ以南の区間である。すぐ東側のクロスアイランドパーク ウエイに迂回できる。 ところで、クロスアイランドパークウエイで南下してJFK空港から西にショア パークウエイで海岸線をなぞって、イースト川左岸を経て、さらにラガーディア空港 の南側のホワイトストーン高速道路を経て、ブルックリン区の外周を周回することが できる。このルートはベルトシステム(BELT SYSTEM)と呼ばれている環状線である。 いびつな線形で、全区間を通して利用する需要はないが、ブルックリン区の複雑な高 速道路システムを有効活用させるためには重要なルートである。 環状線と、その内側を格子状にネットすることにより交通分散効果を発揮して、大 量の交通を面的に処理することができる。ところが、B、Cの計画線が頓挫している ので、全通している区間(東西方向はロングアイランド高速道路、南北方向はバンウィ ック高速道路)に集中して慢性的な渋滞が発生している。なお、C区間北端のグラン ドセントラルパークウエイとのジャンクションは完成している。この先はジャマイカ 通りと交差するベルレア地区までは道路用地を確保している。ベルレア以南は住宅地 で道路用地は確保していない。セントアルバンス以南は既存の一般道路スプリングフ ィールドブルバードを拡幅して高速道路を通すことになるが、沿道には拡幅の兆しす らない。 |
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