次に料金面の比較である。これは条件により結果が異なる。まず、飛騨トンネル区
間が未開通の現状は、一般道路の通行区間があるために東海北陸自動車道ルートの方
が安い区間が多い。金沢西IC以東が安くなる。
ところで、料金は小矢部砺波JCT
以西の金沢西ICまでの区間において徐々に北陸自動車道との格差が少なくなり、金
沢西IC以西は北陸自動車道ルートの方が安くなる。料金は距離に比例するので理解
できるだろう。しかし、小矢部砺波JCT以東は、東海北陸自動車道ルートが北陸自
動車道ルートに比べて一律に71.1キロ短いにもかかわらず、料金格差は黒部IC
まで徐々に少なくなっている。これは、東海北陸自動車道の通行料金が未開通区間を
挟んで2回支払われることに起因する。
通行料金は基本料金(ターミナルチャージ)
に、距離に比例する料金が加算される。そのため北陸自動車道ルートのターミナルチ
ャージは1回、東海北陸自動車道ルートは2回課金される。さらに、長距離逓減制が
効いている。連続して高速道路を利用するときには、100キロ越、および200キ
ロ越で、それぞれ25%、30%割引される。連続利用の北陸自動車道ルートは、こ
の割引が効くので、2回に分けることによりこの制度が効かない東海北陸自動車道
ルートは、割高になる。
東海北陸自動車道が全通すると、このルートも高速道路の連続利用になるため現状
の北陸自動車道と同様に各種の割引が適用される。全通後も金沢西IC以東で東海北
陸自動車道ルートが安くなる。未開通のときの一般道路の走行距離は36.8キロ
で、この区間に開通する高速道路(荘川ICと白川郷ICの間)は43.9キロであ
る。全通後は43.9キロ分東海北陸自動車道ルートの料金が高くなる。
距離に比例
するこの区間の通行料金は1000円だが、ターミナルチャージが1回になるためそ
の分(150円)安くなる。また、一宮JCTから小矢部砺波JCTまで全線を通し
て東海北陸自動車道を利用すると、北陸地方の各インターチェンジは100キロ以
上、ほとんどが200キロ以上になるので長距離逓減制が効いてくる。したがって、
全通による加算分は400円程度である。
小矢部砺波JCT以東は、一律に64キロ短くなって、1150円安くなる。
さて、東海北陸自動車道の全通による料金設定は果たしてこの通りになるのだろう
か。先述のように未開通区間には10712メートルの飛騨トンネルが含まれる。こ
の区間に特別料金が適用されると考えるのが現実的ではないだろうか。
特別区間料金が適用されると、東海北陸自動車道ルートの方が安くなるのは富山県
の小矢部IC以東だけになる。石川県には北陸自動車道ルートの方が安く行けること
になる。(◆図7)
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