◆航空図4
1999年4月30日撮影。
(国土地理院WEBサイトから引用。)
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◆航空図5
1947年8月20日撮影。
(国土地理院WEBサイトから引用。)
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城北(しろきた)運河は、1928年に計画が策定され、1940年に開削され
た。開削当時この付近は田園地帯で、戦争特需により工業化を推進していた。京阪線
はすでに開通していたが、京橋以東はあまり市街化が進行していなかった。運河以外
の空間にも余裕があった。
ところが、戦後の急速な市街化により、運河空間は新しい交通インフラ整備におい
て俄然着目されるようになった。阪神高速第二環状線のルートに選択されるはいかに
も自然である。1970年の大阪万博でインフラ整備は小休止をすることになった
が、森小路R以南はいつでも延長できるよう準備されていた。それから30年以上た
った現在、延長する気配すらない。
【将来】
阪神高速道路の交通量はこの10年でほとんど変化がない。大阪地区の経済低迷
は、東京地区よりも深刻である。そのせいだろうか。それでも、各放射線の上り、環
状線の西半分、神戸線の交通量は多く、何らかの対策が必要である。第二環状線は、
1962年の計画では白紙になっているが、現在はややいびつなかたちで復活してい
る。(◆図6)
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◆図6
2003年時点での阪神高速第二環状線計画路線図。
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短区間だが、阪神高速(2)淀川左岸線が開通している。USJ(ユニバーサルス
タジオジャパン)への出入口があるため無意識に利用している人が多いと思うが、こ
の路線は、2号なのである。先述のように阪神東線は1号環状線から放射状に11
号、12号、13号とナンバリングされている。一桁の路線は、3号神戸線と、4号
および5号湾岸線である。2号は、1号の外回りの環状線である。
この第二環状線は1960年に立案された路線とはかなり異なったルートを経ている。
まず、17号西大阪線や、12号森小路線を経由せず、全体に南西方向にずれてい
る。湾岸線と接続する北港JCTから島屋東Rまでが、2号淀川左岸線の開通区間で
ある。ここから島屋交差点までは北港通を経て、きついS字カーブで正連寺川に至
る。ところで、島屋東Rから先はトンネル構造である。正連寺川区間も地下を通過す
る。国道43号をアンダークロスする正連寺橋から豊崎Rまでは、1962年の計画
線と同じである。ただし、淀川左岸区間もトンネルである。豊崎Rで新御堂筋に接続
する。ここまでの区間が工事区間である。
豊崎Rから都島区毛馬の12号守口線と接続区間も1962年の計画線と同じだ
が、12号と併用にはせずに、京橋に向かう。京橋からは平野川に沿って東住吉区北
田辺で大阪泉北線に接続する。JR阪和線と多重構造の大阪泉北線で大和川を渡り、
大和川JCTで大和川線に亘る。三宝JCTからは既に開通している湾岸線を経る。
線形はいびつで一見環状線には見えないが、環状線は1周する目的で利用されるも
のではないので、機能的には問題ないのかもしれない。実は問題は線形ではなく、そ
の実現可能性である。果たして実現できるのだろうか。現在工事中で、なんとか開通
目処のたっているのは淀川左岸線の島屋東Rと豊崎Rの間と、大和川線くらいであ
る。いずれの路線もほぼ全線が地下構造で、淀川、大和川ともにスーパー堤防計画の
一環として建設される。難工事という技術的な面だけでなく、河川管理系との調整面
でも工期が延びる原因になる。なお、大和川線は、14号松原線と接続する区間まで
が工事中である。
ところで、◆図6では大阪泉北線の天王寺東Rと大和川JCTの間が工事中になっ
ているが、実際にはほぼ頓挫している。JR阪和線と高架2層構造にするのは高度に
市街化した沿道が許さなかった。現在はJR阪和線のみの高架工事が進行している。
もちろん、その上に大阪泉北線が載せられる構造にはなっていない。
また、豊崎Rと泉北線の区間は構想線というかたちだが、このルートはいかにも無
理がある。毛馬から京橋までは貨物線跡地を利用すると思われるが、幅員が足らな
い。さらに、平野川は城北運河や城東運河のように広くないので、これも無理があ
る。平野川から北田辺までの東住吉区林寺、桑津は全面市街地で道路用地は全くな
い。もちろん、全区間が地下構造になると思われるが、大深度地下にでもしない限り
無理なルートである。しかも工期が長い。建設費は高騰し不採算路線になることは間
違いないだろう。
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◆図7
2003年時点の阪神高速道路路線図。
黒実線は2002年までに開通区間、橙実線は2003年に開通した区間、青実線は
工事中の区間、点線は計画中の区間。
橙線のうち、神戸山手線は2003年8月26日に神戸長田Rと白川JCTの間が開
通する予定である。なお、神戸山手線は31号で、3号神戸線の枝線という扱いになる。
(阪神高速道路公団WEBサイトから引用。)
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