ヒマヒマバブル絶好調道の川柳・森川晃

山手通り&首都高速中央環状線1-4



 首都高速中央環状新宿線は、冒頭で述べたように大深度地下構造ではないが、ほと 
んどの区間が大深度に匹敵する深さのトンネルである。建設工事は、浅い都市トンネ 
ルで採用されるオープンカット工法ではなく、何箇所かの立坑を設置して直下に掘削 
して、そこから水平方向にシールドトンネルを掘削する工法を採用している。したが 
って、地平の山手通りの工事エリアは少なくなる。山手通りは重交通幹線道路なの 
で、工事期間中でも交通規制は最小限にしなければならない。

 立坑は通常はトンネルの端部に設置される。長いトンネルの場合は中間点にも設置 
される。中央環状新宿線は10キロにおよぶ長いトンネルなので、端部のほかに数箇 
所が選定される。ところで、長い道路トンネルには換気施設が必要である。換気所は 
(交通量、地形、換気所の規模など諸条件により箇所数は決まるが、)おおむね1キ 
ロに1箇所は設置される。中央環状新宿線は端部で計画変更後に追加された大橋換気 
所を含め9箇所の換気所が設置される。つまり10キロの区間で1キロごとに1箇所 
設置されることになる。道路建設エリアが制限される都市トンネルなので、立坑跡に 
換気所を設けるようにして、換気所のために新たな地平工事エリアが発生しないよう 
にしなければならない。

 また、首都高速の特性により一般道路と出入口(ランプ)が設置される。中央環状 
新宿線では6箇所である。さらに既設本線とのジャンクションも設置される。西新宿 
JCTで2箇所、大橋JCTで(当面)1箇所の地平への出入口が設置される。
 換気所9箇所、ランプ(ジャンクションを含む)9箇所が、中央環状新宿線の地上 
施設である。これらが立坑の設置箇所候補になる。
 ところで、中央環状線は大橋JCT以南も品川線がトンネル区間で続くが、品川線 
の着工が遅れたため当面は大橋JCTでトンネルは途切れる。つまり、大橋JCT分 
岐は地上施設を予定していないトンネル端部になる。完工後は埋め戻される立坑を設 
置しなければならない。大坂橋北側の松見坂下の工事エリア(◆画像9、10)が、 
この位置にあたる。

◆画像9
 目黒区大橋2
 大坂橋(玉川通り)から山手通り初台方向をのぞむ。山手通り中央の工事エリア 
は、首都高速中央環状新宿線の立坑。正面の坂を登った松見坂交差点手前まで続く。 
このあたりが、中央環状新宿線西新宿方面の大橋JCT分岐合流部になる。大橋JC 
Tランプは、ここから大坂橋をすぎて西に折れ玉川通りの南側を並行に進んで目黒川 
左岸あたりでループ部に至る。なお、大橋交差点下は中央環状品川線大井方面に分岐 
合流部が作られる。
(2003年2月11日、著者撮影)
 既設一般道路の交通規制を伴う道路工事エリアはすべて公開されている。中央環状 
線関連の山手通りの工事箇所は、東京都のWEBサイト
http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/info/index.html
で常時確認できる。今回の踏査確認においても公開箇所に間違いはなかった。なお、 
このサイトでは首都高速以外の目的の工事箇所や、ほかの道路の工事箇所もすべて確 
認できる。
 もちろん、東京都以外の都市でも公開している。地元の方ならば新聞紙上でも確認 
できる。これらの公開情報を確認しておけば「年度末になるとやたら何の目的かわか 
らない工事が多くて迷惑だ」という無責任な発言は控えるようになるだろう。目的が 
なく際限もない工事箇所は1箇所もないのだから。

◆図8
 山手通り工事箇所。 
(東京都WEBサイトから引用。)

◆表1
 山手通り工事箇所一覧。
 首都高速関連箇所を緑でぬりつぶしている。
 この一覧は、さらに北上して板橋区まで掲載されている。つまり、首都高速中央環 
状新宿線全線の工事箇所がわかる。本報告では、報告の対象箇所のみ抜粋している。
(東京都WEBサイトから引用。)

◆画像10
 目黒区青葉台4
 大坂橋東詰め(◆画像9より東寄り)から山手通り、松見坂方向をのぞむ。
(2003年2月11日、著者撮影)

続く