ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

マンハッタンの高速道路ネットワーク2





◆地図3
ニューヨーク市広域の高速道路ネットワーク。
(2003年)
 ニューヨーク市だけでなくニューヨーク都市圏に広げて高速道路網を見ると、ブル 
ックリンとマンハッタンにおける高速道路密度が粗いことがわかる。(◆地図3)

 マンハッタンは高速道路の空洞エリアになっているのだ。また、マンハッタンは先 
述のようにハドソン川、イースト川、北部のハーレム川に囲まれた島である。したが 
って、河川を横断する橋やトンネルが交通の要衝になる。地図を見ただけで、道路状 
況のきびしさが想像できる。実際には、確かにネックにはなっているが、思ったほど 
ひどい状況ではない。

 ニューヨーク市はアメリカでは稀な鉄道の発達したエリアで、くだんの河川を横断
するルートに複数の地下鉄が整備されている。マンハッタンは狭いエリアなので駐車
場事情も良くない。圧倒的に鉄道の方が便利である。しかし、これは道路事情が悪い
ため仕方がなく選択しているに過ぎない。東京、大阪と同じような事情である。

 なぜ、道路事情が悪いのか。計画線を見る限り完璧なネットワークだったはずである。
 これまでの高速道路整備状況の経緯、未整備区間の詳細について順に記す。


【1970年代までのマンハッタンの高速道路整備状況】
 ニューヨーク市は港町である。マンハッタン南部はハドソン川、イースト川に多数 
の突堤を設けている。特にハドソン川岸はセントラルパーク以北の70thまで突堤 
が連続している。対岸のニュージャージー州も同様に突堤が設けられているが、こち 
らはさらに北側のジョージワシントン橋を越えている。
 これらの突堤群には大量の貨物輸送需要がある。高規格道路が突堤群を貫通し、郊 
外、都心各方面に直行するかたちで整備されるはずである。

◆航空画像1
バッテリーパーク。
FDRドライブ、ブルックリン・バッテリーTNともに未着手。
1946年10月13日撮影
(「NEW YORK IN AERIAL VIEWS」(Edward B Watson 1980年発行)から引用。)
 アメリカの高速道路には、日本のような都市間高速道路(高速自動車国道)と都市 
高速道路(首都高速、阪神高速など)の区別がない。あくまでも道路の規格によりイ 
ンターステイツ、パークウエイ、USハイウエイなどに区分されている。ターンパイ 
クや一部のトンネル、長大橋以外はほとんどが無料で利用できるので、特に区別する 
必要はないのだろう。

 それでも、都市間利用区間と都市内利用区間は存在している。 
ニューヨーク市は先述のように東海岸縦貫線と大陸横断線が交差している。マンハッ 
タンを含むニューヨークの各エリアへの連絡区間は都市高速道路の機能を担ってい 
る。これらの高速道路はどちらかが優先されることはなく、同時に着手して順次延長 
を延ばしてきた。

 マンハッタンに関しては、1930年代までにほとんどのトンネルと長大橋だけが 
開通した。それ以降は、これらのトンネルや長大橋の端部を連結するかたちで高速道 
路が整備された。

 ◆航空画像1、2は1946年のダウンタウン地区である。
 ◆航空 画像1は西側のハドソン川岸で、突堤の右側のスペースがバッテリーパークである。 
まだ、FDR(フランクリンルーズベルト)ドライブもブルックリンバッテリートン 
ネルも開通していない。
 ◆航空画像2は東側のイースト川寄りのエリアで、ブルック 
リン橋は開通しているが、イースト川右岸のFDRドライブは開通していない。手前 
の摩天楼はウォール街である。

◆航空画像2
ブルックリンブリッジ。
FDRドライブは未着手。
1946年10月13日撮影
(「NEW YORK IN AERIAL VIEWS」(Edward B Watson 1980年発行)から引用。)

続く