マンハッタンの高速道路は、1970年代後半には周回ルート、および川越えルー
トが開通した。マンハッタンは縦長の島なので、周回ルートの開通により、島内を縦
貫するルートは不要だろう。しかし、横方向には複数の横断ルートが必要と思われる
が、ハーレム北部の178ブロック※にかろうじて1本だけ存在している。これはイ
ンターステイツ95号のジョージワシントン橋のアプローチ区間で、マンハッタンの
横断区間はわずかに1マイル程度である。それに、このルートはマンハッタン島内交
通を担うのではなく、ニューヨークを南北方向に貫通(通過)する都市間高速道路の
性格が強い。つまり、マンハッタンのCBD地区には1本も横断高速道路は存在して
いない。
マンハッタンの交通網を見ると、鉄道も横断方向にはルートがないように見える。
これは、都市内交通を担う地下鉄だけでなく、大陸間ルートもトンネルで川越えをし
て、マンハッタン島内の地下駅に連絡しているのである。高速道路も同じ形態で貫通
していれば便利だが、このようなトンネルは存在しない。
※マンハッタンのブロック
マンハッタンの区画は単純でわかりやすい。縦方向は南端から順に北に向かって昇
順のブロック番号が割り当てられている。道路名としては、ストリートと呼ばれてい
る。この報告書では区画全体としてブロックと記しているが、同じ意味である。ダウ
ンタウンは1ブロックから23ブロックくらいまで、ロックフェラーセンターやエン
パイヤステートビルを含むミッドタウンは58ブロックまで、ここから110ブロッ
クまでセントラルパークが続く。
その北はハーレムで220ブロックまで続く。各ブ
ロックの間隔はおおむね同じなので、この数値でだいたいの位置(緯度)はわかる。
次に横方向は、東から西に昇順に番号が割り当てられている。道路名としてはアベ
ニューと呼ばれている。アベニューはいくつかの例外はあるが、1から12までナン
バリングされている。1ブロックは横長の長方形だが、縦方向の220ブロックに比
べて、横方向は12ブロックしかない。いかにマンハッタンが縦長かわかる。
ハリウッド映画「ダイハード2」で、ハーレムからウォール街まで爆走するシーン
がある。ルート選定に基本的な疑問があるが、マンハッタンの縦方向の長さをある程
度実感することができる。
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