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【総括】 熊本都市圏の3番目のインターチェンジとして益城熊本空港ICが追加されて、1 日あたり福岡方面で1904台、鹿児島方面で2295台の合わせて4199台の新 たな交通需要を引き出したことになる。しかも1999年3月の開通から3年しかか かっていない。実際には開通後10ヶ月でほぼこの水準に至っている。一般的に追加 インターチェンジの効果がこれほど早く発揮されることは少ない。当初は近接する前 後のインターチェンジの需要を分け合うかたちになるだけで、なかなか全体交通量の 増加には至らない。 九州自動車道の熊本付近の通過交通量は福岡方面が約35000台、鹿児島方面が約 30000台である。交通容量にはまだ余裕があるが、採算性から見ても高速道路と しては健全な交通量である。福岡方面の35000台の内で約63%の22000台 が、熊本IC、益城熊本空港IC、御船ICのいずれかのインターチェンジで出入り する。鹿児島方面は約53%の16000台がいずれかのインターチェンジで出入す る。熊本都市圏は、九州自動車道にとっては半数以上の車両が出入する区切りになる エリアである。 2002年10月の時点で3つのインターチェンジの交通量は熊本ICが約200 00台、益城熊本空港ICが約10000台、御船ICが約8500台である。イン ターチェンジの形式は御船ICだけがシングルトランペットでやや交通容量が少なく なっている。ほかはダブルトランペットで交通量にみあった形式と言える。なお、各 インターチェンジの各方面の比率は下記のようになっている。 熊本IC 福岡方面68.1%、鹿児島方面31.9% 益城熊本空港IC 福岡方面39.3%、鹿児島方面60.7% 御船IC 福岡方面55.2%、鹿児島方面44.8% つまり、御船ICの役割は、熊本CBD地区と九州自動車道を連絡することから熊 本市南部から九州自動車道の各方面を連絡することに変わったようだ。熊本CBD地 区と福岡方面は熊本IC,鹿児島方面は益城熊本空港ICを利用するのが一般的にな った。 都市間高速道路を有効利用する目的では熊本都市圏のインターチェンジ追加は成功 例と言える。各地で地元負担の開発インターチェンジが追加された。現在も多くの箇 所で申請中である。ところが、なかなか思ったように交通需要を引き出せない。多く が益城熊本空港ICと同様に工業団地などの新規開発との抱き合わせになっているの で、企業誘致が成功しない限り成功とは言えない。本報告ではインターチェンジあり きで高速道路を主体に記しているが、実際には高速道路は企業誘致の誘引剤にすぎな い。ところが公共性の高いインターチェンジは企業誘致に失敗しても容易に廃止する ことはできない。三重県の伊勢自動車道の開発インターチェンジ、一志嬉野ICは企 業誘致が思うように進行せず開発事業体が経営困難に陥り、誘引剤として先行開通さ せたインターチェンジは経営代行を依頼している日本道路公団へ売却することになっ た。 実は、(確定していないので具体的には記せないが)ほかにも多くの開発イン ターチェンジが破綻していると思われる。地味な話題であるし、利用者には何ら関係 しないのでなかなかメジャーメディアでは取り上げないが、交通量の統計資料をなが めているだけで破綻インターチェンジは想像がつくものである。当方は高速道路慎重 派ではないのであまりネガティブな話題には触れたくはないが、慎重派の方々には格 好の攻撃材料になるだろう。今回取り上げた益城熊本空港ICは統計資料をながめて いて以前から気になっていた。集中的に統計資料を分析し、関連資料を集め、現地に 出かけた。このようにポジティブな面での分析は意欲が湧くのだが... |
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