ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

東名高速VS中央高速 9



【まとめ】
 中央自動車道の恵那山特別区間を普通区間化して、東名ルートとの料金格差を是正 
すれば中央ルートは名実ともに首都圏と東海以西を連絡するメインルートになり得 
る。1990年代から中央ルートの有用性は知る人ぞ知る裏技のようなスタンスで定 
期利用者に広まった。到達時間はさほど変わらない。むしろ、東京のどこに行くかに 
よってルートは選択される。例えば新宿を起終点とする場合、東名ルートの東京IC 
に達する時間で、中央ルートならば八王子ICに達してしまう。

 新宿、池袋発着の東海以西への定期路線バスはほとんどが中央ルートを通過する。
名古屋と東京を連絡する場合は、名古屋ICが小牧JCT以東にあたるため東名ルー 
トは7100円である。中央ルートは7950円になる。圧倒的に東名ルートが有利 
である。それにもかかわらず新宿発着の場合は中央ルートが選択される。定時走行に 
は不安のある都内での首都高速や一般道路の走行をできるだけ少なくするルートが選 
択されるようになってきている。

(定期路線バスの現況説明だが、これまでの説明と比較するために敢えて通行料金は 
普通車の料金を記している。)
 プロドライバーには中央ルートの有用性は浸透しつつあるのだ。

 恵那山トンネルは1975年8月23日に開通した。当初は下り線のトンネル84 
89メートルのみの開通で、1車線の対面通行で供用された。前後区間はフル規格 
(4車線)なので、トンネルのみの車線減少である。開通時には日本一長い道路トン 
ネルだった。中央自動車道は開通区間の延長に伴い交通量は漸増していったため、二 
期工事として上り線のトンネルに着手し、1985年3月27日に開通した。上り線 
トンネルは下り線よりも136メートル長い8625メートルである。これにより中 
央自動車道は全区間がフル規格になり、東名ルートのバイパスとして十分な機能が整 
った。

 恵那山特別区間の料金設定は、下り線の対面通行だった当初から実施されていた。 
一期工事の下り線トンネルの建設費は891億円である。この10年くらいは物価が 
安定しているが、それまではインフレ傾向が続いた。したがって、当時の891億は 
特別料金を課金しても仕方のないものだったかもしれない。ちなみに、2002年度 
の1年間において、中央自動車道全体で約1300億円の料金収入を得ている。
(なお、東名高速道路は1年間で約2500億円の料金収入を得ている。)

 ところで、恵那山トンネルを含む区間の特別料金は、数年ごとに普通区間との比率 
見直しを行っている。当初は1.72倍だったが、現在は1.60倍である。
(◆表4)

◆表4
恵那山特別区間の普通区間との料金比率。
単位料金はいずれも(円/キロ)で、ターミナルチャージは(円)である。
 ほかの特別区間も比率を下げる傾向があるので、恵那山特別区間もいずれは普通区 
間の24.60円に達すると思われる。ただしこのペースではずいぶん時間がかかる 
ので、思い切って一気に普通区間化させる動きがある。本件は、長野県など地元自治 
体からの要請により日本道路公団に設けられた経営改善委員会において検討されてい 
る。議事録はWEBで公開されているので、「JH経営改善委員会」で検索すれば容 
易に入手できる。

 これにより普通区間化されれば、先述の料金想定の(2)にあたり高井戸ICと小 
牧ICの間は7550円になる。東名ルートの7500円とほぼ同じである。(想定 
料金は24捨25入の丸め込み誤差があるので、プラスマイナス50円を含ませれ 
ば、全く同じ7500円になると言える。)

続く