ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

東海北陸道の全通効果11



【まとめ】
 東海北陸自動車道の交通量は順調に増加している。(◆グラフ1)
 最近10年間は、全国的に高速道路の交通量は減少しているにもかかわらず、本州 
のほぼ中央で増加傾向にある路線は珍しい。もちろん、順次開通延長を延ばしている 
ので増加するのは当然とも言えるが、近年は延長しても案外順調に交通量が増えない 
路線が多いのだ。

◆グラフ1 東海北陸自動車道の交通量経年変化。 1998年から2003年までの各区間の交通量を示している。 一宮西ICと尾西ICの間で各年ともに交通量が減少しているが、これはハーフイン ターに挟まれた区間のせいである。 なお、各年ともに6月の1日あたりの平均交通量を示している。6月は、年間では最 も交通量の少ない月間である。東海北陸自動車道は全通していないため業務定期利用 が少ない。その代わりに観光利用が多い。一般的な交通量(経年変化)を示すため敢 えて観光利用の最も少ない月間のデータを採用した。2月も多くの路線では最も交通 量が少ないが、東海北陸自動車道はスキー利用のため交通量は増大する。
 東海北陸自動車道の全通は2007年である。飛騨トンネルの工事進捗の度合いに 
より前後することはあるが、施工命令(1993年11月19日)から14年もかか 
る難工事は近年には珍しい。このようなケースは、この付近では中部縦貫自動車道の 
安房トンネル以来である。

 全通時にどのような宣伝をして利用促進をするのかわからない。ところで、これま 
での各地における高速道路の開通時に、複数ルートの比較で有効性をアピールする 
ケースは意外に少ない。

 磐越自動車道の開通時に、東京と郡山JCTの間で常磐自動車道ルートと東北自動 
車道ルートとの比較をした。また、大阪と郡山JCTの間で東京経由と北陸経由との 
比較をした。いずれも、これまで利用されてきたルートの混雑解消のためのシフト促 
進をのぞむものである。

 ほかには、広島と山口の間で、中国自動車道ルートと山陽自動車道ルートとの比較 
をした。中国自動車道ルートの方が先に開通したが、山陽自動車道ルートへのシフト 
量が多すぎて、中国自動車道ルートへのカムバックをのぞむものである。
 いずれの宣伝も果たして万人に浸透しているのだろうか。

 鉄道のネットワークも複雑で、知らずに遠回りしているケースも多い。ところで、 
鉄道の場合は線路を走る列車の優劣で利便性は決まる。名古屋から新潟へは、東京経 
由で2つの新幹線を乗り継ぐルートが最も早い。まっすぐ長野県を抜けるルートが最 
短であることはわかる。このルートには線路もある。それでも新幹線にはかなわな 
い。(これは、時間の比較で、料金の比較では当然長野県を抜ける方が安い。)
 高速道路の場合は、道路の規格が同じならば幹線、支線に関係なく一定の速度で走 
行できる。距離が最短になるルートが最短時間になる。JHのWEBサイト(ハイウ 
エイナビゲータ)や車載のカーナビで最短時間のルートは表示される。それでも最も 
有利なルートへのシフトはスムースには進まないようだ。既成概念を覆すには地道な 
情報提供だけでなく、思い切った対策を講じても良いのではないだろうか。

 名神高速道路下り線を一宮JCTに向かうと東海北陸自動車道分岐には「高山、富 
山」がガイドされている。全通後は、「金沢」を追加すればシフト量は多くなるよう 
な気がする。

続く